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【発明の名称】空調装置の室外機昇降装置 【特許権者】 【識別番号】505457514 【氏名又は名称】新城 一博 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区羽沢町499−3 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100080056 【氏名又は名称】西郷 義美 【発明者】 【氏名】新城 一博 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区羽沢町525−23 【特許請求の範囲】 【請求項1】 建物の天井面に吊り下げ器具により吊り下げて設置される空調装置の室外機を搭載する本体を設け、この本体の下面に巻取りドラムを回転可能に設け、この巻取りドラムの外周には4つの巻取り溝を設け、この4つの巻取り溝に各一端側を夫々固定されて巻出し・巻取りされる4本のケーブルを設け、これら4本のケーブルを上方向に向かって案内する4つのガイドプーリを設け、前記4本のケーブルの他端側には前記建物の天井面に取り付けられた前記吊り下げ器具の一対の取付け部材に係止される係止具を設け、前記巻取りドラムを回転させるドラム回転機構を設け、このドラム回転機構は前記巻取りドラムに付設されたウォームホイールとこのウォームホイールに噛合するウォームとからなるウォームギヤにより構成され、このウォームギヤのウォームの駆動軸には携帯用電動回転工具の着脱部が着脱可能に装着される装着部を設けたことを特徴とする空調装置の室外機昇降装置。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 この発明は空調装置の室外機昇降装置に係り、特に、建物の天井面に空調装置の室外機を容易かつ迅速に設置にすることができる空調装置の室外機昇降装置に関する。 【背景技術】 空調装置は、建物の屋内に設置する室内機と屋外に設置する室外機とから構成される。空調装置の室外機は、建物から張り出したベランダ等の張出部の天井面を利用して、吊り下げ器具により吊り下げて設置する場合がある。 従来の吊り下げ器具には、建物の天井面に取り付けられる一対の平行な取付け部材と、各取付け部材から夫々垂下される吊り下げ部材と、一方の取付け部材から垂下される吊り下げ部材と他方の取付け部材から垂下される吊り下げ部材との各下端を連結して空調装置の室外機を支持する支持部材とを備えているものがある。 【特許文献1】 特開2000−257919号公報 また、前記空調装置の室外機を建物の天井面に吊り下げ器具により吊り下げて設置する際には、室外機を天井面の近くまで持ち上げる必要がある。従来は、複数人の作業者により室外機を持ち上げ、また、足場を組んで滑車により室外機を吊り上げ、あるいは、リフト機構により室外機を持ち上げていた。 従来の空調装置の室外機を吊り下げて設置する装置としては、天井面に取り付けた吊り下げ器具の一対の平行な取付け部材に夫々座金を取り付けて回転軸を軸支し、この回転軸に取り付けた一対のローラに夫々ロープを巻掛け、この2本のロープの下端を室外機が搭載された吊り下げ器具の支持部材の幅方向両側に係止し、回転軸を軸回転機構により回転させて室外機を吊り上げるものがある。 【特許文献2】 特開平9−210411号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 ところが、特許文献2に開示される装置は、室外機の設置に際して、吊り下げ器具に座金や回転軸、ローラ、ロープを組み付けなければならないため、設置前作業に手間がかかる問題があり、吊り上げ時に、軸回転機構の操作用チェーンを作業者が手作業で引いて室外機を引き上げているため、吊り上げ作業に手間がかかる問題があった。 また、特許文献2に開示される装置は、室外機を搭載した支持部材の幅方向両側に2本のロープを係止して吊り上げているため、吊り上げ時に室外機を搭載した支持部材が遊動して安定性に欠ける問題があり、軸回転機構の操作用チェーンを引く作業に合わせて、室外機を搭載した支持部材の遊動を抑える作業を必要とすることから、1人による設置作業が困難となる問題があった。 この発明は、建物の天井面に空調装置の室外機を吊り下げ器具により吊り下げて設置する際に、設置前作業や吊り上げ作業が簡単であり、吊り上げ時の安定性を向上して建物の天井面への空調装置の室外機の吊り上げを1人の作業者で行うことでき、室外機を容易かつ迅速に天井面に設置にすることを目的とする。 【課題を解決するための手段】 この発明は、建物の天井面に吊り下げ器具により吊り下げて設置される空調装置の室外機を搭載する本体を設け、この本体の下面に巻取りドラムを回転可能に設け、この巻取りドラムの外周には4つの巻取り溝を設け、この4つの巻取り溝に各一端側を夫々固定されて巻出し・巻取りされる4本のケーブルを設け、これら4本のケーブルを上方向に向かって案内する4つのガイドプーリを設け、前記4本のケーブルの他端側には前記建物の天井面に取り付けられた前記吊り下げ器具の一対の取付け部材に係止される係止具を設け、前記巻取りドラムを回転させるドラム回転機構を設け、このドラム回転機構は前記巻取りドラムに付設されたウォームホイールとこのウォームホイールに噛合するウォームとからなるウォームギヤにより構成され、このウォームギヤのウォームの駆動軸には携帯用電動回転工具の着脱部が着脱可能に装着される装着部を設けたことを特徴とする。 【発明の効果】 この発明の空調装置の室外機昇降装置は、室外機を設置する際に、本体の下面に回転可能に設けた巻取りドラムから巻出した4本のケーブルを4つのガイドプーリを介して上方向に繰出し、4本のケーブルの他端側の係止具を建物の天井面に取り付けられた吊り下げ器具の一対の取付け部材に係止することにより、室外機の設置作業を開始することができ、室外機を吊り上げる際に、ドラム回転機構を構成するウォームギヤのウォームの駆動軸に設けた装着部に携帯用電動回転工具の着脱部を装着し、携帯用電動回転工具を駆動してドラム回転機構により巻取りドラムを回転させ、4本のケーブルを巻取ることにより、本体を天井面に向かって上昇させて室外機を安定して吊り上げることができ、携帯用電動回転工具を停止させても、ドラム回転機構を構成するウォームギヤによって巻取りドラムの逆転が阻止されることにより、4本のケーブルの巻出しを防止することができる。 このため、この発明の空調装置の室外機昇降装置は、建物の天井面に空調装置の室外機を吊り下げ器具により吊り下げて設置する際に、設置前の作業や吊り上げ作業が簡単であり、吊り上げ時の安定性を向上して建物の天井面への室外機の吊り上げを1人の作業者で行うことができ、室外機を容易かつ迅速に天井面に設置にすることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 この発明の空調装置の室外機昇降装置は、本体の下面に設けた巻取りドラムから巻出した4本のケーブルを4つのガイドプーリを介して上方向に繰出し、4本のケーブルの他端側の係止具を建物の天井面に取り付けられた吊り下げ器具の一対の取付け部材に係止し、ドラム回転機構を構成するウォームギヤのウォームの駆動軸に設けた装着部に携帯用電動回転工具の着脱部を装着して駆動し、ドラム回転機構により巻取りドラムを回転させて4本のケーブルを巻取ることにより、本体を天井面に向かって上昇させて室外機を安定して吊り上げるものである。 以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。 図1〜図12は、この発明の実施例を示すものである。図1・図2において、2は建物、4は建物2の壁部、6は壁部4の壁面、8は壁部4から張り出したベランダ等の張出部、10は張出部8の天井面である。建物2の張出部8の天井面10には、空調装置の室外機12を吊り下げて設置するために、吊り下げ器具14が取り付けられる。吊り下げ器具14は、図2に示すように、張出部8の天井面10に4つの取付けナット16−1〜16−4を埋設し、各取付けナット16−1〜16−4に夫々取付けボルト18−1〜18−4を螺着している。4つの取付けナット16−1〜16−4は、2つを1組として2組16−1・16−3、16−2・16−4に分け、壁部4の壁面6と平行するように2組の取付けナット16−1・16−3、16−2・16−4を壁面6に対して前後に2列に配設している。 吊り下げ器具14は、4つの取付けナット16−1〜16−4に螺着した各取付けボルト18−1〜18−4により天井面10に一対の取付け部材20−1・20−2を壁部4の壁面6と平行に取り付け、一対の取付け部材20−1・20−2の長手方向両端側に夫々吊り下げ部材22−1〜22−4の上端を固定ボルト24により固定する。一対の取付け部材20−1・20−2の長手方向一端側に夫々固定した2つの吊り下げ部材22−1・22−2の下端には、支持部材26−1の長手方向両端を夫々固定ボルト28により固定する。一対の取付け部材20−1・20−2の長手方向他端側に夫々固定した2つの吊り下げ部材22−3・22−4の下端には、支持部材26−2の長手方向両端を夫々固定ボルト28により固定する。吊り下げ器具14は、一対の支持部材26−1・26−2により室外機12を支持し、天井面10に室外機12を吊り下げて設置する。 室外機12を吊り下げ器具14により天井面10に吊り下げて設置するために、室外機12を昇降させる室外機昇降装置30は、図3〜図10に示すように、室外機12を搭載する長四角枠形状の本体32を設けている。本体32は、図3・図5に示すように、3本の長い横材34−1〜34−4と6本の短い縦材36−1〜36−6とにより長四角枠形状に形成される。 この本体32の下面38には、支持枠40を設けている。支持枠40は、図4〜図7に示すように、横材34−2の下側に取り付けられる略U字形状の横支持材42と、縦材36−3の下側に取り付けられる略U字形状の縦支持材44とからなり、横支持材42及び縦支持材44を本体32の略中心部で交差させて連結している。横材34−2及び縦材36−3が交差する部分と、横支持材42及び縦支持材44が交差する部分との間には、図8に示すように、本体32の略中心部に位置させて、軸受46・48により上下方向に指向する回転軸50を軸支している。 回転軸50には、巻取りドラム52を設けている。この巻取りドラム52の外周には、図8に示すように、4つの巻取り溝54−1〜54−4を上下方向に同軸上に並べて設けている。この4つの巻取り溝54−1〜54−4には、4本のケーブル56−1〜56−4の各一端側を夫々固定している。4本のケーブル56−1〜56−4は、巻取りドラム52の4つの巻取り溝54−1〜54−4から、本体32の下面38と平行な水平方向であって、長四角枠形状の本体32の各隅部に向かって巻出し・巻取りされる。巻取りドラム52の周囲には、ケーブル56−1〜56−4に張力が作用していない場合に、巻取り溝54−1〜54−4から外れることを阻止するケーブル押さえ具58を設けている。ケーブル押さえ具58は、巻取りドラム52外周に近接して、支持枠40の横支持材42及び縦支持材44の各上部に4つ取り付けられている。 本体32の下面38には、各隅部に4つのガイドプーリ60−1〜60−4を設けている。4つのガイドプーリ60−1〜60−4は、各ケーブル56−1〜56−4の延びる方向にプーリ溝62−1〜62−4(図9・図10参照)を平行させ、保持軸64−1〜64−4に回転可能に保持されている。保持軸64−1〜64−4は、本体32の下面38の各隅部に取り付けられた保持具66−1〜66−4に保持されている。4つのガイドプーリ60−1〜60−4は、巻取りドラム52から水平方向に巻出し・巻取りされる4本のケーブル56−1〜56−4を、上方向に向かって湾曲させて上下方向に繰り出し・引き込むように案内する。 4つのガイドプーリ60−1〜60−4は、図6〜図8に示すように、各ケーブル56−1〜56−4の接する最下位置が、巻取りドラム52に設けた4つの巻取り溝54−1〜54−4の本体32の下面38からの各距離D1〜D4と一致するように、各保持軸64−1〜64−4の保持位置を異ならせて夫々保持具66−1〜66−4に保持されている。また、4つのガイドプーリ60−1〜60−4は、図9・図10に示すように、各保持具66−1〜66−4の下側を本体32の幅方向内側に向かって角度θ(例えば、3度)だけ傾けて取り付け、4本のケーブル56−1〜56−4が本体32の幅方向外側に向かってわずかに斜めの上下方向に繰り出し・引き込まれるように、本体32の下面38に対して最下位置を幅方向内側に傾斜させて保持軸64−1〜64−4に軸支されている。 前記4本のケーブル56−1〜56−4の他端側には、夫々係止具68−1〜68−4を設けている。係止具68−1〜68−4は、図9・図10に示すように、ケーブル56−1〜56−4の他端側に固定された係止用環状部70−1〜70−4と、吊り下げ器具14の一対の取付け部材20−1・20−2に係止される係止用ボルト部72−1〜72−4とからなる。係止具68−1〜68−4は、係止用環状部70−1〜70−4に形成した嵌合部74−1〜74−4を、係止用ボルト部72−1〜72−4に形成した嵌合穴76−1〜76−4に、遊びを持たせて嵌合することにより、係止用環状部70−1〜70−4に対して係止用ボルト部72−1〜72−4を回転可能に連絡している。 前記建物2の天井面10に取り付けられた吊り下げ器具14の一対の取付け部材20−1・20−2の長手方向両端には、図2に示すように、夫々係止用ナット部78−1〜78−4を取付けている。係止具68−1〜68−4は、係止用ボルト部72−1〜72−4を回転させて、一対の取付け部材20−1・20−2の長手方向両端に取付けた係止用ナット部78−1〜78−4に螺着することにより、一対の取付け部材20−1・20−2に係止される。 前記本体32の下面38には、前記巻取りドラム52を回転させるドラム回転機構80を設けている。このドラム回転機構80は、図7・図8に示すように、巻取りドラム52に付設されたウォームホイール82と、このウォームホイール82に噛合するウォーム84とからなるウォームギヤ86により構成される。ウォームホイール82は、巻取りドラム52の上部に固定され、回転軸50により巻取りドラム52と同期して回転する。ウォーム84は、図5に示すように、軸線方向両側を軸受88・90により回転可能に軸支されている。軸受88・90は、縦材36−4の下側に取り付けられた軸受保持体92・94に保持されている。 このウォームギヤ86のウォーム84には、軸線方向一側に駆動軸96を設けている。駆動軸96は、図7に示すように、一端側を軸受88及び軸受保持体92に貫通させてウォーム84に結合し、他端側を横材34−1から外側に突出するように延長している。駆動軸96は、他端側を軸受98により回転可能に軸支されている。軸受98は、縦材36−4の下側に取り付けた軸受保持具100に保持されている。横材34−1から外側に突出された駆動軸96の他端側には、装着部102を設けている。装着部102には、携帯用電動回転工具である充電式の電動ドライバ104の着脱部であるチャック106が着脱可能に装着される。 次に、この実施例の作用を説明する。 室外機昇降装置30により室外機12を昇降させ、建物2の天井面10に吊り下げ器具14により吊り下げて設置する際には、図1・図2に示すように、建物2の天井面10に吊り下げ器具14の一対の取付け部材20−1・20−2を、取付けナット16−1〜16−4及び取付けボルト18−1〜18−4により取り付ける。 室外機昇降装置30は、長四角枠形状の本体32を建物2の張出部8の下方に持ち込み、床面に載置する。室外機昇降装置30は、本体32に室外機12を搭載し、本体32の下面38の巻取りドラム52から巻出した4本のケーブル56−1〜56−4を4つのガイドプーリ60−1〜60−4を介して上方向に繰出し、係止具68−1〜68−4の係止用ボルト部72−1〜72−4を一対の取付け部材20−1・20−2の係止用ナット部78−1〜78−4に螺着して、取付け部材20−1・20−2に係止具68−1〜68−4を係止する。 これにより、室外機昇降装置30は、室外機12を吊り上げて、吊り下げ器具14による設置作業を開始できるようになる。 室外機昇降装置30は、室外機12を搭載した本体32から突出された駆動軸96の装着部102に電動ドライバ104のチャック106を装着し、電動ドライバー104を駆動してドラム回転機構80により巻取りドラム52を図3の矢印E方向に回転させると、4本のケーブル56−1〜56−4が巻取りドラム52の巻取り溝54−1〜54−4に巻き取られて、本体32を天井面10に向かって上昇させる。 このとき、室外機昇降装置30は、図11に示すように、本体32の幅方向において対となるガイドプーリ60−1・60−2及びガイドプーリ60−3・60−4の最下位置間の距離をL1とし、一対の取付け部材20−1・20−2に埋設した対となる係止用ナット78−1・78−2及び係止用ナット78−3・78−4の埋設位置間の距離をL2とし、各ガイドプーリ60−1〜60−4の最下位置から各係止用ナット78−1〜78−4の埋設位置までの距離をL3とすると、距離L1に対する距離L2の差が大きいほど、また、距離L3が小さくなるほど、ガイドプーリ60−1〜60−4に対してケーブル56−1〜56−4が本体32の幅方向外側に傾いて、ケーブル56−1〜56−4がプーリ溝62−1〜62−4から外れやすくなる。 この室外機昇降装置30は、4つのガイドプーリ60−1〜60−4の各ケーブル56−1〜56−4が接する最下位置を、4つの巻取り溝54−1〜54−4の本体32の下面38からの各距離D1〜D4と一致するように異ならせたことにより、巻取りドラム52に均等に且つ安定して巻出し・巻取りさせることができ、また、4つのガイドプーリ60−1〜60−4の下側を、本体32の下面38に対して幅方向内側に傾斜させて軸支していることにより、ガイドプーリ60−1〜60−4に対するケーブル56−1〜56−4の幅方向外側への傾きを小さくすることができ、ケーブル56−1〜56−4がプーリ溝62−1〜62−4から外れることを防止でき、室外機12を安定して吊り上げ・吊り降ろしすることができる。 なお、この室外機昇降装置30は、図12に示すように、ガイドプーリ60−1・60−2及びガイドプーリ60−3・60−4の最下位置間の距離L1が、係止用ナット78−1・78−2及び係止用ナット78−3・78−4の埋設位置間の距離L2と等しい場合に、ガイドプーリ60−1〜60−4に対するケーブル56−1〜56−4の本体32の幅方向内側への傾きを小さくすることができ、ケーブル56−1〜56−4がプーリ溝62−1〜62−4から外れることを防止でき、室外機12を安定して吊り上げ・吊り降ろしすることができる。 室外機昇降装置30は、室外機12を設置位置よりもわずかに上方まで吊り上げると、電動ドライバ104を停止する。室外機昇降装置30は、電動ドライバ104を停止させても、ドラム回転機構80を構成するウォームギヤ86によって巻取りドラム52の逆転が阻止されることにより、4本のケーブル56−1〜56−4の巻出しを防止することができ、室外機12を設置位置よりもわずかに上方の位置に停止させることができる。 吊り下げ器具14は、室外機12を設置位置よりもわずかに上方の位置に停止させた状態において、一対の取付け部材20−1・20−2に夫々吊り下げ部材22−1〜22−4の上端を固定し、2組の吊り下げ部材22−1・22−2、22−3・22−4の各下端同士を支持部材26−1・26−2により連結する。支持部材26−1・26−2は、室外機12のわずかに下側に位置されて、2組の吊り下げ部材22−1・22−2、22−3・22−4の各下端に連結される。 室外機昇降装置30は、電動ドライバー104を駆動してドラム回転機構80により巻取りドラム52を図3の矢印F方向に回転させて、4本のケーブル56−1〜56−4を巻取りドラム52の巻取り溝54−1〜54−4から巻き出してわずかに下降させると、支持部材26−1・26−2上に室外機12が支持される。 室外機昇降装置30は、支持部材26−1・26−2上に室外機12を支持させた後に、電動ドライバ104を駆動してドラム回転機構80により巻取りドラム52を図3の矢印F方向にさらに回転させ、4本のケーブル56−1〜56−4を巻取りドラム52から巻き出して本体32を下降させ、床面に降ろす。本体32を床面に降ろした室外機昇降装置30は、係止具68−1〜68−4の係止用ボルト部72−1〜72−4を回転させて取付け部材20−1・20−2の係止用ナット部78−1〜78−4から取り外し、電動ドライバ104を駆動して巻取りドラム52にケーブル56−1〜56−4を巻取ることにより、室外機12を設置場所から容易に持ち出すことができる。 このように、室外機昇降装置30は、室外機12を設置する際に、長四角枠形状の本体32の下面38の略中心部に回転軸50により回転可能に設けた巻取りドラム52から巻出した4本のケーブル56−1〜56−4を本体32の下面38の各隅部に設けた4つのガイドプーリ60−1〜60−4を介して上方向に繰出し、4本のケーブル56−1〜56−4の他端側の係止具68−1〜68−4を建物2の天井面10に取り付けられた吊り下げ器具14の一対の取付け部材20−1・20−2の長手方向両端に夫々係止することにより、室外機12の設置作業を開始することができる。 また、室外機昇降装置30は、室外機12を吊り上げる際に、ドラム回転機構80を構成するウォームギヤ86のウォーム84の駆動軸96に設けた装着部102に電動ドライバ104のチャック106を装着し、電動ドライバ104を駆動してドラム回転機構80により巻取りドラム52を回転させ、4本のケーブル56−1・56−4を巻取ることにより、本体32を天井面10に向かって上昇させて室外機12を安定して吊り上げることができる。 このとき、室外機昇降装置30は、電動ドライバ102を停止させても、ドラム回転機構76を構成するウォームギヤ86によって巻取りドラム52の逆転が阻止されることにより、4本のケーブル56−1〜56−4の巻出しを防止して、室外機12の下降を防止することができる。 このため、この室外機昇降装置30は、建物2の天井面10に空調装置の室外機12を吊り下げ器具14により吊り下げて設置する際に、設置前の作業や吊り上げ作業が簡単であり、吊り上げ時の安定性を向上して建物2の天井面10への室外機12の吊り上げを1人の作業者で行うことができ、室外機12を容易かつ迅速に天井面10に設置にすることができる。 なお、この実施例の室外機昇降装置30は、建物2の天井面10に吊り下げ器具14により室外機12を吊り下げて設置する場合を例示したが、図13・図14に示すように、建物2の壁部4の壁面6に支持器具108により室外機12を支持して設置する場合にも適用することができる。 図14に示す支持器具108は、建物2の壁面6に取付けナット及び取付けボルト110により支持器具108の取付け部材112を水平に取り付け、取付け部材112の長手方向両端側に夫々垂下部材114−1・114−2の上端を固定ボルト116により固定し、一対の垂下部材114−1・114−2の下端に壁面6から突出するように夫々支持部材118−1・118−2を固定ボルト120により固定している。支持器具108は、一対の支持部材118−1・118−2により室外機12を支持し、壁面6に室外機12を設置する。 室外機12を支持器具108により壁面6に支持して設置するために、取付け部材112の長手方向両端に上下方向に長い夫々固定部材122−1・122−2の中間を固定ボルト124により固定し、一対の固定部材122−1・122−2の下端に壁面6との隙間を調整する調整具126−1・126−2を設け、一対の固定部材122−1・122−2の上端に壁面6から突出するように夫々吊り部材128−1・128−2を固定ボルト130により固定し、吊り部材128−1・128−2に係止用ナット部132−1〜132−4を取り付けている。 建物2の壁面6に支持器具108により室外機12を設置する際には、支持器具108の支持部材118−1・118−2を外した状態において、図13に示すように、室外機昇降装置30の本体32を吊り部材128−1・128−2の下方に持ち込んで床面に載置し、本体32に室外機12を搭載し、巻取りドラム52から巻出した4本のケーブル56−1〜56−4を4つのガイドプーリ60−1〜60−4を介して上方向に繰出し、係止具68−1〜68−4の係止用ボルト部72−1〜72−4を吊り部材128−1・128−2の係止用ナット部132−1〜132−4に螺着して、係止具68−1〜68−4を係止する。 室外機昇降装置30は、この状態から電動ドライバー104を駆動してドラム回転機構80により巻取りドラム52を回転させ、4本のケーブル56−1〜56−4を巻取って本体32に搭載した室外機12を設置位置よりもわずかに上方に吊り上げ、支持器具106の一対の垂下部材114−1・114−2の下端に夫々支持部材118−1・118−2を固定した後に、巻取りドラム52から4本のケーブル56−1〜56−4をわずかに巻き出して室外機12を支持部材118−1〜118−4に支持させる。 室外機12を支持部材118−1〜118−2に支持させた室外機昇降装置30は、巻取りドラム52から4本のケーブル56−1〜56−4を巻き出して本体12を床面に降ろし、係止具68−1〜68−4の係止用ボルト部72−1〜72−4を吊り部材128−1・128−2の係止用ナット部132−1〜132−4から取り外し、巻取りドラム52にケーブル56−1〜56−4を巻取ることにより、室外機12を設置場所から容易に持ち出すことができる。 このように、この室外機昇降装置30は、建物2の壁部4の壁面6に室外機12を支持器具108により支持して設置する場合にも適用することができる。 また、この室外機昇降装置30は、足場を組んで室外機12を吊り下げ器具14により吊り下げて設置する場合にも適用でき、室内機を天井に埋め込んで設置する場合や、室内機を天井に吊り下げて設置する場合にも適用することができる。 さらに、この室外機昇降装置30は、巻取りドラム52にウォームホイール82を固定して一体化しているが、巻取りドラム52とウォームホイール82とを別体にすることもでき、電動ドライバ104に代えて、クランクレバー等の手動式の回転器具を駆動軸96の装着部102に着脱可能に設けることができ、ウォームギヤ86により構成されるドラム回転機構80による逆転阻止の機能に加えて、ラチェット等の掛止機構による逆転阻止の機能を付加して二重の逆転阻止の機能を設けることもでき、本体32を長四角枠形状としたが、スライド構造として長さを可変とすることができ、係止用ボルト部72−1〜72−4と係止用ナット部78−1〜78−4とにより一対の取付け部材20−1・20−2に係止具68−1〜68−4を係止したが、アイボルトとフックとにより一対の取付け部材20−1・20−2に係止具68−1〜68−4を係止することもできる。 【産業上の利用可能性】 この発明の空調装置の室外機昇降装置は、本体の下面に設けた巻取りドラムから4本のケーブルを4つのガイドプーリを介して上方向に案内し、係止具を建物の天井面に取り付けられた一対の取付け部材に夫々係止し、ドラム回転機構を携帯用電動回転工具により駆動して巻取りドラムを回転させ、4本のケーブルを巻取って本体を天井面に向かって上昇させて室外機を安定して吊り上げるものであり、各種の物品を建物に沿って昇降させるものに適用することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】実施例を示す室外機昇降装置の作用を説明する側面図である。 【図2】天井面に取り付けた吊り下げ器具の斜視図である。 【図3】室外機昇降装置の平面図である。 【図4】室外機昇降装置の正面図である。 【図5】室外機昇降装置の底面図である。 【図6】室外機昇降装置の右側面図である。 【図7】室外機昇降装置の左側面図である。 【図8】巻取りドラム及びドラム回転機構の一部破断拡大側面図である。 【図9】(A)は図3の矢印Aによるガイドプーリ及びケーブル部分の拡大側面図、(B)は図3の矢印Bによるガイドプーリ及びケーブル部分の拡大側面図である。 【図10】(C)は図3の矢印Cによるガイドプーリ及びケーブル部分の拡大側面図、(D)は図3の矢印Dによるガイドプーリ及びケーブル部分の拡大側面図である。 【図11】ガイドプーリ間の距離と係止用ナット間の距離との差が大きい場合のガイドプーリ及びケーブル部分の拡大側面図である。 【図12】ガイドプーリ間の距離と係止用ナット間の距離とが等しい場合のガイドプーリ及びケーブル部分の拡大側面図である。 【図13】変形例を示す室外機昇降装置の作用を説明する側面図である。 【図14】変形例を示す壁面に取り付けた支持器具の斜視図である。 【符号の説明】 2 建物 4 壁部 6 壁面 8 張出部 10 天井面 12 室外機 14 吊り下げ器具 20−1・20−2 取付け部材 22−1〜22−4 吊り下げ部材 26・26−2 支持部材 30 室外機昇降装置 32 本体 38 下面 50 回転軸 52 巻取りドラム 56−1〜56−4 ケーブル 60−1〜60−4 ガイドプーリ 68−1〜68−4 係止具 78−1〜78−4 係止用ナット部 80 ドラム回転機構 86 ウォームギヤ 96 駆動軸 104 電動ドライバ |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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【図6】 |
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【図7】 |
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【図8】 |
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【図9】 |
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【図10】 |
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【図11】 |
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【図12】 |
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【図13】 |
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【図14】 |
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