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電機
 
【発明の名称】重力発電機
【国際特許分類】
F03B 17/00 (2006.01)
【FI】
F03B 17/00
【特許権者】
【識別番号】521159492
【氏名又は名称】能田 勝
【住所又は居所】千葉県香取郡多古町出沼156-25 サンリバー203
【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
【代理人】
【識別番号】100225347
【弁理士】
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
【発明者】
【氏名】能田 勝
【住所又は居所】千葉県香取郡多古町出沼156-25 サンリバー203
【要約】
【課題】発電機の発電に用いられる質量体を確保でき、かつ、発電に必要な運動エネルギーを得られる高さへ、質量体を移動可能な重力発電機を提供する。
【解決手段】回転するドラム17と、ドラム17の回転方向に設けられた複数の発電部18,19,20,21と、を有し、複数の発電部18,19,20,21は、ドラム17に設けた容器25と、容器25の内部に設けた第1室35及び第2室36と、第1室35と第2室36とをつなぐ収容室34と、容器25の内部に収容され、かつ、容器25の内部を移動する水W1と、収容室34に設けられ、かつ、水W1が移動する運動エネルギーで回転されるタービン26と、タービン26が回転する運動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機と、をそれぞれ有する、重力発電機10を設けた。
【選択図】図2
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外力が加えられて回転する回転体と、
前記回転体の回転方向に間隔をおいて設けられた複数の発電部と、
を有し、
前記複数の発電部は、
前記回転体に取り付けられた容器と、
前記容器の内部に設けられた第1室及び第2室と、
前記容器の内部に設けられ、かつ、前記第1室と前記第2室とをつなぐ収容室と、
前記容器の内部に収容され、かつ、前記回転体が回転されると、前記第1室と前記収容室との間、及び前記第2室と前記収容室との間で移動する質量体と、
前記収容室に設けられ、かつ、前記質量体が移動する運動エネルギーで回転されるタービンと、
前記タービンが回転する運動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機と、
をそれぞれ有する、重力発電機。
【請求項2】
請求項1記載の重力発電機において、
前記回転体を回転可能に支持する支持軸が更に設けられている、重力発電機。
【請求項3】
請求項1記載の重力発電機において、
前記回転体は、回転方向の全周に亘って環状のリブを有し、
液体を収容する水槽が設けられ、
前記回転体の回転方向の一部は、前記水槽内の液体に浸漬され、
前記回転体が前記水槽内の液体から浮力を受けている状態で前記リブの内周面に接触するローラが設けられ、
前記ローラは、前記回転体を、該回転体の中心線を中心として回転可能に保持する、重力発電機。
【請求項4】
請求項1記載の重力発電機において、
前記回転体の外周面に接触する複数のローラが設けられ、
複数の前記ローラは、前記回転体の質量を受けることにより、前記回転体を、該回転体の中心線を中心として回転可能に保持する、重力発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水等の質量体が移動する運動エネルギーで発電機を駆動して電気エネルギーを得る重力発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の発電機として、河川にダムを設ける水力発電所が公知である。しかし、河川にダムを設ける水力発電所は、河川の存在が必要であり、また、山間部に設けられた水力発電所から市街地まで送電する送電設備を設置しなければならない。このため、送電設備の設置コスト及び送電設備のメンテナンスに多くの費用を要する。
【0003】
一方、上記のような大掛かりな設備を要しないペルトン水車発電機の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されているペルトン水車発電機は、発電機と、発電機の回転軸に支持された複数のバケットと、複数のバケットに向けて水を射出する射出装置と、複数のバケット及び射出装置を収容するハウジングと、を備えている。複数のバケットは、回転軸の外周面に対して回転方向に等間隔で設けられている。射出装置は、配管を介して貯水槽に接続されている。貯水槽は、射出装置よりも高い位置に配置されている。
【0004】
特許文献1に記載されたペルトン水車発電機は、貯水槽から射出装置に向かって落下した水は、射出装置からバケットに向けて射出される。すると、射出された水がバケットに当たり、水の運動エネルギーで回転軸が回転されて、発電機が発電を行う。なお、このような発電機は、特許文献1の他に特許文献2乃至13にも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特許第6835944号公報
【特許文献2】 特許第6908326号公報
【特許文献3】 特許第5771792号公報
【特許文献4】 特許第5463454号公報
【特許文献5】 特許第4941690号公報
【特許文献6】 特許第5792908号公報
【特許文献7】 特許第6586480号公報
【特許文献8】 特許第6182648号公報
【特許文献9】 特許第5226840号公報
【特許文献10】 特開2013−238215号公報
【特許文献11】 特開2013−40595号公報
【特許文献12】 特開2004−7864号公報
【特許文献13】 特開2020−190243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者は、特許文献1に記載されているペルトン水車発電機のように、水等の質量体が移動する運動エネルギーを用いて発電機で発電する場合、発電機の発電に利用した水等の質量体を、再度、発電機よりも高位に位置する貯水槽へ戻すか、または、貯水槽へ新たに水を供給するための設備が必要であり、効率が低下していた。
【0007】
本開示の目的は、発電機の発電に用いられる質量体を確保でき、かつ、発電に必要な運動エネルギーを得られる高さへ、質量体を移動可能な重力発電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の重力発電機は、外力が加えられて回転する回転体と、前記回転体の回転方向に間隔をおいて設けられた複数の発電部と、を有し、前記複数の発電部は、前記回転体に取り付けられた容器と、前記容器の内部に設けられた第1室及び第2室と、前記容器の内部に設けられ、かつ、前記第1室と前記第2室とをつなぐ収容室と、前記容器の内部に収容され、かつ、前記回転体が回転されると、前記第1室と前記収容室との間、及び前記第2室と前記収容室との間で移動する質量体と、前記収容室に設けられ、かつ、前記質量体が移動する運動エネルギーで回転されるタービンと、前記タービンが回転する運動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機と、をそれぞれ有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、発電機の発電に用いられる質量体を確保でき、かつ、発電に必要な運動エネルギーを得られる高さへ、質量体を移動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(A)は、重力発電機の実施形態1を示す正面図、(B)は、図1(A)の重力発電機の右側面図である。
【図2】図1(B)に示す発電ユニットをII−II線に沿って破断した正面断面図である。
【図3】発電ユニットが有する1基の発電部を拡大して示す断面図である。
【図4】(A)は、発電ユニットの重心と、ドラムの中心線との位置関係を示す模式図、(B)は、実施形態2における発電ユニットの重心と、ドラムの中心線との位置関係を示す模式図である。
【図5】(A)は、重力発電機の実施形態2を示す正面断面図、(B)は、重力発電機の実施形態2を示す側面断面図である。
【図6】(A)は、重力発電機の実施形態3を示す正面断面図、(B)は、重力発電機の実施形態5を示す側面断面図である。
【図7】(A)は、重力発電機の実施形態4を示す正面断面図、(B)は、重力発電機の実施形態4を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本開示の実施形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の内容に限定されない。
【0012】
(実施形態1)
図1及び図2には、重力発電機10の実施形態1が示されている。図1(A),(B)に示す重力発電機10は、台座11、2本の支柱12,13、支持軸14及び発電機ユニット15を有する。台座11は、板形状であり、台座11は、設置場所16、例えば、床
、テーブル等の上面に略水平に置かれる。2本の支柱12,13は、台座11から上に向けて突出されている。2本の支柱12,13は間隔をおいて設けられ、かつ、2本の支柱12,13は平行に配置されている。台座11及び2本の支柱12,13は、一例として金属製である。2本の支柱12,13は、台座11に対して固定されている。
【0013】
発電機ユニット15は、支持軸14を介して2本の支柱12,13により支持されている。支持軸14は、台座11と略平行に設けられ、かつ、台座11の上方に設けられている。支持軸14は、発電機ユニット15の質量に耐えることの可能な材料、一例として金属製であり、かつ、円柱形状である。支持軸14の中心線A1は、略水平である。発電機ユニット15は、支柱12と支柱13との間に設けられており、かつ、支持軸14によって支持されている。
【0014】
発電機ユニット15は、ドラム17、発電部18,19,20,21を有する。ドラム17は、円筒形状の胴部22と、胴部22の両端をそれぞれ塞ぐ円板部23と、を有し、円板部23の中心に、支持軸14が接続されている。ドラム17の外周面形状は、中心線A1を中心とする円形である。中心線A1は、ドラム17の中心に位置する仮想線である。このため、ドラム17は、支持軸14を中心として回転可能である。支持軸14は、1本または2本の何れでもよく、支持軸14が1本であると、支持軸14はドラム17を貫通して設けられる。支持軸14が2本であると、各支持軸14が円板部23にそれぞれ接続して設けられる。
【0015】
また、支持軸14、ドラム17、支柱12,13の関係としては、次の第1構造または、第2構造の何れでもよい。第1構造は、支持軸14がドラム17に固定され、支持軸14が支柱12,13によって回転可能な構造である。第2構造は、支持軸14が支柱12,13に固定され、かつ、ドラム17が支持軸14に対して回転可能な構造である。そして、本実施形態では、ドラム17に外力が加えられ、ドラム17が、図1(A)及び図2のように、時計回りB1で回転されるものとして説明する。
【0016】
図2のように、ドラム17は内部中空であり、ドラム17の内部には、ドラム17の回転方向に間隔をおいて、4つの発電部18,19,20,21が設けられている。発電部18,19,20,21は、共に同じ構成を有している。このため、便宜上、発電部18を例として構造を説明する。
【0017】
発電部18は、図3に示す容器25、タービン26、及び図1(A)に示す発電機27を有する。容器25は、金属製、または、合成樹脂製のケーシングまたはボックスであり、容器25は、ドラム17内に固定されている。容器25は、外壁28,29,30,31を有する。外壁28,29,30,31は、容器25の内部に収容された液体、例えば、水W1が、容器25の外部に漏れないように密閉空間を構成している。外壁28と外壁29とが平行に設けられ、かつ、外壁30と外壁31とが平行に配置されている。容器25の内部に隔壁32,33が設けられている。隔壁32,33は、外壁28と外壁29との間に設けられている。隔壁32は、外壁30と外壁31とにつながっている。隔壁33は、外壁30と外壁31とにつながっている。
【0018】
容器25の内部において、隔壁32と隔壁33との間に収容室34が設けられている。容器25の内部において、隔壁32と外壁28との間に第1室35が設けられ、かつ、隔壁33と外壁29との間に第2室36が設けられている。つまり、収容室34は、第1室35と第2室36との間に設けられている。隔壁32を貫通する通路37が設けられ、通路37は第1室35と収容室34とを接続している。隔壁32から第1室35に向けて突出された管部38が設けられている。管部38の通路39は、第1室35と収容室34とを接続している。隔壁32は、外壁28に対して平行ではなく、通路37が最も外壁28
から離れた位置となるように、隔壁32が外壁30,31に対して傾斜している。
【0019】
隔壁33を貫通する通路40が設けられ、通路40は第2室36と収容室34とを接続している。隔壁33から第2室36に向けて突出された管部41が設けられている。管部41の通路42は、第2室36と収容室34とを接続している。隔壁33は、外壁29に対して平行ではなく、通路40が最も外壁29から離れた位置となるように、隔壁33が外壁30,31に対して傾斜している。第1室35の容積と、第2室36の容積とは同じである。そして、図3のように、中心線A2に対して垂直な平面内において、容器25は、中心線A2を中心として点対象の形状及び構造を有する。
【0020】
タービン26は、収容室34に設けられている。タービン26は、タービン軸45の外周面から突出された羽根43を複数有する。タービン軸45は、中心線A2を中心として回転可能であり、複数の羽根43は、タービン軸45の回転方向に等間隔で設けられている。図1(B)のように、中心線A1と中心線A2とが平行に配置されている。容器25の内部に収容された水W1は、ドラム17の回転に伴い容器25内で移動する。第1室35内の水W1は、通路37、収容室34及び通路42を通って第2室36へ移動、具体的には流動する。第2室36内の水W1は、通路40、収容室34及び通路39を通って第1室35へ移動する。
【0021】
発電機27は、永久磁石及び導電コイルを有し、電磁誘導の法則により、図1(B)に示す回転軸44の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する機械である。図1(B)は、発電機27を容器25の内部に設けた例である。回転軸44は、タービン軸45に連結され、回転軸44及びタービン軸45は、共に中心線A2を中心として回転可能に設けられている。つまり、回転軸44及びタービン軸45は、共通の中心線A2を中心として設けられ、かつ、中心線A2に沿った方向に並べて配置されている。
【0022】
そして、図1(A)のように、発電部18のタービン軸45の中心線A1、発電部19のタービン軸45の中心線A1、発電部20のタービン軸45の中心線A1、発電部21のタービン軸45の中心線A1は、中心線A1を中心とする仮想円C1上に、等間隔で配置されている。言い換えると、発電部18,19,20,21は、中心線A1を中心とする仮想円C1上に、90度間隔で配置されている。
【0023】
発電機27は、直流発電機または、交流発電機の何れでもよい。また、図示はしていないが、発電機27で得られた電気エネルギーを、ドラム17の外部に取り出す送電装置が設けられている。送電装置は、例えば、電力ケーブル、電気端子、及び通電ブラシを有する。そして、支持軸14、ドラム17、支柱12,13の関係が前述した第1構造であると、発電機27に接続された電力ケーブルは、中空の支持軸14内まで延ばされる。支持軸14の外周面に電気端子が設けられ、電気端子は電力ケーブルに接続される。支柱12,13の少なくとも一方に通電ブラシが設けられ、電気端子と通電ブラシとが電気的に接続されている。通電ブラシは、電気エネルギーを蓄えるバッテリー、または電気エネルギーを消費する負荷等に接続されている。
【0024】
これに対して、支持軸14、ドラム17、支柱12,13の関係が前述した第2構造であると、発電機27に接続された電力ケーブルに電気端子が設けられ、電気端子はドラム17の内周面に取り付けられる。支持軸14に通電ブラシが設けられ、電気端子と通電ブラシとが電気的に接続されている。このように、第1構造または第2構造の何れであっても、ドラム17が停止している場合、または、ドラム17が回転している場合の何れにおいても、電気端子とブラシとが電気的に接続されている。
【0025】
重力発電機10の作用及び機能を説明する。図1(A)及び図2に示されたドラム17
に運動エネルギー、具体的には、ドラム17を時計回りB1で回転させる外力が加えられる。外力は、人力でもよいし、動力源の回転力の何れでもよい。動力源は、内燃機関、フライホイール等を含む。ドラム17が、支持軸14を中心として回転、具体的には、中心線A1を中心として回転されると、発電部18,19,20,21は、中心線A1の回りで観覧車のようにそれぞれ公転する。そして、発電部18,19,20,21のそれぞれにおいて発電が行われ、発電部18,19,20,21で発生した電力は、それぞれバッテリーまたは負荷へ送られる。
【0026】
発電部18,19,20,21のぞれぞれにおける発電は、次のようにして行われる。図1(A)及び図2における上下方向は、鉛直方向、つまり、重力の作用方向である。発電部18,19,20,21のそれぞれの位置は、中心線A1を中心とするクロックポジションに例えて説明されている。図1(A)及び図2においては、発電部18が“12時”の位置に示され、発電部19が“15時”の位置に示され、発電部20が“18時”の位置に示され、発電部21が“21時”の位置に示されている。また、発電部18,19,20,21の何れにおいても、ドラム17の半径方向で、中心線A1と外壁31との間に外壁30が配置されるように、ドラム17に対して容器25が固定されている。
【0027】
ここでは、主として発電部18の発電作用を説明する。発電部18が“12時”の位置にあると、水W1は第1室35に収容されている。また、水W1の水面(水位)は、管部38の開口端より低く、かつ、通路37より低い。なお、収容室34及び第2室36に水W1は収容されていない。ドラム17の回転によって発電部18が“12時”の位置から“15時”の位置へ向けて公転し、かつ、通路37が下降する。
【0028】
そして、水W1の水面が通路37に到達すると、第1室35の水W1は、重力で通路37及び収容室34を通って第2室36へ流れ込む。水W1が収容室34内を通る過程、つまり、水W1が落下する過程で羽根43に接触し、水W1の運動エネルギーがタービン26の回転エネルギーに変換される。タービン26は、図3のように中心線A2を中心として時計回りB2で回転する。タービン軸45の回転力は回転軸44に伝達され、発電機27において電磁誘導の法則によって発電される。
【0029】
ドラム17の回転によって発電部18が“15時”の位置を経由し、かつ、“18時”の位置へ到達するまでの間に、容器25内の水W1は全て第2室36へ流れ込む。水W1が収容室34を通らなくなり、かつ、タービン26が停止すると、発電機27は発電を終了する。ドラム17の回転によって発電部18が“18時”の位置を通過すると、通路40が上昇する。第2室36に流れ込んだ水W1の水面が、通路40より下に位置していると、水W1は第2室36に収容された状態が維持される。
【0030】
ドラム17の回転によって発電部18が“18時”の位置から“21時”の位置へ公転する過程で、水W1の水面が通路40に到達すると、第2室36の水W1は、重力で通路40及び収容室34を通り、第1室35へ流れ込む。水W1が収容室34内を通る過程、つまり、水W1が落下する過程で、電磁誘導の法則により発電機27が発電する。さらに、ドラム17の回転によって発電部18が“21時”の位置を経由し、かつ、“12時”の位置へ到達するまでの間に、容器25内の水W1は全て第1室35へ流れ込む。水W1が収容室34を通らなくなり、かつ、タービン26が停止すると、発電機27は発電を終了する。
【0031】
このように、外力でドラム17が回転されると、発電部18では、水W1が容器25内を重力で移動し、水W1が収容室34を通ってタービン26が回転される間、水W1の運動エネルギーが、発電機27によって電気エネルギーに変換される。なお、ドラム17が回転されて、容器25が“12時”の位置から移動され、かつ、“15時”の位置、“1
8時”の位置、及び“21時”の位置を経由して“12時”に到達するまでの間、第1室35内の水W1の水面は、管部38の開口端より低位であり、かつ、第2室36内の水W1の水面は、管部41の開口端より低位である。したがって、ドラム17が回転する過程で、第1室35内の水W1が、通路39を通って収容室34へ流れ込むことはなく、かつ、第2室36内の水W1が、通路42を通って収容室34へ流れ込むことはない。
【0032】
さらに、ドラム17が図1(A)及び図2で時計回りB1で回転され、発電部19、発電部20及び発電部21が、順次、異なるタイミングで“12時”の位置から移動され、かつ、“15時”の位置、“18時”の位置、及び“21時”の位置を経由して、それぞれ“12時”に到達する。このため、発電部19、発電部20及び発電部21のぞれぞれにおいて、発電部18と同様の法則で発電を行う。
【0033】
以上のように、重力発電機10は、ドラム17が外力で回転されると、容器25内を水W1が移動する運動エネルギーを、発電機27で電気エネルギーに変換できる。このため、重力発電機10に外部から水を供給する貯水槽等の設備を、ドラム17の外部に設けずに、発電機27で発電を行うことができる。また、発電機27での発電に必要な運動エネルギーを得られる高さへ、水W1を移動させるための設備を、ドラム17の外部に設けずに済む。したがって、重力発電機10における発電効率が上昇する。また、重力発電機10の設備の増加を抑制でき、メンテナンス費用の増加、及び設置コストの増加を抑制でき、安価である。
【0034】
さらに、発電機27の個々の発電量は、第1室35及び第2室36の容積、発電機27を構成する導電コイルの巻き数等により、任意に設定可能である。さらに、重力発電機10全体の発電量は、発電部の数を変更することにより、任意に調整可能である。さらに、重力発電機10は、河川にダムを設けることなく、また、溜め池が無くても発電を行うことができる。さらに、重力発電機10は、山間部、市街地、郊外等の何れにおいても設置可能である。つまり、重力発電機10は、電力を必要とする場所に設けることができ、送電設備の大型化を抑制できる。さらに、重力発電機10は、設置場所が問われないためポータブル化が可能であり、利用性が広がる。
【0035】
(実施形態2)
図4(A)には、前述した重力発電機10の実施形態1の中心線A1と、発電機ユニット15の重心X1との位置関係が示されている。中心線A1に対して垂直な平面内で、重心X1は、中心線A1より下に位置する。つまり、重力の作用方向で、中心線A1と重心X1との間に距離L1がある。これは、4個の容器25内の水W1が、何れも容器25内でそれぞれ下方に位置するからである。このため、図4(A)に示す発電機ユニット15を回転させるために必要な回転エネルギーは、重心X1と中心線A1とが同じ位置にある場合に発電機ユニット15を回転させるために必要な回転エネルギーに比べて、距離L1に対応する分が多くなる。
【0036】
重力発電機10の実施形態2は、発電機ユニット15を回転させるために必要な回転エネルギーを、なるべく低減するためのものであり、図5(A),(B)に示されている。重力発電機10の実施形態2において、重力発電機10の実施形態1と同様の構成については、重力発電機10の実施形態1と同じ符号を付してある。ドラム17は、中心線A1を中心とする軸孔46を有する。発電部18,19,20,21は、軸孔46の外側に等間隔で設けられている。水槽47が設置場所16に置かれており、水槽47内に水W2が収容されている。そして、台座11及び支柱12,13が、水W2内に配置されている。台座11は水槽47の底部48に置かれている。
【0037】
支持軸14の外周面にローラ49が取り付けられている。ローラ49は、中心線A3を
中心として回転可能である。中心線A3は、略水平である。ローラ49は、軸孔46に配置されており、ローラ49の全長は、軸孔46の全長より大きい。ローラ49の全部は、水W2内に位置している。ドラム17は、回転方向の略1/2程度が水W2に浸漬されている。
【0038】
このため、ドラム17は、アルキメデスの原理により、水W2から図5(A),(B)で上向き、つまり、重力の作用方向とは逆向きの浮力F1を受ける。浮力F1を受けるドラム17の内周面のうち、最も下に位置する箇所が、ローラ49の外周面に押し付けられる。そして、外力がドラム17に付与されると、前述と同様に時計回りB1でドラム17が回転され、発電部18,19,20,21でそれぞれ発電が行われる。ドラム17は、中心線A1を中心として回転され、ローラ49は、ドラム17の回転に伴い、ドラム17の内周面に接触した状態で転動する。つまり、ローラ49は、ドラム17を、中心線A1を中心として回転可能な状態で保持する。
【0039】
重力発電機10の実施形態2において、重力発電機10の実施形態1と同様の構成については、重力発電機10の実施形態1と同様の作用及び機能が生じる。また、重力発電機10の実施形態2は、ドラム17が水W2から浮力F1を受けるため、重力の作用方向において、発電機ユニット15の重心を、図4(A)の重心X1より高くすることができる。例えば、発電機ユニット15の重心X2を、図4(B)のように、見掛け上、中心線A1と同じ位置、または、中心線A1より上に位置させることができる。重力の作用方向における重心X2の位置は、ドラム17が受ける浮力F1に応じて定まる。ドラム17が受ける浮力F1は、水W2の水面50からドラム17の下端までの距離L2に応じて定まる。
【0040】
このように、重力発電機10の実施形態2においては、発電機ユニット15の重心X2を、ドラム17の中心線A1と同じ位置か、または、中心線A1より高い位置に設定可能である。したがって、発電機ユニット15を回転させるために必要な回転エネルギーを、なるべく低減させることが可能である。つまり、発電機ユニット15を回転させる回転エネルギーに対する発電量を、なるべく増加させることができ、発電効率が上昇する。また、ローラ49が、ドラム17の内周面に対して中心線A3に沿った方向の全域で接触するため、ドラム17の中心線A1が、図示しない水平線に対して傾斜することを防止できる。したがって、容器25内における水W1の移動が円滑に行われる。
【0041】
(実施形態3)
重力発電機10の実施形態3が、図6(A),(B)に示されている。重力発電機10の実施形態3は、重力発電機10の実施形態2と同様に、図4(B)に示す発電機ユニット15の重心X2を、中心線A1と同じ位置、または、中心線A1より上に位置させるためものである。重力発電機10の実施形態3において、重力発電機10の実施形態1、2と同様の構成については、重力発電機10の実施形態1、2と同じ符号を付してある。
【0042】
ドラム17には、中心線A1を中心とする環状のリブ52が、全周に亘って設けられている。ドラム17から中心線A1に沿った方向で異なる向きに2つのリブ52が逆向きに突出されている。2つのリブ52の内径は同一である。支持軸14に支持された2個のローラ49は、中心線A3に沿った方向で間隔をおいて設けられている。ドラム17は、ローラ49とローラ49との間に配置されている。また、図6(A),(B)に示されたドラム17の一部は、水槽47内の水W2に浸漬されている。このため、ドラム17は、水W2から図6(A),(B)で上向きの浮力F1を受けている。したがって、リブ52の内周面は、2個のローラ49の外周面にそれぞれ押し付けられる。このため、ドラム17は、略水平な中心線A1を中心として2個のローラ49により回転可能に保持されている。なお、ドラム17は、図5(A)に示す軸孔46を有していない。
【0043】
そして、ドラム17に外力が付与されて、ドラム17が図6(A)において時計回りB1で回転されると、発電部18,19,20,21でそれぞれ発電が行われる。ドラム17は、中心線A1を中心として回転され、ドラム17の回転に伴い、2個のローラ49は、リブ52の内周面にそれぞれ接触した状態で転動する。
【0044】
重力発電機10の実施形態3において、重力発電機10の実施形態1と同様の構成については、重力発電機10の実施形態1と同様の作用、機能が生じ、かつ、同様の効果を得ることができる。また、重力発電機10の実施形態3は、ドラム17が水W2から浮力F1を受けるため、重力の作用方向において、発電機ユニット15の重心を、図4(A)の重心X1より高くすることができる。例えば、発電機ユニット15の重心X2を、図4(B)のように、見掛け上、中心線A1と同じ位置、または、中心線A1より上に位置させることができる。したがって、発電機ユニット15を回転させるために必要な回転エネルギーを、なるべく低減させることが可能であり、発電効率が上昇する。
【0045】
さらに、2個のローラ49が、中心線A3に沿った方向の異なる2箇所でリブ52にそれぞれ接触するため、ドラム17の中心線A1が、図示しない水平線に対して傾斜することを防止できる。したがって、容器25内における水W1の移動が円滑に行われる。
【0046】
(実施形態4)
重力発電機10の実施形態4が、図7(A),(B)に示されている。重力発電機10の実施形態4において、重力発電機10の実施形態1と同様の構成については、重力発電機10の実施形態1と同じ符号を付してある。2本の支持軸14が、水平方向に間隔をおいて設けられている。2本の支持軸14は、ローラ51をそれぞれ回転可能に支持している。2本のローラ51は、中心線A4を中心としてそれぞれ回転可能である。2本の中心線A4は、略水平であり、かつ、重力発電機10を真上から見て2本の中心線A4は平行である。2本のローラ51の直径は同一である。ドラム17は、2本のローラ51によって支持されており、ドラム17の外周面が、2本のローラ51の外周面にそれぞれ接触されている。2本のローラ51は、ドラム17の質量を受け、かつ、ドラム17を中心線A1を中心として回転可能に保持する。また、2本の中心線A4と、中心線A1とは平行であり、中心線A1は、中心線A4より上に位置する。
【0047】
図7(A),(B)における重力発電機10の送電装置は、発電機27の電力ケーブルは電気端子に接続される。電気端子はドラム17の側面に、ドラム17の回転方向に沿って環状に取り付けられる。ドラム17の外部に通電ブラシが設けられ、電気端子と通電ブラシとが電気的に接続されている。
【0048】
重力発電機10の実施形態4においても、ドラム17に外力が付与されてドラム17が時計回りB1で回転される。ドラム17が回転されると、ドラム17の外周面と、2本のローラ51の外周面との摩擦力により、2本のローラ51が、図7(A)で反時計回りに回転する。このため、ドラム17は、2本のローラ51に支持された状態に維持される。重力発電機10の実施形態3において、重力発電機10の実施形態1と同様の構成については、重力発電機10の実施形態1と同様の作用、機能が生じ、かつ、同様の効果を得ることができる。
【0049】
(補足説明)
実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。ドラム17は、回転体の一例である。水W1は、質量体の一例である。中心線A1は、回転体の中心線の一例である。
【0050】
本実施形態で説明した重力発電機は、図面を用いて説明したものに限定されない。例えば、実施形態2を説明する図5(A)において、水槽47の正面側の壁面に、図7(A)に示すローラ51を設けて、ドラム17を図5(A)で右へ向けて押すようにすることができる。このように構成すると、ローラ49とドラム17の内周面とが接触する箇所(つまり、支点)を、図5(A)に示されている箇所より左側に移動させることができる。このため、ドラム17が受ける浮力を利用して、“12時”の位置から“18時”の位置へダウンする(移動する)発電部の比重を増やすことができる。したがって、ドラム17の回転を更に効率的にすることができる。
【0051】
さらに、実施形態3を説明する図6(A)において、水槽47の正面側の壁面に、図7(A),(B)に示すローラ51を設けて、ドラム17を図6(A)で右へ向けて押すようにすることができる。このように構成すると、ローラ49とリブ52の内周面とが接触する箇所(つまり、支点)を、図6(A)に示されている箇所より左側に移動させることができる。このため、ドラム17が受ける浮力を利用して、“12時”の位置から“18時”の位置へダウンする(移動する)発電部の比重を増やすことができる。したがって、ドラム17の回転を更に効率的にすることができる。
【0052】
さらにまた、複数の発電部は、3基以下が設けられていてもよいし、5基以上が設けられていてもよい。また、発電機は、ドラムの外部に設けられていてもよい。容器内に収容される液体は、水に代えて不凍液でもよい。不凍液は、気温が低下しても凍結せず、気温に関わりなく、容器内部における不凍液の流動性を確保できる。さらに、容器内に収容される質量体は、液体に代えて砂でもよい。すなわち、回転体の回転に伴い、容器内で移動可能な程度の粒径であり、かつ、乾燥した砂を用いることも可能である。また、各実施形態において、ドラムの回転方向は、時計回りに代えて反時計回りであっても、各発電部において、同様の作用及び機能が生じ、かつ、同様の効果を得ることが可能である。さらに、回転体は、内部中空のドラムに代えて、円板形状、フレーム形状等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本開示の重力発電機は、水等の質量体の移動エネルギーで発電機を駆動して、電気エネルギーを得る重力発電機として利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
10…重力発電機、14…支持軸、17…ドラム、18,19,20,21…発電部、25…容器、26…タービン、27…発電機、34…収容室、35…第1室、36…第2室、47…水槽、49,51…ローラ、W1…水
【図1】
選択図1
【図2】
選択図2
【図3】
選択図3
【図4】
選択図4
【図5】
選択図5
【図6】
選択図6 
【図7】
選択図7 
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