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【考案の名称】水車モジュール及び発電用水中水車装置
【実用新案権者】
【識別番号】507403285
【氏名又は名称】渡邉 伍八
【住所又は居所】東京都西多摩郡瑞穂町むさし野1−3−18−101
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100103757
【氏名又は名称】秋田 修
【考案者】
【氏名】渡邉 伍八
【住所又は居所】東京都西多摩郡瑞穂町むさし野1−3−18−101
【要約】
【課題】
海底や河川底の地形や用途に応じて、必要な数だけ複数段連結して使用することができる水車モジュールを提供するとともに、電力需要や設置場所の条件に適合する電力設備を短期間に低コストで実現することができる発電用水中水車装置を提供する。
【解決手段】
水流を受けて向きが変わる可動羽根を有する可動羽根水車を備えた水車モジュール4を海中や河川の水中に所望の台数だけ上下に連結して設置し、これらの水車モジュール4の可動羽根水車の回転を、出力軸6、出力歯車7、ピニオン9を介して台枠3上の発電機8に伝達することにより発電を行う。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
水車軸と、前記水車軸に軸方向に離間して固定された一対の羽根保持板と、これらの羽根保持板間に、水車軸中心に対して回転対称となる位置で、それぞれ水車軸に平行な軸線回りに基端側が回動自在に枢支された複数枚の可動羽根と、それぞれの可動羽根の自由端側が水車軸の略中心に向いた位置から水車軸の回転方向前方への回動を規制するストッパ部材とを備えた可動羽根水車と、
前記可動羽根水車の水車軸を垂直軸線回りに回転自在に支持するとともに、それぞれの可動羽根に対して周囲全方位から水流を通過可能で且つ、垂直方向に複数連結可能に構成された水車枠とを備え、
前記水車軸の上下端部は、水車枠の上面及び下面にそれぞれ突出して軸継手を装着可能に構成されていることを特徴とする水車モジュール。
【請求項2】
台枠に垂直軸線回りに回転自在に軸受支持された出力軸と、前記台枠に設けられ、前記出力軸に固定した出力歯車の周囲に配置され、それぞれ前記出力歯車と噛合するピニオンを有する複数の発電機と、前記台枠下方に1段ないし複数段連結されて水面下に配置される水車モジュールとを備え、
前記水車モジュールは、水車軸と、前記水車軸に軸方向に離間して固定された一対の羽根保持板と、これらの羽根保持板間に、水車軸中心に対して回転対称となる位置で、それぞれ水車軸に平行な軸線回りに基端側が回動自在に枢支された複数枚の可動羽根と、それぞれの可動羽根の自由端側が水車軸の略中心に向いた位置から水車軸の回転方向前方への回動を規制するストッパ部材とを備えた可動羽根水車と、前記可動羽根水車の水車軸を垂直軸線回りに回転自在に支持するとともに、それぞれの可動羽根に対して周囲全方位から水流を通過可能で且つ、垂直方向に複数連結可能に構成された水車枠からなり、前記水車軸の上下端部は、水車枠の上面及び下面にそれぞれ突出して、前記出力軸と水車モジュールの水車軸間、ならびに、上下に連結された水車モジュールの水車軸間が可撓軸継手で相互に連結されていることを特徴とする発電用水中水車装置。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
本考案は、海流や河川流を利用して回転動力を得るための水車モジュール関し、また、前記水車モジュールを用いて構成される発電用水中水車装置に関する。
【背景技術】
近年、石油や石炭等の燃料資源を用いた火力発電においては、燃料資源に限りがあることと、CO2等の温室効果ガスの排出による地球温暖化への影響が問題となっている。一方、原子力発電ではCO2等の発生の問題は生じないが、高レベル放射性廃棄物の処理の問題があるとともに、安全性に対する国民の理解を得ることが困難な問題がある。
そこで、近年では、エネルギ資源として枯渇する心配がなく、また、CO2等の温室効果ガスが発生する問題もない太陽光や風力のような自然エネルギを利用した、太陽光発電や風力発電が着目されており、徐々に実用化されつつある。
【考案の開示】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、太陽光発電はその時々の日照状態によって発電量が大きく変動し、また夜間は発電できないため、定常的に安定した電力供給を行う目的には不向きであるとともに、大電力を得るためには広大な受光面積を必要とする問題がある。
また、風力発電は太陽光発電のように夜間に発電できなくなることはないものの、年間を通じて定常的に一定の強さの風が吹いている場所でしか利用できず、また、気象状態が変化しやすい場所では、天候によって出力電圧が大きく変動するため、非常に限られた地域でしか利用できない問題がある。
一方、例えば、特許文献1においては、転動体竪軸に固着して水中に配置した竪型曲面板翼を海流等で回転させて、浮体構造台船に搭載した発電機で発電を行うようにした「自動全方位型の自然流水発電水車」が提案されている。
【特許文献1】
特開平8−109865号公報
前記特許文献1に記載されている発明は、海流や河川流の流れ方向に関係なく発電が可能であり、また、太陽光発電や風力発電と比較して、時間帯や天候による影響を受けにくい利点がある。
ところが、特許文献1に記載されているものは、竪型曲面板翼の高さを増せば発電能力を高めることができるが、海底や川底が浅いところでは使用できなくなる問題があり、また、1つの浮体構造台船に搭載された発電機の発電能力を超える電力需要に対応するためには、浮体構造台船を複数用意する必要がある。
そこで、本考案は、前述したような従来技術における問題点を解決し、海底や河川底の地形や用途に応じて、必要な数だけ複数段連結して使用することができる水車モジュールを提供するとともに、電力需要や設置場所の条件に適合する電力設備を短期間に低コストで実現することができる発電用水中水車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本考案の水車モジュールは、水車軸と、前記水車軸に軸方向に離間して固定された一対の羽根保持板と、これらの羽根保持板間に、水車軸中心に対して回転対称となる位置で、それぞれ水車軸に平行な軸線回りに基端側が回動自在に枢支された複数枚の可動羽根と、それぞれの可動羽根の自由端側が水車軸の略中心に向いた位置から水車軸の回転方向前方への回動を規制するストッパ部材とを備えた可動羽根水車と、
前記可動羽根水車の水車軸を垂直軸線回りに回転自在に支持するとともに、それぞれの可動羽根に対して周囲全方位から水流を通過可能で且つ、垂直方向に複数連結可能に構成された水車枠とを備え、前記水車軸の上下端部は、水車枠の上面及び下面にそれぞれ突出して軸継手を装着可能に構成されていることを特徴としている。
また、本考案の発電用水中水車装置は、台枠に垂直軸線回りに回転自在に軸受支持された出力軸と、前記台枠に設けられ、前記出力軸に固定した出力歯車の周囲に配置され、それぞれ前記出力歯車と噛合するピニオンを有する複数の発電機と、前記台枠下方に1段ないし複数段連結されて水面下に配置される前述した水車モジュールとを備え、前記出力軸と水車モジュールの水車軸間、ならびに、上下に連結された水車モジュールの水車軸間が可撓軸継手で相互に連結されていることを特徴としている。
【考案の効果】
請求項1に記載された考案に係る水車モジュールによれば、海中もしくは河川の水中に設置することにより、可動羽根水車が水流の向きに拘わらず、効率的に海流や河川流の自然エネルギを回転エネルギに変換して利用することができる。また、海底や河川底の地形や用途に応じて、必要な数だけ複数段連結して使用することができる。
また、請求項2に記載された考案に係る発電用水中水車装置によれば、台枠を海上や河川の上に設置して安定した電力供給を行うことができる。また、台枠の下方に連結する水車モジュールの数を増減するだけで、設置場所の海底や河川底の地形や電力需要に柔軟に対応することができるため、様々な設置場所の条件に最適な発電設備を低コストで且つ短期間に実現することができる。
【考案を実施するための最良の形態】
図1は、本考案の発電用水中水車装置の1実施形態を示す、海上に構築した発電設備の概略部分側面図、図2はその概略部分平面図である。図1に示すように、本考案の発電用水中水車装置1は、フロート2によって海面に浮かべられている台枠3下方の海中に、後述する複数台の水車モジュール4を連結ピース5を介して複数連結して構成されている。
図2に示すように、フロート2と台枠3は縦横に複数列設けられており、海上で定常的に海流が得られる場所に設置されている。それぞれのフロート2は舟形に形成されていて、その長手方向の前後両端部にはそれぞれ杭孔Hが形成されている。これらの杭孔Hには、図示していないが、海底に打設されている杭の頭部が差し込まれていて、海上の定位置からフロート2が漂流してしまうことを防止している。
また、図1に示すように、本考案の発電用水中水車装置1は、最上部の水車モジュール4に連結されて回転駆動される垂直な出力軸6を台枠3の内部に備えており、前記出力軸6の上端部には大径の出力歯車7が固定されている。
図3に示すように、本実施形態のものにおいては、複数の発電機8が出力歯車7の円周方向に等間隔で4カ所、定位置に配置されていて、それぞれの発電機8の入力軸に固定されているピニオン9がこの出力歯車7と噛み合っている。
従って、海中に設置された各水車モジュール4を通過する海流によって出力軸6が回転駆動され、これとともに出力歯車7が回転されると、その回転が出力歯車7と各ピニオン9との歯数比に応じて増速されて発電機8の入力軸に伝達され、それぞれの発電機8で一斉に発電が行われる。
なお、出力歯車7とピニオン9を噛み合わせて駆動される発電機8の数は、本実施形態のものにおいては4台としてるが、発電機8の抵抗トルク等によって最適な数を選択することができる。
次に、発電用水中水車装置1に使用されている水車モジュール4の構造を詳細に説明する。図4及び図5に示すように、水車モジュール4は、平面視正方形状の上板10ならびに下板11、及び、これらの上板10と下板11間を連結している4本の連結柱12からなる水車枠13と、前記水車枠13内に支持されて回転する可動羽根水車14から構成されている。
可動羽根水車14は、水車枠13の上板10と下板11にそれぞれ海水中で使用可能な軸受15、16で回転自在に支持された水車軸17を有している。水車軸17の上下の端部は、上板10と下板11を貫通していて、これらの端部にはそれぞれ連結フランジ18、19が固定されている。
また、可動羽根水車14は、水車枠13の内側に、水車軸17の軸方向に離間して固定された上下一対の羽根保持板20、21を有している。これらの羽根保持板20、21は、同径の円板状に形成されていて、それぞれの外周縁近傍の上下に対向する円周方向に等間隔な6カ所が、連結バー22で連結されて一体化されている。
上下の羽根保持板20、21の各連結バー22に近接した位置には、それぞれ、軸受孔23が形成されていて、ここに、矩形状の可動羽根24の基端側の上端面と下端面から突出する枢軸25が回動自在に差し込まれている。
図5に示すように、本実施形態においては、可動羽根24は6枚設けられていて、それぞれの可動羽根24の枢軸25は可動羽根24を上下に貫通し、図示していない係止手段によって可動羽根24から上方あるいは下方に脱落しないように係止されている。
これらの可動羽根24の上端面及び下端面と、対向する羽根保持板20、21の間は、それぞれ、枢軸25に装着されたスペーサ26によって隙間Sが保たれていて、上下の羽根保持板20、21の間で、それぞれの可動羽根24が円滑に回動できるようになっている。
また、可動羽根水車14の水車軸17には、それぞれの可動羽根24の自由端側に当接してこれらの可動羽根24の自由端側が水車軸17の略中心に向いた位置から、可動羽根水車14の回転方向前方へ枢軸25回りに回動変位することを規制するための、6つの規制面27Aを有する筒状のストッパ部材27が水車軸17に外嵌されて固定されている。
次に、前述したように構成されている水車モジュール4の動作を図面に基づいて詳細に説明する。図5において、海流は同図上方から下方に向かって流れており、水車モジュール4の水車枠13内に連結柱12の間から流入する。
そうすると、可動羽根水車14は、水車軸17の右側に位置する3枚の可動羽根24が海流によって、それぞれの自由端側がストッパ部材27の規制面27Aに当接し、その結果、これら3枚の可動羽根24に作用する海流の動圧で、可動羽根水車14は水車軸17を中心として同図時計回りに回転する。
一方、水車軸17の左側に位置する3枚の可動羽根24は、海流を受けてそれぞれ枢軸25周りに自由端側が海流の下流側に向くように回動するので、これらの可動羽根24には、可動羽根水車14の回転を妨げる水車軸17を中心とした反時計回りのモーメントはほとんど作用しない。
また、図6は、図5の位置から可動羽根水車14が水車軸17を中心に時計回りに30°回転したときの各可動羽根24の向きを示しており、この回転位置においては、海流が有効に作用している可動羽根24は、水車軸17の右側に位置する2枚であって、他の可動羽根24は、海流を受け流すように下流側に向いている。
前述したように、海流によって可動羽根水車が回転駆動されるそれぞれの水車モジュール4は、図1に示すように、台枠3の下方に連結ピース5で水車枠13どうしが縦に連結されている。
また、それぞれの水車枠13の上下に出ている連結フランジ18、19間には、ゴム等の弾性変形容易な素材からなる中継部材28が介在されていて、これらの対向する連結フランジ18、19、ならびに中継部材28によって可撓軸継手29が構成され、各水車モジュール4の水車軸17(図1には図示せず)どうし、及び、最上部の水車モジュール4の水車軸17(図1には図示せず)と台枠3側の出力軸6間が連結されている。
また、本実施形態の発電用水中水車装置1においては、可撓軸継手29どうしで連結されている、上下に隣接する水車モジュール4の水車軸17(図1には図示せず)どうしは、羽根24の回転位置の変化によって出力軸6に生じるトルク変動が少なくなるように、可動羽根24の相互の回転角度の位相を異ならせてある。
また、可撓軸継手29によって、互いに連結される上下の水車軸間ならびに水車軸と出力軸6間の取付誤差が吸収されるため、連結されている全ての水車モジュール4の水車軸ならびに出力軸6に生じる回転抵抗は低減される。
なお、本実施形態においては、可撓軸継手29に連結フランジ18、19間に弾性変形可能な中継部材28を介在させたものを用いているが、可撓軸継手の構造はこれに限定するものではない。
発電用水中水車装置1を構成する水車モジュール4は、必要な発電量に応じた所望の数を海中に連結して設置することが可能である。さらに、発電用水中水車装置1は、図2に示すように、フロート2で海上に支持した複数の台枠3下方に複数配列して用いることにより、小型の発電機8によって大容量の電力供給が可能となる。
なお、図1及び図2に示す実施形態においては、台枠3はフロート2で海上に浮かせているが、フロート2で支持せずに、海底や河川底に支柱を立設して支柱で台枠3を支持するようにしてもよい。
また、前述した実施形態においては、水車モジュール4の可動羽根水車14は、可動羽根24の枚数を6枚としているが、とくに6枚に限定するものではない。また、ストッパ部材27は、水車軸17と一体の部品として製作してもよい。
さらに、ストッパ部材27は、可動羽根24の自由端側を当接させてその回動範囲を規制できる機能を有していれば良いので、例えば、本実施形態におけるストッパ部材27の規制面27Aの位置で可動羽根24の自由端側と当接するように、水車軸17の周囲にこれと平行するように羽根保持板20、21間に可動羽根24に対応する数の丸棒を渡して、これらをストッパ部材としてもよい。
【産業上の利用可能性】
本考案の水車モジュール及び発電用水中水車装置は、海中の設置して、海流のもつ自然エネルギーにより無公害で電力供給を行う発電設備を構築する際に、極めて効果的に利用することができる。
また、海中のみならず、水量が豊かで比較的流速の変動が少ない大きな河川の水中に設置して利用することも可能であり、必要に応じて水車モジュールの数を増減することによって、電力需要や海底あるいは河川底の地形に応じて、様々な規模での利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の発電用水中水車装置の1実施形態を示す、海上に構築した発電設備の概略部分側面図である。
【図2】本考案の発電用水中水車装置の1実施形態を示す、海上に構築した発電設備の概略部分平面図である。
【図3】本考案の発電用水中水車装置の1実施形態における発電機の駆動機構を示す平面図である。
【図4】図1に示す発電用水中水車装置の部分を構成する水車モジュールの構造を示す縦断面図である。
【図5】図4のA−A線位置における水車モジュールの横断面図である。
【図6】図5に示す水車モジュール中の可動羽根水車を水車軸を中心として時計回りに30°回転させた状態を示す図である。
【符号の説明】
1 発電用水中水車装置
2 フロート
3 台枠
4 水車モジュール
5 連結ピース
6 出力軸
7 出力歯車
8 発電機
9 ピニオン
10 上板
11 下板
12 連結柱
13 水車枠
14 可動羽根水車
15、16 軸受
17 水車軸
18、19 連結フランジ
20、21 羽根保持板
22 連結バー
23 軸受孔
24 可動羽根
25 枢軸
26 スペーサ
27 ストッパ部材
27A 規制面
28 中継部材
29 可撓軸継手
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
メッセージ

目的
 水車モジュール及び発電用水中水車装置
地球温暖化防止並び二酸化炭素削減の一環として、自然エネルギーを利用、水の流れを着目した特に海流については途絶えることはない。
 本機を大にすれば相当の動力が得られ発電に継ぐ事で大電力が得られる。
効果
 この発電システムを拡大する事により国内電力不足を大幅に改善できる。
 機械の構造は甚だシンプルで製造が容易である。
特点
 動力を得るため燃料を使わない。
 動力を得るため廃棄物を出さない。
 この動力は、半永久的に稼働する。
 動力を取る源の羽根は流れがあれば自動的に作動し、芯軸の回転は一定である。

例 
 津軽海峡  海流 3.5Km/h
       流圧 1,500t/s
と聞いている。本機を連結することで相当な発電機地も想定できる。
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