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【考案の名称】太陽光発電と風力発電を複合した発電装置 【実用新案権者】 【識別番号】301051482 【氏名又は名称】林 英男 【住所又は居所】群馬県前橋市西片貝町2丁目269 【代理人】 【識別番号】100097744 【弁理士】 【氏名又は名称】東野 博文 【考案者】 【氏名】林 英男 【住所又は居所】群馬県前橋市西片貝町二丁目269 【要約】 (修正有) 【課題】市街地居住人口の減少に伴って都市近郊の市街地に存在する空き地に設置するのに好適な、太陽光発電と風力発電を複合した発電装置を提供する。 【解決手段】太陽光発電装置と風力発電装置30とを組み合わせた複合型発電装置であって、太陽光発電装置は、太陽光を光電変換する複数の太陽光発電パネル12a,12b,12cと、当該太陽光発電パネルの受光面を太陽光の入射する方向に保持する架台とを有すると共に、太陽光発電パネルがこれに隣接する太陽光発電パネルとの間に空気流通用の間隙を設けた状態で架台に取付けられ、風力発電装置30は、風車32の回転軸34が地面に対して垂直に位置する垂直型であって、太陽光発電パネルの空気流通用の間隙を通過した風によって回転する複数の受風部材を有する風車32と、風車32による回転エネルギーを電気エネルギーに変換して発電を行う発電機36とを備える。 【選択図】図2 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 太陽光発電装置と風力発電装置とを組み合わせた複合型発電装置であって、 前記太陽光発電装置は、太陽光を光電変換する複数の太陽光発電パネルと、当該太陽光発電パネルの受光面を太陽光の入射する方向に保持する架台とを有すると共に、前記太陽光発電パネルの少なくとも一枚はこれに隣接する太陽光発電パネルとの間に空気流通用の間隙を設けた状態で前記架台に取付けられ、 前記風力発電装置は、風車の回転軸が地面に対して垂直に位置する垂直型であって、前記太陽光発電パネルの空気流通用の間隙を通過した風によって回転する複数の受風部材を有する当該風車と、前記風車による回転エネルギーを電気エネルギーに変換して発電を行う発電機とを備える ことを特徴とする複合型発電装置。 【請求項2】 請求項1に記載の複合型発電装置において、 前記太陽光発電パネルの空気流通用の間隙高さは、0.2乃至0.8mの間であることを特徴とする複合型発電装置。 【請求項3】 前記風車の形状は、パドル型であることを特徴とする請求項1または2記載の複合型発電装置。 【請求項4】 前記風車の形状は、サボニウス型であることを特徴とする請求項1または2記載の複合型発電装置。 【請求項5】 前記風車の形状は、ジャイロミル型であることを特徴とする請求項1または2記載の複合型発電装置。 【考案の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 この考案は、太陽光発電と風力発電の両方を用いて昼間ばかりでなく夜間でも電力を発電することが可能な太陽光発電と風力発電を組み合わせた複合型発電装置に係り、特に都市近郊の市街地のような地価の比較的高額な場所での設置に適した太陽光発電と風力発電を組み合わせた複合型発電装置に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、地球温暖化対策として大気を汚染する気体の排気量を削減する動きが活発であり、例えば京都議定書が発効している。また、日本国での特殊事情として、東日本大震災の発生に伴う原子力発電所の運転停止により、電力供給がひっ迫している。そこで、電力供給として天然ガスを燃料とする火力発電所の新設が検討されている。しかし、天然ガスの供給には欧米ではパイプラインが一般的であるが、日本では液化天然ガスとして専用タンカーで運搬している。この液化天然ガスの価格は、原油価格と連動する契約が一般的であるため、原油価格の高騰の影響を受けて、非常に高騰している。欧米においては、シェールガス革命の影響で、パイプライン輸送による天然ガスの価格は急落して、シェールガスの採算価格を割り込むほどに低下している。しかし、液化天然ガスの価格は、パイプライン輸送による天然ガスの価格とは、大幅に乖離したまま推移している。そこで、化石燃料等の燃焼に基づくエネルギーに代えてクリーンなエネルギー、特に、自然エネルギーを利用する太陽光発電と風力発電から創出した電力エネルギー利用の普及が検討されている。 【0003】 このような、太陽光発電と風力発電を組み合わせた複合型発電装置として、例えば特許文献1では、基礎上に立設された矢倉台と、矢倉台の屋根の部分に設置された太陽光発電装置と、太陽光発電装置の下部に設置された風力発電装置と、矢倉台の底部の基礎上に設置されたバッテリーボックスとを備えて構成された装置が提案されている。しかし、このような装置によると、矢倉台が大型化するため、都市近郊の市街地の空き地のような、比較的狭い場所に設置する場合には、日照権や景観の毀損のような不利益を近隣住民に及ぼす可能性があると共に、複合型発電装置の設置工事の前提として建築確認を取得する必要性が発生する場合があり、工事期間に長期間を必要とする課題があった。 【0004】 また例えば特許文献2で提案されたような、小型の独立電源装置も存在するが、都市近郊の市街地の空き地であれば、既に近隣に電灯線が整備済みであるため、電力会社への売電を考慮すると、発電設備としては投資効率が低くなるという課題があった。 さらに、例えば特許文献3で提案されたような、風力発電手段や太陽光発電手段を積極的に都市に敷設するための発電評価システムを用いることで、異なる消費形態に対応し、かつ気象条件や施設条件を考慮した風力発電手段と太陽光発電手段の同時好適運転を実現することが可能であり、スマートシティ構想実現のための基本ユニットモデルも存在している。 【0005】 【特許文献1】特開2012−2137039号 【特許文献2】特開2008−57428号 【特許文献3】特開2013−156824号 【考案の開示】 【考案が解決しようとする課題】 【0006】 本考案は、上述した課題を解決するもので、市街地居住人口の減少に伴って都市近郊の市街地に存在する空き地に設置するのに好適な、太陽光発電と風力発電を複合した発電装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上記目的を達成する本考案の複合型発電装置は、例えば図1乃至図3に示すように、太陽光発電装置10と風力発電装置30とを組み合わせた複合型発電装置であって、太陽光発電装置10は、太陽光を光電変換する複数の太陽光発電パネル12と、当該太陽光発電パネルの受光面を太陽光の入射する方向に保持する架台20とを有すると共に、太陽光発電パネル12の少なくとも一枚はこれに隣接する太陽光発電パネルとの間に空気流通用の間隙を設けた状態で架台20に取付けられ、風力発電装置30は、風車32の回転軸34が地面に対して垂直に位置する垂直型であって、太陽光発電パネル12の空気流通用の間隙14を通過した風によって回転する複数の受風部材を有する風車32と、風車32による回転エネルギーを電気エネルギーに変換して発電を行う発電機36とを備えることを特徴とする。 【0008】 このように構成された複合型発電装置においては、太陽光発電装置は太陽光発電パネル12に太陽光を受光して発電を行う。架台20は太陽光発電パネル12を太陽光発電に適した姿勢に保持するための機構である。風力発電装置30は風の流れに対して垂直型の風車32を用いており、発電機36によって風車32の機械的エネルギーを電気エネルギーに変換している。太陽光発電パネルは、空気流通用の間隙14を設けた状態で架台20に装着されているため、風力発電装置30を阻害しないように配置されている。 【0009】 本考案の複合型発電装置において、好ましくは、太陽光発電パネルの空気流通用の間隙14は、間隙高さVとして0.2乃至0.8mの間であるとよい。間隙高さVは、太陽光発電パネル12に設けられた開口部の寸法との関係として、太陽光発電パネル12の傾斜角度が15度の場合はその4倍程度、太陽光発電パネル12の傾斜角度が30度の場合はその2倍程度に対応する。風速が3〜5m/秒程度の緩やかな状態が多い地域では、空気流通用の間隙14は0.2乃至0.4mの間がよい。間隙高さVが0.2m未満の場合は、間隙が少なすぎて風力発電装置30の発電効率が低下する。間隙高さVが0.4mを超えると、風が緩慢であるため風力発電装置30の発電量が増えないのに、太陽光発電装置が大型化して土地の使用効率が低下する。 【0010】 風速が10〜15m/秒程度の比較的強い状態が多い地域では、空気流通用の間隙高さVは0.4乃至0.8mの間がよい。間隙高さVが0.4m未満の場合は、間隙が少なすぎて風力発電装置30の発電効率が低下する。間隙高さVが0.8mを超えると、風が強く発電量が増えるが、風力発電装置30の風車が大型化して設備コストが増大すると共に、太陽光発電装置が大型化して土地の使用効率が低下する。 【0011】 本考案の複合型発電装置において、好ましくは、例えば図4に示すように、風車32の形状は、パドル型であるとよい。風車形状をパドル型とすることで、起動性が高く回転数が低いため、安全及び低騒音で市街地での設置用に好適である。 本考案の複合型発電装置において、好ましくは、例えば図4に示すように、風車32の形状は、サボニウス型であるとよい。風車形状をサボニウス型とすることで、抗力形の中では発電性能が高くなり、安全及び低騒音で市街地での設置用に好適である。 本考案の複合型発電装置において、好ましくは、例えば図4に示すように、風車32の形状は、ジャイロミル型であるとよい。風車形状をジャイロミル型とすると、垂直軸の揚力形であるため、風向制御を必要とせず高い発電性能が期待できるため、広範囲の電力使用の用途に好適である。 【考案の効果】 【0012】 本考案に係る太陽光発電と風力発電を組み合わせた複合型発電装置によれば、ソーラーパネルへの受光効率を高めながら、風車の回転効率を高めることができ、市街地のような地価の高い場所に設置する場合でも、売電事業の事業採算を高めることができるという効果がある。 【図面の簡単な説明】 【0013】 【図1】本発明に係る複合型発電装置の好ましい一実施形態を示す構成斜視図である。 【図2】図1に示す複合型発電装置の側面図で、特に風力発電装置30を詳細に示してある。 【図3】図1に示す複合型発電装置の背面図で、特に筋交い部を詳細に示してある。 【図4】風力発電装置に用いられる風車の各種の形状を示す構成図である。 【考案を実施するための最良の形態】 【0014】 以下、本考案の実施の形態を、図面に基づいて説明する。 以下、本発明に係る太陽光発電と風力発電を組み合わせた複合型発電装置の好ましい一実施形態ついて図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る太陽光発電と風力発電を組み合わせた複合型発電装置の一実施形態を示す構成斜視図、図2は図1に示す複合型発電装置の側面図、図3は図1に示す複合型発電装置の背面図である。この複合型発電装置は、概略として、地面や建造物の屋上に設けられた基礎25a、25b上に立設された架台20と、架台20の屋根の部分に設置された太陽光発電パネル12と、太陽光発電パネル12の下部に設置された風力発電装置30と、架台20の底部の基礎25c上に設置された電力調整器40とを備えて構成されている。 【0015】 [太陽光発電装置の構成] 太陽光発電装置10は、図1乃至図3に示すように、標準的な出力の矩形の太陽光発電パネル12を適宜に組み合わせると共に、隙間を設けて風力発電装置の発電にも考慮したものである。太陽光発電パネル12は、例えばセル変換効率が10%〜20%、縦横が1.0mx1.6m程度の場合には、一枚当たり150W〜300W程度の発電能力がある。架台20に太陽光発電パネル12を載せる関係で、例えば上段については縦x横で2枚x4枚を一組として配置すると共に、隣接する太陽光発電パネル12の組に対して0.2乃至0.8mの間隙を設ける。下段については縦x横で1枚x4枚を一組として配置する。そして、パネル間通風口14は、太陽光発電パネル12のパネル一枚分程度の1.0m程度の間隙とするとよい。 【0016】 例えば、太陽光発電パネル12の上段のうち、最上位に位置するパネル12a1、12a2、12a3、12a4がこの順に組み付けられている。太陽光発電パネル12の上段のうち、パネル間通風口14側には、パネル12b1、12b2、12b3、12b4がこの順に組み付けられている。太陽光発電パネル12の下段には、パネル12c1、12c2、12c3、12c4がこの順に組み付けられている。 なお、太陽光発電パネル12の幅方向の設置枚数については、ここでは横4枚を一組として配置の場合を示しているが、3枚や5枚以上の適宜の数としてもよい。 【0017】 パネル間通風口14は、空気流通用の間隙として作用する。風速が3〜5m/秒程度の緩やかな状態が多い地域では、空気流通用の間隙高さVは0.2乃至0.4mの間がよい。図1に示すように、垂直方向の開口部の高さVは、太陽光発電パネル12に設けられた開口部の寸法Hとの関係として、太陽光発電パネル12の傾斜角度が15度の場合はその4倍程度、太陽光発電パネル12の傾斜角度が30度の場合はその2倍程度に対応する。風速が10〜15m/秒程度の比較的強い状態が多い地域では、空気流通用の間隙は0.4乃至0.8mの間がよい。この空気流通用の間隙高さVは、太陽光発電パネル12の受光面側からその裏側に向かって空気が自由に入り込めるように設置されており、太陽光発電パネル12の背面側に台風や季節風等による強風や突風が吹き上げたとき、太陽光発電パネル12が上方に持ち上げられるなどして損傷する可能性を低減している。 【0018】 また、太陽光発電装置10は左右前後方向に適宜の間隔を設けて、図1に示すような太陽光発電パネル12の組を複数組設置してもよい。この隣接する太陽光発電パネル12の組に対する間隙は、保守作業がしやすいように適宜の間隔とするのが良く、例えば作業員一人分の幅である0.8mから二人分の1.5mの間がよい。 ここで、架台20は、例えば日本国内設置用では、夏冬の太陽の位置を考慮して、太陽光発電パネル12の傾斜角度が15度から30度程度になるように設けられている。太陽光発電パネル12の傾斜角度は、積雪地帯に設置される場合は雪がパネルから落下しやすいように、30度程度の大きめの角度にするのが良い。無積雪地帯では、隣地への日光反射の影響を少なくしたり、強風の影響を受けにくいように、15度程度の浅めの角度にするのが良い。 【0019】 [架台の構成] 架台20は、例えば鉄骨や鉄管、アルミニューム製押出し成型材等の金属製構造用材料製とするのがよく、例えば鉄骨や鉄管では亜鉛メッキとして耐候性を高めると良い。なお、架台20は、木造軸組構法を簡略化した構造としてもよい。架台20の高さは、太陽光発電パネル12と風力発電装置30の設置場所との関係で適宜に定めるが、太陽光発電パネル12の最も低い場所で1m程度の高さにするとよい。例えば、太陽光発電パネル12の下部に風力発電装置30を設置する場合は、架台20の高さを風力発電装置30の高さよりも高くする必要がある。また、太陽光発電パネル12に隣接して風力発電装置30を設置する場合は、風力発電装置30の通風に支障を生じないように、風車の高さよりも高くするのがよい。 尚、複合型発電装置を設置する場所は、図1に示した架台20に限定されるものではなく、例えば、ビルの屋上、高架式鉄道や高架式高速道路の高架下で日照がある程度確保できる場所などの日照や通風がある程度確保できる適宜の建造物、構造物等に設置することもできる。 【0020】 次に架台20の詳細構造を説明する。架台20は、四隅となる柱部22と、柱部22の基礎側に位置する根太部24と、柱部22の屋根側に位置する桁・垂木部26と、軸組構造を補強する筋交い部28を備えている。柱部22は、前面側の背の低い前部柱部22aと、背面側の背の高い後部柱部22bとで構成される。太陽光発電パネル12の傾斜角度を15°とすると、例えば前部柱部22aの高さは1.0m、後部柱部22bの高さは2.0m、前部柱部22aと後部柱部22bの間隔は3〜4m程度になる。 【0021】 根太部24は、前面側の前部根太部24a、背面側の後部根太部24b、左右両側面側の右側面根太部24c、左側面根太部24d、及び風力発電装置30固定用の中間根太部24eとで構成される。前部根太部24aの長手方向の寸法は、例えば5〜6m程度になる。また、後部根太部24bの長手方向の寸法は、例えば前部根太部24aの長手方向の寸法と同じとする。前部根太部24aと後部根太部24bは、それぞれ高さ0.2m程度の基礎25a、25bで地面から浮いた状態で支持されている。前部根太部24aと後部根太部24bの間隔は、例えば2.5〜3.5m程度になる。基礎25a、25bは、例えばコンクリート製の四角錐台状や円錐台状の汎用品を用いるとよい。 右側面根太部24cと左側面根太部24dは、前部根太部24aと後部根太部24bの基礎側端部とを連結してフレーム構造を構成するもので、その両端部は基礎25a、25bに固定される。 【0022】 中間根太部24eは、風力発電装置30の設置位置に設けられるもので、中間根太部24eの両端部は、それぞれ右側面根太部24cと左側面根太部24dの対応位置に固定金具で固定される。中間根太部24eは、風力発電装置30のフランジ部39が取り付けられ関係で、幅が当該フランジ部39よりも若干広いものがよく、例えば幅0.1mから0.3m程度にする。中間根太部24eの中間には、風力発電装置30の重量を支持するための基礎23を設けると良い。基礎23は、例えばコンクリート製の四角錐台状や円錐台状の汎用品を用いるとよい。 【0023】 桁・垂木部26は、前部柱部22aと後部柱部22bとを屋根側で連結する構造材で、例えば鉄骨や鉄管よりなり、太陽光発電パネル12を所定の傾斜角度で支持する。桁・垂木部26は、太陽光発電パネル12に設けられた枠材と一体で強度を保持する物であればよく、例えばパネル間通風口14をフレーム構造で保持するものでよい。 下部桁26aは、左右の前部柱部22aの頂部端部を連結する構造部材である。上部桁26bは、棟木に相当するもので、左右の後部柱部22bの頂部端部を連結する構造部材である。垂木26cは、左右各々の前部柱部22aと後部柱部22bの頂部端部を連結する構造部材である。図3では、左右の垂木26cの間に、各太陽光発電パネル12a1、12a2、12a3、12a4毎に2本組で設けられた各垂木261〜268を図示してある。各垂木261〜268によって、各太陽光発電パネル12を架台20の屋根側に固定して、強風時や積雪時にも耐える構造としている。 【0024】 筋交い部28は、前面側の2本の筋交い用鋼製棒材からなる前部筋交い部28a1、28a2と、右側面側の2本の筋交い用鋼製棒材からなる右側面部筋交い部28b1、28b2と、背面側の2本の筋交い用鋼製棒材からなる背面部筋交い部28c1〜28c2と、左側面側の2本の筋交い用鋼製棒材からなる左側面部筋交い部28d1、28d2と、屋根側の2本の筋交い用鋼製棒材からなる屋根部筋交い部28e1〜28e2とで構成される。前部筋交い部28a1、28a2は、図1に示してある。右側面部筋交い部28b1、28b2は、図1、図2に示してある。背面部筋交い部28c1〜28c2と屋根部筋交い部28e1〜28e2は、図3に示してある。左側面部筋交い部28d1、28d2は、図1に示してある。筋交い部28は亜鉛メッキ鋼棒や塗装を行って、鉄の腐食を防止するとよい。 【0025】 [風力発電装置の構成] 風力発電装置30は、風車32の回転軸34が地面に対して垂直に位置する垂直型であって、太陽光発電パネル12の空気流通用の間隙を通過した風によって回転する複数の受風部材を有する風車32と、風車32による回転エネルギーを電気エネルギーに変換して発電を行う発電機36と、発電機36の下側に設けられた固定軸部38と、固定軸部38の端部に設けられたフランジ部39を備える。 風車32の設置高さは、太陽光発電パネル12の空気流通用の間隙Vを通過した風を受けるのに好適な高さとするのがよい。風力発電装置30は、そのフランジ部39が中間根太部24eに固定されて、支持される。風力発電装置30は、太陽光発電パネル12の一枚ごとに対応して設けると良く、例えば本実施の形態では301、302、303、304の四台がパネル間通風口14に応じて横方向に4台設けられている。 【0026】 ここで、風車は、垂直型風車として汎用的に用いられているものでよい。図4は、風力発電装置に用いられる風車の各種の形状を示す構成図で、(A)はパドル型、(B)はサボニウス型、(C)はジャイロミル型を示している。これらの風車形状は、市街地での設置用に好適であり、安全及び低騒音である。また、パドル型は起動性が高く、市街地での設置用に好適である。 【0027】 また、風力発電装置に用いられる風車の他の形状としては、クロスフロー型、直線翼型、S型ローター型、ダリウス型が知られている。これらの形状は、図4に示したものと比較すると、装置価格が高額であったり、発電効率の点で劣ったりするものであるが、本考案ではこの他の類型の風車形状を排除するものではない。 【0028】 垂直型風車の発電量は、以下の要因によって定められる。 (1)風から得られるエネルギー量は、風車の受風面積に比例する。そこで、垂直型風車の受風面積は、ローター直径に比例するので、風車のローター直径が2倍になると、得られる風のパワーも2倍になる。この点で、水平型風車のように、受風面積がローター直径の二乗に比例するものとは相違する。 (2)風から得られるエネルギー量は、空気密度に比例する。空気密度は、その場の気圧や空気中の水分量によって変化する。通常、平地における空気の密度は、おおよそ1.2[kg/m3]である。 (3)風から得られるエネルギー量は、風速の3乗に比例する。即ち、風速が2倍になれば風から得られるエネルギー量は8倍に、風速が3倍になれば風から得られるエネルギー量は27倍になる。従って、風速次第で、風から得られるエネルギー量が大きく変動し、すなわち風力発電機の出力もそれに応じて、大きく変動する。 【0029】 [電力調整器の構成] 電力調整器40は、売電用には商用電力系統に電力を供給するのに適した電圧や交流周波数に変換するものである。電力調整器40には、適宜の二次電池を内蔵させることで、太陽光発電パネル12及び風力発電装置30の出力電圧を充電に適した電圧にし、さらに過充電を防止する機能を備えた充電回路も内蔵させるとよい。充電された二次電池の電源供給先としては、電力調整器40の二次電池の電流容量に見合った機器でもよい。これらの機器には、例えば、街路灯、魚類の電照栽培、ハウス栽培の作業照明、野菜等の電照栽培、果樹農家の烏害防止用センサ、盗難防止用センサ、道路標識灯や安全灯など、未電化地域への電力供給に最適である。尚、負荷が交流電源を必要とする場合、二次電池にDC−AC変換回路が接続される。 現在の我が国の自然エネルギー利用の電力買取制度では、太陽光と風力とで電力買取価格の単価が大幅に相違する。そこで、電力調整器40も、太陽光と風力とで別々に商用電力系統に電力を供給する構成とするのがよい。 【0030】 [複合型発電装置の動作] このように構成された装置によれば、昼間の太陽光が受光できる環境下では、太陽光発電パネル12による発電が行なわれる。また、風が適切な風速の場合は、風力発電装置30による発電が行なわれる。風力発電装置30においては、風車を設置したのに全く回らない、採算が取れないといったことが起きないようにする為に、設置場所の選定が重要である。 【0031】 風力発電装置30の建設条件として、以下の点を検討する。 (1)風が強いこと(年平均風速6m/s以上)。風から得られるエネルギー量は風速の3乗に比例する為、風が強ければより大きなエネルギーを得ることが可能である。なお、風速が、例えば25m/s以上の強風時でも、本発明の対象とする風力発電装置は小出力であるため、風車の回転を止める必要がなく、風車に大きな負荷がかかる恐れは少ない。 (2)送電線が近くにあること。複数台の風力発電装置30を設置する場合には、風力発電装置30で作った電気を送る為に、電力会社の送電線に接続する必要な場合もある。風車から送電線までの間に新たな送電線を敷設する場合には、その距離が遠ければ遠いほど費用がかかり採算性への影響が生じる。 【0032】 太陽光発電と風力発電を組み合わせた複合型発電装置は、太陽光と風力をエネルギー供給源としている発電方式であるので、特性の異なった発電機を複合利用することで、偏った発電特性を平均化できるメリットがある。例えば、日射量が多く得られる春から秋にかけては太陽光発電が活躍し、日射量が不足しがちで平均風速が大きくなる冬季間は風力発電が活躍するなど、相互の負特性を補い合うことができる。また、太陽光発電だけでは発電量がギリギリで、バッテリーが放電気味になるようなケースでは、風力発電機を付加することによって、不定期的に風力発電による大発電が得られるため、バッテリーを満充電状態にリカバリーすることができ、バッテリーの長寿命化にも寄与することができる。 【0033】 また、太陽光発電と風力発電を組み合わせた複合型発電装置において、風力発電装置30を太陽光発電パネル12の下側に設置する場合は、雨や雪は太陽光発電パネル12で受けるため、風力発電装置30に雨や雪が影響することが少なくて済み、装置の長寿命化が図れる。また、降雪により影響が受け難くするように、太陽光発電パネル12は隣接する構造物からの落雪があっても、落雪の影響を受け難くするように配置するのがよい。 【産業上の利用可能性】 【0034】 本発明の複合型発電装置は、太陽光発電と風力発電の両方を用いて昼間ばかりでなく夜間でも電力を発電することが可能であると共に、太陽光発電パネルに通風部を設けて風力発電も可能として、特に都市近郊の市街地のような地価の比較的高額な場所での設置にも適している。 【符号の説明】 【0035】 10 太陽光発電装置 12 太陽光発電パネル 14 パネル間通風口(空気流通用の間隙) 20 架台 22 柱部 24 根太部 25 基礎 26 桁・垂木部 28 筋交い部 30 風力発電装置 32 風車 34 回転軸 36 発電機 38 固定軸部 39 フランジ部 40 電力調整器 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る複合型発電装置の好ましい一実施形態を示す構成斜視図である。 【図2】図1に示す複合型発電装置の側面図で、特に風力発電装置30を詳細に示してある。 【図3】図1に示す複合型発電装置の背面図で、特に筋交い部を詳細に示してある。 【図4】風力発電装置に用いられる風車の各種の形状を示す構成図である。 |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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