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【発明の名称】小規模発電装置 【出願人】 【識別番号】505457385 【氏名又は名称】戸次 功一 【住所又は居所】熊本県山鹿市菊鹿町長1240番地 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100092163 【氏名又は名称】穴見 健策 【代理人】 【弁理士】 【識別番号】100136928 【氏名又は名称】高宮 章 【発明者】 【氏名】戸次 功一 【住所又は居所】熊本県山鹿市菊鹿町長1240番地 【要約】 【課題】 高低差が異なる様々な場所に簡単に設置でき、実用性を向上した小規模発電装置を提供する。 【解決手段】 内部に水Wが鉛直縦方向に流れ落ちる流路20を形成し、上端に導水部26が下端に流出部28が設けられた縦管体12と、縦管体内部の流路20下部側に設けられ、縦管体の縦軸線方向に沿って回転軸42を縦に配置し、縦に流れ落ちる水を受けて該回転軸周りに水平回転する水車14と、水車14の回転軸42に連結され、水車42の回転に連動して発電する発電機16と、水車14に対する導水部26の高さ位置を変更するように縦管体12を伸縮させて、段差の高低差に対応して導水部26の高さ位置を調整させる導水部位置調整機構18と、を備えたことを特徴とする小規模発電装置10から構成される。 【特許請求の範囲】 【請求項1】 高低差が小さな段差での水の流れを利用して発電する小規模発電装置であって、 内部に水が鉛直縦方向に流れ落ちる流路を形成し、上端に導水部が下端に流出部が設けられた縦管体と、 縦管体内部の流路下部側に設けられ、縦管体の縦軸線方向に沿って回転軸を縦に配置し、縦に流れ落ちる水を受けて該回転軸周りに水平回転する水車と、 水車の回転軸に連結され、水車の回転に連動して発電する発電機と、 水車に対する導水部の高さ位置を変更するように縦管体を伸縮させて、段差の高低差に対応して導水部の高さ位置を調整させる導水部位置調整機構と、を備えたことを特徴とする小規模発電装置。 【請求項2】 導水部位置調整機構は縦管体を多重管体構造として構成した請求項1記載の小規模発電装置。 【請求項3】 流出部は水車から流れ落ちた水を横に流すように流路を屈曲させた屈曲管部を含み、 発電機は縦管体外側で屈曲管部の下方側に近接して設置させ、 水車の回転軸を下方に直線状に延長させて屈曲管部を貫通して発電機に連結した請求項1又は2記載の小規模発電装置。 【請求項4】 水車は回転軸周りに所定の間隔で固定された複数の羽根を有し、 複数の羽根は、流れ落ちる水を受けた際に回転軸周りの回転力を生じるように水の流れ落ち方向に対して斜めに配置された変形直方体状の複数の箱状羽根で構成され、 それぞれの箱状羽根は、上から流れ落ちてくる水を箱状凹部内に受け入れるように上面を開口し、かつ箱状凹部内に受けた水を流出するように傾斜下方側を開口した請求項1ないし3のいずれかに記載の小規模発電装置。 【請求項5】 箱状羽根の上方には、縦管体の流路を流れ落ちる水を箱状羽根の上面開口に誘導させるテーパ状の絞り部が設けられた請求項4記載の小規模発電装置。 【請求項6】 導水部には、縦管体内部に導入する水からゴミを取り除くゴミ捕集装置が設けられた請求項1ないし5のいずれかに記載の小規模発電装置。 【請求項7】 ゴミ捕集装置は、縦管体と内部連通し縦管体の横断面積より拡大した大きさで形成され、周囲を側壁で囲むとともに、水の導入開口が形成された導水ケースと、 導水ケース内に設置され、水が流れ落ちる方向に対して傾斜したゴミ捕り網と、 導水ケースの側壁のゴミ捕り網の下り傾斜端側に横向きに貫通され、導水ケース内に所定の水位以上の水が溜まる際にオーバーフロー水とともにゴミ捕り網で捕捉したゴミを流出させる横孔と、を含む請求項6記載の小規模発電装置。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 本発明は、高低差が小さい段差での水の流れを利用して発電できる小規模発電装置に関する。 【背景技術】 水の流れを発電に利用する水力発電は、再生可能で発電時に温室効果ガスの排出も無く環境負荷が小さいうえ、太陽光発電や風力発電に比べても安定して発電ができることが知られている。しかしながら、大規模な水力発電設備は、大型ダム等の大規模な水源を利用する必要があり、ダム建設に適した用地が少なく場所の確保が困難であったり、莫大な建設コスト及び運用コストがかかったり、周辺の河川や生態系への影響が大きく環境破壊が危惧される等の様々な問題がある。そこで、小規模の河川や貯水池、農業用水路などの比較的小さな高低差の水源を利用して発電できる小規模な水力発電設備の開発が期待されている。 例えば、特許文献1には灌漑用水門等を開閉するゲートの門扉に設置される小水力発電設備に関する技術が開示されている。特許文献1では、ケーシング内部に回転自在に収容された羽根車と、羽根車を固着した主軸と、主軸によって回転駆動される発電機と、を備え、発電機側の回転軸と主軸がケーシングに装入されたギヤケースに収容されている直交変換動力を介して連動可能に互いに連結されているものであった。 【先行技術文献】 【特許文献】 【特許文献1】 特開2002−303240号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 様々な場所への適用が期待されている小規模な水力発電設備ではあるが、水が流れ落ちる高低差等を含む地形条件や設置環境は現場によってそれぞれ異なっている。よって、事前に現場を綿密に調査、分析し、段差に対応した水力発電設備を一から設計してする必要があり、部材点数も増え、作業が煩雑化し多くの手間及び労力がかかるとともに、施工コストが高くなるうえ、小規模な発電装置であることからコストに見合った出力が得られず経済性が悪くなる問題があった。また、水とともに流れる落ち葉やゴミ等が流入するため、それらによる発電効率低下や故障を生じやすく、こまめにメンテナンスする必要があった。また、特許文献1のように発電機側の回転軸と羽根車の主軸と複数のギヤ等を含む直交変換動力を介して連動されているので、構造が複雑で製造コストが高くなるとともに、ギヤの摩擦等でロスが発生し、効率低下となっていた。 本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、小規模発電装置において高低差が異なる様々な場所に簡単に設置でき、実用性を向上した小規模発電装置を提供することにある。さらに、他の目的は、落ち葉やゴミ等の流入を防止して効率低下や故障等を防止できる小規模発電装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するために本発明は、高低差が小さな段差DGでの水の流れを利用して発電する小規模発電装置であって、内部に水Wが鉛直縦方向に流れ落ちる流路20を形成し、上端に導水部26が下端に流出部28が設けられた縦管体12と、縦管体内部の流路20下部側に設けられ、縦管体の縦軸線方向(T)に沿って回転軸42を縦に配置し、縦に流れ落ちる水を受けて該回転軸周りに水平回転する水車14と、水車14の回転軸42に連結され、水車42の回転に連動して発電する発電機16と、水車14に対する導水部26の高さ位置を変更するように縦管体12を伸縮させて、段差DGの高低差に対応して導水部26の高さ位置を調整させる導水部位置調整機構18と、を備えたことを特徴とする小規模発電装置10から構成される。 また、導水部位置調整機構18は縦管体12を多重管体構造として構成したこととしてもよい。 また、流出部28は水車14から流れ落ちた水Wを横に流すように流路を屈曲させた屈曲管部24を含み、発電機16は縦管体12外側で屈曲管部24の下方側に近接して設置させ、水車14の回転軸42を下方に直線状に延長させて屈曲管部24を貫通して発電機16に連結したこととしてもよい。 また、水車14は回転軸42周りに所定の間隔で固定された複数の羽根を有し、複数の羽根は、流れ落ちる水Wを受けた際に回転軸42周りの回転力を生じるように水の流れ落ち方向に対して斜めに配置された変形直方体状の複数の箱状羽根44で構成され、それぞれの箱状羽根44は、上から流れ落ちてくる水を箱状凹部内に受け入れるように上面を開口50し、かつ箱状凹部58内に受けた水を流出するように傾斜下方側を開口58したこととしてもよい。 また、箱状羽根44の上方には、縦管体12の流路20を流れ落ちる水Wを箱状羽根44の上面開口50に誘導させるテーパ状の絞り部60が設けられたこととしてもよい。 また、導水部26には、縦管体12内部に導入する水からゴミを取り除くゴミ捕集装置36が設けられたこととしてもよい。 また、ゴミ捕集装置36は、縦管体12と内部連通し縦管体12の横断面積より拡大した大きさで形成され、周囲を側壁32で囲むとともに、水の導入開口31が形成された導水ケース30と、導水ケース内30に設置され、水Wが流れ落ちる方向に対して傾斜したゴミ捕り網36と、導水ケース30の側壁31のゴミ捕り網36の下り傾斜端36a側に横向きに貫通され、導水ケース30内に所定の水位以上の水が溜まる際にオーバーフロー水FWとともにゴミ捕り網36で捕捉したゴミを流出させる横孔38と、を含むこととしてもよい。 【発明の効果】 本発明によれば、高低差が小さな段差での水の流れを利用して発電する小規模発電装置であって、内部に水が鉛直縦方向に流れ落ちる流路を形成し、上端に導水部が下端に流出部が設けられた縦管体と、縦管体内部の流路下部側に設けられ、縦管体の縦軸線方向に沿って回転軸を縦に配置し、縦に流れ落ちる水を受けて該回転軸周りに水平回転する水車と、水車の回転軸に連結され、水車の回転に連動して発電する発電機と、水車に対する導水部の高さ位置を変更するように縦管体を伸縮させて、段差の高低差に対応して導水部の高さ位置を調整させる導水部位置調整機構と、を備えたことから、大型ダム等に比較して小さな水の流れの段差に発電装置を設置する際に、様々な現場によって異なる高低差の段差に対応して導水部の高さ位置を調整しながら簡単に設置して利用できる。また、発電装置を運搬する際や保管する際には、縮小してコンパクトな構成とでき、場所をとらない。よって、運搬から現場への設置作業を含む設置工程全体を簡単かつスムーズに行えるとともに、設置場所が限定されにくい。加えて、装置構造が簡単であるから、設置コストの低減に資することができ、実用性及び利用価値を向上しうる。また、導水部から入れた水を縦管体内で鉛直縦方向に流しながら水車に作用させるので、水が分散することがなく、摩擦や曲がり抵抗等によるエネルギーの損失が比較的少ない状態で水車を駆動できるので、小規模で簡単な構成であっても効率良い発電が期待できる。 また、導水部位置調整機構は縦管体を多重管体構造として構成したことにより、簡単な構造で、かつ高さ位置の調整作業を簡便に行うことができ、縦管体の流路内では水の流れ落ちを邪魔しにくく、使い勝手が良い導水部位置調整機構を実現できる。 また、流出部は水車から流れ落ちた水を横に流すように流路を屈曲させた屈曲管部を含み、発電機は縦管体外側で屈曲管部の下方側に近接して設置させ、水車の回転軸を下方に直線状に延長させて屈曲管部を貫通して発電機に連結した構成とすることにより、水車の回転軸と発電機との間に複雑な変換機構を設ける必要がなく、回転軸と発電機との連結構成を簡単でシンプルな構造とし、装置を低コストで製造できるとともに、水車から発電機への変換ロスが少なく効率を維持できる。 また、水車は回転軸周りに所定の間隔で固定された複数の羽根を有し、複数の羽根は、流れ落ちる水を受けた際に回転軸周りの回転力を生じるように水の流れ落ち方向に対して斜めに配置された変形直方体状の複数の箱状羽根で構成され、それぞれの箱状羽根は、上から流れ落ちてくる水を箱状凹部内に受け入れるように上面を開口し、かつ箱状凹部内に受けた水を流出するように傾斜下方側を開口した構成とすることにより、箱状羽根の箱状凹部で水を斜めに受けながら一方に流して水車を回転駆動させ、縦の水の流れを利用して円滑に回転する水車の羽根構造を具体的に実現できる。また、水車を簡単な構造で製造できる。 また、箱状羽根の上方には、縦管体の流路を流れ落ちる水を箱状羽根の上面開口に誘導させるテーパ状の絞り部が設けられた構成とすることにより、縦管体の流路を流れ落ちてくる水を確実に箱状羽根に作用させて水車を回転させて効率良く発電することができる。 また、導水部には、縦管体内部に導入する水からゴミを取り除くゴミ捕集装置が設けられた構成とすることにより、水とともに流れてくる落ち葉やゴミ等を発電装置の導入部で除去して水のみを流路に流し込むことができ、ゴミによる回転効率の低下や故障等を防止できる。 また、ゴミ捕集装置は、縦管体と内部連通し縦管体の横断面積より拡大した大きさで形成され、周囲を側壁で囲むとともに、水の導入開口が形成された導水ケースと、導水ケース内に設置され、水が流れ落ちる方向に対して傾斜したゴミ捕り網と、導水ケースの側壁のゴミ捕り網の下り傾斜端側に横向きに貫通され、導水ケース内に所定の水位以上の水が溜まる際にオーバーフロー水とともにゴミ捕り網で捕捉したゴミを流出させる横孔と、を含むことから、ゴミ捕り網で連続的に流れる水からゴミを捕捉しながら、増水時等に捕捉したゴミをオーバーフロー水で流して外部に除去できる。さらに、縦管体よりも拡大して形成された導水ケースにより、種々の設置現場に良好に対応させて確実に導水部から縦管体に導水させることができる構造を実現できる。 【発明を実施するための形態】 以下添付図面を参照しつつ本発明の小規模発電装置の実施形態について説明する。本発明に係る小規模発電装置は、例えば、小規模の低落差のダム、河川、農業用水、上水道、工業排水等その他大型ダム等に比較して小さな高低差の場所に簡単に設置して発電できる小規模な水力発電装置である。図1ないし図7は、本発明の小規模発電装置の一実施形態を示している。図1、図2に示すように、本実施形態では、小規模発電装置10は、導水部から取り入れた水が内部を流れる縦管体12と、縦管体12内部に設けられた水車14と、水車14と連結された発電機16と、導水部位置調整機構18と、を備えている。 図1に示すように、縦管体12は、内部に水Wが鉛直縦方向に流れ落ちる流路20を形成しており、連続的に水が流すことができる管体である。縦管体12の上端には流路20内に水を導入する導水部26が設けられるとともに、縦管体12の下端には流路20内を流れた水Wを流出する流出部28が設けられている。縦管体12は、流路20内の下部側に水車14を収容しており、収容ケース体となっている。図6に示すように、縦管体12は、小さな高低差の段差DGにおいて、高所HP側に設置した上端の導入部26から流路20内に水を流入し、水を分散させることなく流路20内を鉛直状に案内して水車14に作用させ、低所LPに設置させた流出部28から水を流出する。すなわち、縦管体12は、水車に作用させる水の流れを整えて流す一種の整流機能又は回収機能を有している。図1、図2に示すように、縦管体12は、例えば、金属や硬質プラスチック等の剛性素材からなる両端を開口した中空円筒管からなる。縦管体12は、例えば、略全体的には縦に直線状に伸びた直管部22で設けられ、その下部側は略L字状に横に曲げられて屈曲管部24が設けられている。縦管体12は、中空円筒管の内部空間を流路20としており、下部側は水を横に流すように屈曲される。本実施形態では、縦管体12は、例えば、小径の第1管体12aと、大径の第2管体12bと、をスライド伸縮可能に連結した二重管構造で構成されており、直管部22が自在に伸縮するようになっている。図6に示すように、縦管体12を伸縮することにより水車14を低位置に配置させた状態で、上端側の導入部26の高さ位置を調整することができる。すなわち、本実施形態では、縦管体12を二重管構造で構成することにより導入部26の高さ位置を調整する導入部位置調整機構18としている。これにより、現場によって異なる高低差の段差DGに対応して導水部26の高さ位置を調整させることができ、確実に水を縦管体12に導入して効率良く作動させることができる。なお、縦管体12は三重管以上の多重管構造でもよい。また、導入部位置調整機構18は、縦管体12を任意の伸縮長さで固定できる固定装置を備えていてもよい。 本実施形態では、導水部26は、例えば、図1に示すように、上面側に水を取り入れる導水開口31が形成され、縦管体12の流路20と内部連通した導水ケース30を有する。導水ケース30は、縦管体12の横断面積よりも拡大して設けられた中空ケースであり、周囲を側壁32で囲むとともに、底壁33の中央に縦管体12に内部連通した連通開口34が形成されている。導水開口31を形成している側壁32の上端側は外側にテーパ状に広がるように形成されており、種々の現場環境でも水を導入しやすくなっている。さらに、導水部26には、縦管体12に導入する前に水とともに流れてくる落ち葉やゴミ等を取り除くゴミ捕集装置36が設けられている。ゴミ捕集装置36は、例えば、導水ケース30と、導水ケース30内に設置されたゴミ捕り網38と、導水ケース30の側壁32に横向きに貫通された横孔40と、を含む。ゴミ捕り網38は、網目構造により導水ケース30の上面の導水開口31から導水した水から落ち葉やゴミを捕捉しながら水だけを通過させる。ゴミ捕り網38は水の流れに対して傾斜して配置されている。横孔40は、側壁32のゴミ捕り網38の下り傾斜端38a側に形成され、横孔40の下端がゴミ捕り網の下り傾斜端38a側の高さと略同じ高さに設定されている。例えば、雨が降って増水する等によって、導水ケース30内に大量の水が流れ込んで所定の水位以上の水が溜まる際に、横孔40からオーバーフロー水FWが流れ出るが、このオーバーフロー水とともにゴミ捕り網38で捕捉したゴミ等が外に流出される。 流出部28は、上述の縦管体12の下部側の湾曲管部24を含み、水車14に作用させた後の水、すなわち水車14よりもさらに下方に流れ落ちた水を湾曲管部24の横向き開口から縦管体外部へ流出する。縦管体12を流れた水は、全て流出部28から流出するので、水を回収しながら発電することができる。例えば、屈曲管部28に他の管や水路等を接続して、水を利用する設備や施設等に引き込むようにして回収した水を有効利用できる。 図1、図3、図4に示すように、水車14は、流路20下部側に設けられており、回転軸42と、回転軸42周りに所定の間隔で固定された4個の羽根(44)と、を一体的に有する羽根車からなる。本実施形態では、水車14は、二重管構造の縦管体12において下部側の第1管体12aの直管部に配置されている。水車14は、縦管体12の縦軸線T方向に沿って回転軸42を縦に配置しており、流路20の直管部22を縦に流れ落ちる水Wを受けて該回転軸周りに水平回転する。すなわち、水車14は回転軸方向に水が流入して回転作用し、略回転軸方向に水が流出する軸流構成となっている。回転軸42は、例えば、上端側を縦管体12内部に固定された上方軸支部46を介して軸支されるとともに、下部側を直線状に延長して屈曲管部24の管壁を貫通した状態で下方軸支部48を介して軸支されている。回転軸42の下端側は縦管体12の外部に延設されて発電機16に連結されている。なお、下方軸支部48では回転軸42の貫通部分から水が漏れないように水密されている。 図3、図4、図5に示すように、本実施形態では、水車14の羽根は、例えば、上面を開口50した変形直方体状の箱状羽根44からなる。箱状羽根44は、水Wの流れ落ち方向すなわち回転軸42に対して斜めに配置されており、流れ落ちる水Wを受けた際に回転軸42周りの回転力を生じるようになっている。具体的には、箱状羽根44は、一方に長い細長矩形状で形成されて回転軸42に対して斜めに配置された底板52と、底板52の傾斜下端側となる短辺を除いた3辺から立ち上がる3つの側板54と、が一体的に形成されており、上面と1つの側面とを開口(50、58)して内部に中空の箱状凹部56が形成されている。箱状羽根44は、外形輪郭形状は直方体を長手軸を傾斜変形させた変形直方体状又は平行六面体状となっており、傾斜下端側の側面開口を受けた水を流出させる排出開口58としつつ上面を開口50した断面コ字状の傾斜樋状の箱構成となっている。箱状羽根44は、側板54を回転軸42に溶接等によって固定されている。箱状羽根44の底板52は、水Wの流れを受けた際に回転軸周りの回転を生じさせる部分であり、図4に示すように、例えば、回転軸42及び縦管体の縦軸線Tに対して傾斜角度θが45度に設定されている。さらに、図3に示すように、底板52は、平面視では回転軸周りに回転接線方向に伸びるように取り付けられており、4つの箱状羽根44は平面視で略卍状に構成されている。図4、図5に示すように、側板54は縦管体の流路を流れ落ちる水Wに対して略平行に底板52から立設しており、底板52が受けた水を該底板の長手方向に沿って流し、傾斜下端側の排出開口58から流出するようにガイドしている。これにより、箱状羽根44は、上から流れ落ちてくる水Wを上面の開口50から箱状凹部56内に受け入れて斜めに配置された底板52に作用させつつ、底板に沿って傾斜下方に流しながら排出開口58から水を流出して、水車の回転軸周りの回転力を生じている。なお、水車の羽根の数は任意でよく、2個、3個、又は5個以上でもよい。 図1、図2に示すように、縦管体12の流路20において、水車14の上方側には、流路内を流れ落ちる水Wを箱状羽根44の上面の開口50に誘導するテーパ状の絞り部60が設けられている。これにより、水車14の羽根の構造を上記のような箱状羽根44で構成した場合であっても、羽根に作用されずに水車14を通過してしまう水を低減して、確実に水を箱状羽根に作用させることができ、効率を維持できる。 発電機16は、水車14の回転に連動して発電する発電機である。図1に示すように、本実施形態では、発電機16は、縦管体12の外側に配置されており、屈曲管部24の真下位置に近接して配置されている。そして、屈曲管部24を貫通させた回転軸42の下端に連結されている。発電機16が水車14の回転軸42方向に略直線状に配置されているので、回転軸42から発電機16の間に複雑な構成の変換機構を設ける必要がなく、装置全体を単純化して低コストで製造できるとともに、変換機構での部材間の摩擦により損失が生じることが無く、発電効率を維持できる。発電機16で発電した電気は設置現場に対応して種々利用できる。例えば、本実施形態に係る小規模発電装置10を農業用水路に設置した場合には、田畑等に猪や猿等の獣が入るのを防止する電気柵装置100や、所定時間ごとに大きな音を出して鳥や獣を追い払う空砲装置102や、光を照らして獣を追い払う照明装置104や虫を誘引駆除する殺虫灯装置等、その他農作物を害獣や害虫から守る装置や設備の稼動電力として利用できる。 次に、図6、図7を参照しつつ、本実施形態に係る小規模発電装置10の作用について説明する。図6に示すように、高所HPから低所LPへ水Wが流れる小さな高低差の段差DGに小規模発電装置10を設置する際には、導水部位置調整機構18を介して縦管体12を伸縮しながら、段差DGの高低差に対応して導水部26の高さ位置を調整し、段差DGの高所HPの水の流出位置近傍に導水部26を設置する。導水部位置調整機構16は、二重管構造の縦管体からなるので、構造が簡単であるとともに、簡単かつスムーズに導水部26の高さ位置の調整操作を行なえる。さらに、導水部では縦管体よりも拡大された導水ケース30の構造も相俟って、小規模な段差DGにおいて無駄なく水を縦管体12に導入するように適切な位置への設置を簡便に行うことができ、装置の施工性を向上しうる。小規模発電装置10を設置すると、段差DGの高所HPからの水Wは、導水部26を介して縦管体12の流路20に導入されて流れ込む。この際、導水部にゴミ捕集装置を設けているので、水とともに流れてくる落ち葉やゴミが立て管体内に入るのを防止でき、発電装置の故障や効率低下を良好に防止できる。そして、図1に示すように、導入された水Wは縦管体12によって分散されることなくまとまった状態で流路20に沿って鉛直縦方向に流れ落ち、流路20下部側の水車14を回転させ、発電機16により発電される。水車14から流れ落ちた水は、屈曲管部24に沿って横に流れて流出部28から流出される。このように、小規模発電装置10は高低差が異なる種々の段差DGに対応して簡単に設置できる結果、設置コストの低減に資するとともに、適用場所が限定されにくく、様々な場所に設置して小さな段差の水源であっても効率良く発電することができる。例えば、図7では、小規模発電装置10を棚田SRの段差部分に適用した例を示している。棚田SRの各段差DGごとに水流れ部分にそれぞれ小規模発電装置10を設置しており、上段側の水田から下段側の水田に流れる水の流れを有効に利用して発電することができる。この場合、図1に示すように、発電機16に、例えば、農作物を荒らす獣や鳥等を追い払うための電気柵装置100や空砲装置102、照明装置104等の害獣除け装置を接続し、発電した電気を利用して害獣除け装置を稼動させるとよい。これにより、稲やわさび等の農作物の栽培時の小規模な水の流れを有効に利用して発電し、害獣対策を同時に行いながら農作物を効率良く栽培を行える。また、例えば、棚田に限らず魚介類を養殖等する複数の水槽(生簀)を段状に配置して、各水槽の水流れ段差部分に小規模発電装置10を設置することとしてもよい。その他、河川や小規模ダム、ため池、浄水場、下水処理場、工場の取水又は工場排水等の場所に適用することができる。 以上説明した本発明の小規模発電装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。 【産業上の利用可能性】 本発明の小規模発電装置は、例えば、河川、農業用水路、水産養殖施設等、その他種々の小さな高低差の段差がある水源場所に設置して発電できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施形態に係る小規模発電装置の説明図である。 【図2】図1のA−A線断面拡大図である。 【図3】図1のB−B線断面拡大図である。 【図4】図1のC−C線断面図である。 【図5】水車の羽根の斜視図である。 【図6】図1の小規模発電装置の作用説明図である。 【図7】図1の小規模発電装置の設置例の説明図である。 【符号の説明】 10 小規模発電装置 12 縦管体 14 水車 16 発電機 18 導水部位置調整機構 20 流路 24 屈曲管部 26 導水部 28 排水部 30 導水ケース 31 導入開口 32 側壁 33 底壁 36 ゴミ捕集装置 38 ゴミ捕り網 40 横孔 42 回転軸 44 箱状羽根 50 開口 56 箱状凹部空間 58 排出開口 60 絞り部 |
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【図1】 |
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【図2】 |
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【図3】 |
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【図4】 |
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【図5】 |
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【図6】 |
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【図7】 |
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