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電機
 
【発明の名称】垂直型風力発電システム
【出願人】
【識別番号】517088218
【氏名又は名称】中田 秀輝
【住所又は居所】京都府相楽郡精華町光台8丁目15-24
【発明者】
【氏名】中田 秀輝
【住所又は居所】京都府相楽郡精華町光台8丁目15-24
【要約】 (修正有)
【課題】微風域から暴風域までの風速域で発電し、発電効率が高く、設備の安全性、静音性、小型化を両立させ、機構部品や発電機が風圧や回転エネルギーに耐える経済性に優れた垂直型風力発電システムを提供する。
【解決手段】回転軸2と、複数の直線翼3と、直線翼を回転軸に保持するアーム4と、直線翼のアームに対する取付け角度または相対風速に対する迎角を可変とする迎角調整機構5から構成された垂直型ブレードを有し、微風から暴風の各風速域において、風速、風向、垂直型ブレードの回転角、垂直型ブレードの回転速度、垂直型ブレードの直径、直線翼の断面形状、直線翼の弦長および直線翼の枚数に応じて直線翼の相対風速に対する迎角または前記アームに対する取付け角度を前記迎角調整機構により角度調整を行う構成とし、迎角調整機構5およびブレード直径可変機構13を用い、各風速域ごとに調整する。
【選択図】図1
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、前記回転軸と平行に配設された複数の直線翼と、前記直線翼を前記回転軸に保持するアームと、前記直線翼の前記アームに対する取付け角度を可変とする迎角調整機構から構成された垂直型ブレードを有し、微風域、通常発電風速、強風域、暴風域の各風速域において、風速、風向、前記垂直型ブレードの回転角、前記垂直型ブレードの回転速度、前記垂直型ブレードの直径、前記直線翼の断面形状、前記直線翼の弦長および前記直線翼の枚数に応じて前記直線翼の相対風速に対する迎角または前記アームに対する前記取付け角度を前記迎角調整機構により角度調整を行うことを特徴とする垂直型風力発電システム。
【請求項2】
発電機と前記垂直型ブレードより構成され、前記回転軸は前記発電機の略回転中心部に結合されていることを特徴とする請求項1記載の垂直型風力発電システム。
【請求項3】
前記迎角調整機構は、モータとギヤおよび/またはベルト、またはリニアアクチュエータを駆動源とすることを特徴とする請求項1から請求項2のいずれかに記載の垂直型風力発電システム。
【請求項4】
前記垂直型ブレードの回転数は前記回転軸または前記発電機周辺に構成された回転センサより検出し、前記風速および/または風向の検出、前記角度調整の設定値は、前記垂直型ブレードの回転トルクまたは出力の変化より推定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の垂直型風力発電システム。
【請求項5】
前記角度調整の設定値は、事前に設定した風速毎の出力カーブに基づいて事前に算出した数値を参照することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の垂直型風力発電システム。
【請求項6】
前記角度調整の設定値は、前記垂直型ブレードの回転トルクまたは出力の変化より推定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の垂直型風力発電システム。
【請求項7】
回転軸と、前記回転軸と平行に配設された複数の直線翼と、前記直線翼を前記回転軸に保持するアームと、前記回転軸と前記アームと複数の前記直線翼から構成された垂直型ブレードより構成された垂直型ブレードを有し、風速に応じて前記アームの一部をスライドもしくは回動させるブレード直径可変機構にて前記アームの形状を変形させることにより前記垂直型ブレードのブレード直径を可変とすることを特徴とする垂直型風力発電システム。
【請求項8】
微風域、通常発電風速、強風域、暴風域の各風速に応じた前記ブレード直径の設定値は、事前に算出した数値を参照することを特徴とする請求項7記載の垂直型風力発電システム。
【請求項9】
前記発電機と、前記迎角調整機構およびブレード直径可変機構を搭載した前記垂直型ブレードとを有し、微風域、通常発電風速、強風域、暴風域の各風速域において、風速、風向、前記垂直型ブレードの回転角、前記垂直型ブレードの回転速度、前記垂直型ブレードの直径、前記直線翼の断面形状、前記直線翼の弦長および前記直線翼の枚数に応じて前記直線翼の相対風速に対する迎角または前記アームに対する取付け角度を前記迎角調整機構により角度調整を行うとともに前記ブレード直径可変機構により前記ブレード直径を調整することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の垂直型風力発電システム。
【請求項10】
前記角度調整およびブレード直径の設定値は、事前に設定した風速毎の出力カーブに基いて事前に算出した数値を参照することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の垂直型風力発電システム。
【請求項11】
微風域、通常発電風速、強風域、暴風域の各風速域に応じた前記角度調整および前記ブレード直径の設定値において、前記ブレード直径の設定値は事前に算出した数値を参照し、前記角度調整の設定値は前記垂直型ブレードの回転トルクまたは出力の変化より推定することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の垂直型風力発電システム。
【請求項12】
風が停止の状態、微風域、通常発電風速、強風域、暴風域の各風速域において、事前に設定した風速域において前記ブレード直径を最小としかつ前記角度調整を行うとともに前記垂直型ブレードの回転を停止する停止モードを有することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の垂直型風力発電システム。
【請求項13】
前記停止モードの際に、前記回転軸の回転を防止するためのブレーキ力をディスクブレーキまたは前記発電機によりにより発生させることを特徴とする請求項12記載の垂直型風力発電システム。
【請求項14】
水平型洋上風車のファーリング制御用の非常用電源として使用することを特徴とする、請求項1から請求項13のいずれかに記載の垂直型風力発電システム。
【請求項15】
前記垂直型風力発電システムを前記水平型洋上風車のポールの一部に設置することを特徴とする請求項14記載の垂直型風力発電システム。
【請求項16】
通常発電風速では前記ブレード直径の設定値を最大とし、前記微風域および前記強風域では前記ブレード直径を前記通常発電風速の設定値より小さくし、前記暴風域および前記停止モードの際は前記ブレード直径の設定値を前記強風域よりさらに小さな設定値とすることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれかに記載の垂直型風力発電システム。
【請求項17】
前記微風域は3m/s未満の風速とし、前記通常発電風速は3m/s以上〜12m/s未満の風速とし、前記強風域は12m/s以上20m/s未満の風速とし、前記暴風域は20m/s以上の風速域とすることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれかに記載の垂直型風力発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風のエネルギーをブレードの回転エネルギーに変換し、その回転エネルギーを発電機により電気エネルギーに変換する垂直型風力発電システムと垂直型風力発電システムのブレード構成および制御方法に関するものであり、特に垂直型風力発電システムにおけるブレードの回転エネルギーの大幅な向上および暴風時の風車の安全性構築に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有害排出ガス削減による自然環境保護、自然エネルギー活用の観点から、世界各国で自然風のエネルギーを利用した風力発電システムの開発が進められるとともに、多数の風力発電システムが設置され稼働している。
【0003】
風力発電システムには水平型と垂直型があり、水平型は簡易な構成ではあるがブレードの回転数が比較的高く風切音が発生するとともに、発電可能な風向が限られブレード受風面が風に正対する必要があり、常に風の方向に追従する機構または制御が必要になるなどの課題を有している。一方垂直型はやや構成が複雑で比較的回転エネルギーへの変換効率は低いが、比較的回転数が低く、かつ風の方向を考慮する必要はないという利点を有している。
【0004】
垂直型風力発電システムにおいて、風の運動エネルギーから電力エネルギーとなる回転エネルギー変換効率を上げるには、比較的出現率が高い平均風速における回転エネルギー変換効率を高くするとともに、微風から強風までの環境条件全域において可能な限り常時発電することが必要となる。さらには、強風および暴風域で可能な限り発電するとともにブレードやポールが風圧に耐えることおよび発電機やブレーキがブレード(直線翼など)の回転トルクに安全に対応することが重要となる。
ここで、回転エネルギー変換効率は、ブレード受風面を単位時間あたりに通過する風の運動エネルギーをブレードの回転エネルギーに変換する変換効率(%)のことで回転エネルギー変換効率または発電効率としてCpと定義する。また、この回転エネルギー(W)を角速度ω(rad/s:回転数rpmでも可)で除した値が円筒形回転体となる垂直型ブレード全体の接線方向の回転力で回転トルク(N・m)となる。上記の風のエネルギーは1/2ρAV3で表され、Aは垂直型ブレードの受風面積(直径×翼長)(m2)、Vは風速(m/s)、ρは空気密度(kg/m3)で表すことができる。
【0005】
微風域から発電するには、微風域からスムーズに風の運動エネルギーをブレードの回転エネルギーに変換できるブレード構成が必要となり、強風域で可能な限り発電するには、過度な回転エネルギーに対してもブレード、ポール、アーム、発電機およびブレーキなどが機械的かつ電気的に損傷しないような垂直型風力発電システムを構築する必要がある。さらに暴風域で発電するとともに風力発電システムを安全に維持するには風圧に耐えることおよび強風や暴風域の高速回転におけるブレードの回転エネルギーに耐えることが必要となる。
【0006】
そこで、起動特性を改善する構成として、翼型の一部を切り欠いて抗力を増加させる構成(特許文献1)や、カムやリンク機構を用いブレードを自転させる構成を有した垂直型風力発電システムが提案されている(特許文献2)。さらに、特許文献3ではブレードの取付け角を調整式として発電効率を向上させる垂直型風力発電システムが提案されている。また、発電量を最適化するためにブレードの翼直径と翼角度を可変とする垂直型風力発電システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】 特許第4514502号公報
【特許文献2】 特開2006−152922号公報
【特許文献3】 特開2017−31920号 広報
【特許文献4】 特許第4949238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上述した従来の特許文献1および特許文献2における垂直型風力発電システムでは、ブレードなどに関してどのような条件にすれば垂直型ブレードの回転トルクが大きくなるのか、周速比(風速とブレード回転速度の比)や翼性能およびレイノルズ数がどのように関係しているのか、翼型が変わればどう影響するのか等といった最も本質となる翼に作用する流体力(空力弾性学)の理論の考察や開示がなされていない。従って、相対風速に対してどのような迎角(またはアームに対する取付け角度やピッチ角でも可)にすればどの程度回転トルクまたは発電効率(Cp)が上がるのかが不明である。また、空力弾性学的な最適解には至っていないため、例えば2m/s程度の微風時には発電効率の高いブレードの回転トルクを得たとしても出現頻度が最も高い平均風速(たとえば6m/sあたり)付近では、逆にブレードの翼型の影響および揚力が最大となる最適な迎角のずれ、揚力の低下などにより発電効率が低下してしまうといった問題が発生する。逆に暴風域では発電が可能でも、微風域や平均風速では発電効率が大幅に低くほとんど発電しないなどの問題が発生する。
したがって、幅広い風速範囲で発電効率の高い垂直型風力発電システムを提供することが困難となる。
【0009】
ブレードに切り欠きを構成している特許文献1では、微風時は多少発電効率が改善する可能性はあるが逆に平均風速が高くなる領域では発電効率は低下する。ブレードの翼型の切り欠きにより、本来の翼特性が失われ揚力の大幅な減少により平均風速近傍における回転時の発電量(発電効率)が大幅に低下するという課題がある。
【0010】
また、特許文献2のカムやリンクを用いたブレードの迎角(取付け角)調整では、特定の風向きしか効果が無く、風向きが変わった場合は逆に回転エネルギー変換効率(発電効率)が大幅に悪化してしまうという課題や、迎角の調整範囲が狭い、さらにはどういう迎角の角度調整を行うか、またその効果がどの程度あるのかという点が全く考慮されていないなどの課題や、そもそも風速や風向が変われば迎角の最適値が大きく変化してしまうという課題を有していた。
【0011】
さらに、特許文献3では迎角を調整し発電効率を改善する構成が示されている。しかしながら風速、風向、垂直型ブレードの回転角、ブレードの翼型や弦長および枚数、垂直型ブレードの回転速度に応じた最適な迎角が存在し、それらの値に応じて迎角を調整する必要があることが考えられていない。また、暴風時にブレードが受ける風圧を低減するには限度があるとともに、風向きが変化した際は迎角を調整するまでの時間遅れが発生し、突風や風向きに変化した場合その風圧からブレードやポールを安全に守ることが困難となるという課題を有していた。
また、特許文献4では風速とブレードの回転速度の合成となるいわゆる相対風速に対してブレードの揚力および抗力を決定する迎角を如何にコントロールするかという本質的なことに関しては考慮されていない。さらにブレードの回転軸に対してブレードの上端または下端を任意にスライド可能とすることにより、垂直型風車の翼直径、回転速度がブレードの垂直断面でそれぞれの位置で異なるため最適な迎角を設定することが困難となるとともに、発電効率の最大化、発電効率の精度の良い制御、静音化が困難となるという課題を有していた。
【0012】
このように、先行文献に開示されている垂直型風力発電システムでは、微風時におけるブレードの回転起動ができない、平均風速近傍での発電効率が低下する、暴風時のブレードの回転数の制御が困難であるとともに暴風時の過大風力エネルギーに対して強度的な問題により垂直型風力発電システムの寿命や信頼性が大きく悪化するという課題を有している。また、ブレード周辺に発生する渦などにより比較的大きな騒音が発生し、住宅街の近隣には設置できないという課題を有していた。
【0013】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、様々な風向や風速における揚力および抗力の発生状況を効果的に制御し、効率的に垂直型ブレードの回転トルクに変換することで、従来に比べ微風時から強風域の発電効率を大幅に改善するとともに、強風域や暴風域においてもブレードの効率的な回転エネルギーの低減や精度の高いブレードの回転数制御を行うことができ、発電効率の大幅な向上と、設備の信頼性および寿命の大幅な改善を実現することができる垂直型風力発電システムを提供するものである。
さらには、ブレード直径および風速および風向に応じた、最適な相対風速に対する迎角調整により、微風域から暴風域まで安全で高効率かつ低騒音な垂直型風力発電システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の発明は、回転軸と、前記回転軸と平行に配設された複数の直線翼と、前記直線翼を前記回転軸に保持するアームと、前記直線翼の前記アームに対する取付け角度を可変とする迎角調整機構から構成された垂直型ブレードを有し、微風域、通常発電風速、強風域、暴風域の各風速域において、風速、風向、前記垂直型ブレードの回転角、前記垂直型ブレードの回転速度、前記垂直型ブレードの直径、前記直線翼の断面形状、前記直線翼の弦長および前記直線翼の枚数に応じて前記直線翼の相対風速に対する迎角または前記アームに対する前記取付け角度を前記迎角調整機構により角度調整を行うことを特徴とする。
【0015】
同じく、請求項2に記載の発明は、発電機と前記垂直型ブレードより構成され、前記回転軸は前記発電機の略回転中心部に結合されていることを特徴とする。
【0016】
同じく、請求項3に記載の発明は、前記迎角調整機構は、モータとギヤおよび/またはベルト、またはリニアアクチュエータを駆動源とすることを特徴とする。
【0017】
同じく、請求項4に記載の発明は、前記垂直型ブレードの回転数は前記回転軸または前記発電機周辺に構成された回転センサより検出し、前記風速および/または風向の検出、前記角度調整の設定値は、前記垂直型ブレードの回転トルクまたは出力の変化より推定することを特徴とする。
【0018】
同じく、請求項5に記載の発明は、前記角度調整の設定値は、事前に設定した風速毎の出力カーブに基づいて事前に算出した数値を参照することを特徴とする。
【0019】
同じく、請求項6に記載の発明は、前記角度調整の設定値は、前記垂直型ブレードの回転トルクまたは出力の変化より推定する。
【0020】
同じく、請求項7に記載の発明は、回転軸と、前記回転軸と平行に配設された複数の直線翼と、前記直線翼を前記回転軸に保持するアームと、前記回転軸と前記アームと複数の前記直線翼から構成された垂直型ブレードより構成された垂直型ブレードを有し、風速に応じて前記アームの一部をスライドもしくは回動させるブレード直径可変機構にて前記アームの形状を変形させることにより前記垂直型ブレードのブレード直径を可変とすることを特徴とする。
【0021】
同じく、請求項8に記載の発明は、微風域、通常発電風速、強風域、暴風域の各風速に応じた前記ブレード直径の設定値は、事前に算出した数値を参照することを特徴とする。
【0022】
同じく、請求項9に記載の発明は、前記発電機と、前記迎角調整機構およびブレード直径可変機構を搭載した前記垂直型ブレードとを有し、微風域、通常発電風速、強風域、暴風域の各風速域において、風速、風向、前記垂直型ブレードの回転角、前記垂直型ブレードの回転速度、前記垂直型ブレードの直径、前記直線翼の断面形状、前記直線翼の弦長および前記直線翼の枚数に応じて前記直線翼の相対風速に対する迎角または前記アームに対する取付け角度を前記迎角調整機構により角度調整を行うとともに前記ブレード直径可変機構により前記ブレード直径を調整することを特徴とする。
【0023】
同じく、請求項10に記載の発明は、前記角度調整およびブレード直径の設定値は、事前に設定した風速毎の出力カーブに基いて事前に算出した数値を参照することを特徴とする。
【0024】
同じく、請求項11に記載の発明は、微風域、通常発電風速、強風域、暴風域の各風速域に応じた前記角度調整および前記ブレード直径の設定値において、前記ブレード直径の設定値は事前に算出した数値を参照し、前記角度調整の設定値は前記垂直型ブレードの回転トルクまたは出力の変化より推定することを特徴とする。
【0025】
同じく、請求項12に記載の発明は、風が停止の状態、微風域、通常発電風速、強風域、暴風域の各風速域において、事前に設定した風速域において前記ブレード直径を最小としかつ前記角度調整を行うとともに前記垂直型ブレードの回転を停止する停止モードを有することを特徴とする。
【0026】
同じく、請求項13に記載の発明は、前記停止モードの際に、前記回転軸の回転を防止するためのブレーキ力をディスクブレーキまたは前記発電機によりにより発生させることを特徴とする。
【0027】
同じく、請求項14に記載の発明は、水平型洋上風車のファーリング制御用の非常用電源として使用することを特徴とする。
【0028】
同じく、請求項15に記載の発明は、前記垂直型風力発電システムを前記水平型洋上風車のポールの一部に設置することを特徴とする。
【0029】
同じく、請求項16に記載の発明は、通常発電風速では前記ブレード直径の設定値を最大とし、前記微風域および前記強風域では前記ブレード直径を前記通常発電風速の設定値より小さくし、前記暴風域および前記停止モードの際は前記ブレード直径の設定値を前記強風域よりさらに小さな設定値とすることを特徴とする。
【0030】
同じく、請求項17に記載の発明は、前記微風域は3m/s未満の風速とし、前記通常風速は3m/s以上〜12m/s未満の風速とし、前記強風域は12m/s以上20m/s未満の風速とし、前記暴風域は20m/s以上の風速域とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る垂直型風力発電システムは上記に説明したように構成され、請求項1から請求項6に記載された発明に関わる垂直型風力発電システムによれば、回転軸と、複数の略直線翼と、略直線翼を前記回転軸に保持するアームと、前記略直線翼の前記アームに対する取付け角度を可変とする迎角調整機構から構成された垂直型ブレードを有し、微風から暴風の各風速域において、風速、風向、前記垂直型ブレードの回転角、前記垂直型ブレードの回転速度、前記垂直型ブレードの直径、前記略直線翼の断面形状、前記略直線翼の弦長および前記略直線翼の枚数に応じて前記略直線翼の相対風速に対する迎角または前記アームに対する取付け角度を前記迎角調整機構により角度調整を行うことを特徴とする垂直型風力発電システムである。
【0032】
また迎角または取付け角の前記角度調整の設定値は、事前に算出する、もしくは事前に算出した設定値をベースに垂直型ブレードの回転トルクまたは出力の変化より推定する。さらには、微風から暴風の環境下において、風車の発電量と設置された環境への騒音などの要望事項と安全性を考慮して事前に設定された風速毎の出力カーブに基いて前記角度調整の設定値を演算し、そのデータを参照して前記角度調整が行われる構成としている。
【0033】
この構成により、微風域は比較的に回転しやすくなり発電効率が上昇し、平均風速近傍では発電効率が上昇すると共に騒音レベルの大幅な低下を実現することができ、強風域は要望される出力と、ブレード、ポール、アーム、ブレーキなどの機械強度と、発電機の定格出力等の電気的能力への対応と、風車全体の安全性のバランスを考慮した出力特性となる前記角度調整の設定値を選択し、暴風時においても停止を含めた要望される出力、ブレード、ポール、アーム、ブレーキなどの機械強度と、発電機の定格出力等の電気的能力において、風車全体の安全性のバランスを考慮した出力特性となる前記角度調整の設定値を選択することが可能となり、垂直型風力発電システムの発電性能と安全性および静音性をバランスよく実現することが可能となる。
【0034】
また、請求項7から請求項8に記載された発明に関わる垂直型風力発電システムによれば、回転軸と、複数の略直線翼と、略直線翼を前記回転軸に保持するアームと、前記回転軸と前記アームと複数の前記直線翼から構成された垂直型ブレードより構成された垂直型ブレードを有し、風速に応じて前記アームの一部をスライドもしくは回動させるブレード直径可変機構にて前記アームの形状を変形させることにより前記垂直型ブレードのブレード直径を可変とする構成としている。
【0035】
この構成により、停止時や微風域(3m/s未満)において発電量が小さい場合は、ブレード直径を小さくしてスペースの確保を実施し、平均風速近傍の通常発電風速(3m/s以上〜12m/s未満)では可能な限りブレード直径を大きくして発電量を増やし、強風域(12m/s以上〜20m/s未満)は発電量と安全性を考慮するためブレード直径を小さくし、暴風域(20m/s以上)は安全性の観点より風圧を小さくするためできる限りブレード直径を小さくすることで、垂直型風力発電システムの発電性能と安全性をより一層バランスよく実現することが可能となる。
【0036】
さらに、請求項9から請求項13に記載された発明に関わる垂直型風力発電システムによれば、前記発電機と、前記迎角調整機構およびブレード直径可変機構を搭載した前記垂直型ブレードとを有し、風速、風向、前記垂直型ブレードの回転角、前記垂直型ブレードの回転速度に応じて前記略直線翼の相対風速に対する迎角または前記アームに対する取付け角度を前記迎角調整機構により角度調整を行うとともに前記ブレード直径可変機構により前記ブレード直径を調整する構成としている。
【0037】
この構成により、微風域において発電量が小さい場合は、ブレード直径を小さくしてスペースの確保を実施しつつ相対風速に対する迎角またはアームに対する取付け角度となる前記角度調整を行うことで発電効率または発電量を増やしつつスペースの確保を行い、平均風速近傍となる通常発電風速では可能な限りブレード直径を大きくしてかつ相対風速に対する迎角またはアームに対する取付け角度となる前記角度調整を行うことで発電量の増加と静音性を実現し、強風域は発電量と安全性を考慮するためブレード直径を小さくしつつ相対風速に対する迎角またはアームに対する取付け角度となる前記角度調整を行うことで発電量と安全性の両立をはかり、暴風域は安全性の観点より風圧を小さくするためできる限りブレード直径を小さくすること、相対風速に対する迎角またはアームに対する取付け角度となる前記角度調整を行うことで、暴風域の発電を可能としつつ垂直型風力発電システムの発電性能と安全性をより一層バランスよく実現することが可能となる。
【0038】
特に、前記ブレード直径を大きくした場合、仮に風速を同じとした場合には最大出力を発生する回転数はブレード直径が小さい場合に比べ比較的遅くなり、前記ブレード直径を小さくした場合、仮に風速を同じとした場合には最大出力を発生する回転数はブレード直径が大きい場合に比べ比較的速くなる。特に暴風域で回転数が速くなることは機械的強度の悪化につながるため、相対風速に対する迎角、アームに対する取付け角度またはピッチ角となる前記角度調整を行うことで暴風域での回転数の増加を大幅に抑制することが可能となり、暴風域でも安定した発電を行うことが可能となり、垂直型風力発電システムの発電性能と安全性をより一層バランスよく実現することが可能となる。
また、微風域から暴風域までの各風速において、事前に設定した風速領域において前記ブレード直径を最小としかつ前記角度調整を行うとともに前記垂直型ブレードの回転を停止する停止モードを有する構成とすることで垂直型風力発電システムの安全性をより一層高くすることが可能なる。前記停止モードの際に、前記回転軸の回転を防止するためのブレーキ力をディスクブレーキまたは前記発電機によりにより発生させる構成とすることで垂直型風力発電システムの安全性をさらに高くすることが可能なる。
【0039】
さらに、請求項14に記載された発明に関わる垂直型風力発電システムによれば、垂直型風力発電システムを水平型洋上風車のファーリング制御用の非常用電源として使用する構成としている。
【0040】
この構成により、台風や爆弾低気圧などの異常気象時に前記水平型洋上風車のブレードを止め発電を停止した際においても、ブレードの向きを風向と正対させないファーリング制御を行う際の電力源として使用することが可能となり、安全性の高い垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0041】
さらに、請求項15に記載された発明に関わる垂直型風力発電システムによれば、前記垂直型風力発電システムを前記水平型洋上風車のポールの一部に設置する構成としている。
【0042】
この構成により、前記垂直型風力発電システムのポールを前記水平型洋上風車の前記ポールと共用化することが可能となり、前記水平型洋上風車の非常用電源および前記垂直型風力発電システムの大幅な低コスト化が可能となり、垂直型風力発電システムの低コスト化と安全性をより一層バランスよく実現することが可能となる。
【0043】
さらに、請求項16に記載された発明に関わる垂直型風力発電システムによれば、通常発電風速では前記ブレード直径の設定値を最大とし、前記微風域および前記強風域では前記ブレード直径を前記通常発電風速の設定値より小さくし、前記暴風域および前記停止モードの際は前記ブレード直径の設定値を前記強風域よりさらに小さな設定値としている。
この構成により、風速に応じた最適なブレード直径を選択することが出来、風速に応じた最適な発電効率、風圧を選択することが可能となる。さらに前記ブレード直径とともに前記迎角を調整することにより最適な発電効率および発電量、風圧、静音性を選択することが可能となる。
【0044】
請求項17に記載された発明に関わる垂直型風力発電システムによれば、前記微風域は3m/s未満の風速とし、前記通常発電風速は3m/s以上〜12m/s未満の風速とし、前記強風域は12m/s以上20m/s未満の風速とし、前記暴風域は20m/s以上の風速域としている。
この構成により、各風速に応じた最適なブレード直径および迎角を選択および設定することが可能となる。ただし、この風速域の設定は一例であり、各風速における風速の範囲を変更しても本発明の効果に問題は無い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施形態1に係る垂直型風力発電システムの構成を示した模式図である。
【図2】実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の断面構成の模式図である。
【図3】実施形態1に係る垂直型風力発電システム1のブレード直径可変機構13および迎角調整機構5の断面構成の模式図である。
【図4】実施形態1に係る垂直型風力発電システム1のブレード直径可変機構13および迎角調整機構5の断面構成の模式図である。
【図5】実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の迎角調整機構5の断面構成の模式図である。
【図6】実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の迎角調整機構5の断面構成の模式図である。
【図7】実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の迎角と相対風速(W)の模式図である。
【図8】実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の回転角(θ)の模式図である。
【図9】実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の迎角を算出する多流感ダブルアクチュエータ法の演算方法を示した略図。
【図10】実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の直径(D)の可変状態を示した模式図である。
【図11】実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の直径(D)の可変状態を示した模式図である。
【図12】実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の強風域および暴風域における迎角調整および直径(D)の調整による回転エネルギーの低減効果を示した図である。
【図13】実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の強風域または暴風域における迎角調整および直径(D)の調整による回転エネルギーの低減効果および回転数制御の効果を示した図である。
【図14】実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の、停止時、微風域、通常発電風速域、強風域、暴風域におけるブレード直径26(D)の設定の一例を示した図である。
【図15】実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の、各風速域におけるブレード回転角度とブレードの迎角の設定値と一例を示した図である。
【図16】実施形態2に係る垂直型風力発電システム1を大型風車の暴風時等の非常用電源としてメインポールに取り付けた概略図である。
【図17】実施形態2に係る垂直型風力発電システム1を大型風車の暴風時等の非常用電源としてメインポールに取り付けた概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
(本発明の一形態を得るに至った経緯)
本発明者は「背景技術」にて記載した従来の垂直型風車の発電効率の改善および暴風域における発電および設備保全対策に関して鋭意研究した。この際、風速域は微風域(3m/s未満)、通常発電風速(3m/s〜12m/s未満)、強風域(12m/s〜20m/s未満)、暴風域(20m/s以上)と定義する。
【0047】
従来の垂直型風車ではその構成上、微風域から通常発電風速におけるすべての風速域で発電効率(Cp)を高くすることが困難となる。また、特定の風速域で最適な発電効率(Cp)を高くすることは可能だが、幅広い風速において発電効率(Cp)を高くすることは困難となる。さらに、微風域、通常発電風速、強風域、暴風域の各風速域において発電を行うとともに大きな風圧に対して設備を安全に維持することは困難となる。一方、発電効率(Cp)を極端に低く設定し、暴風域のみ発電する構成としても通常発電風速ではほとんど発電せずかつ設備の剛性を上げるためポールをはじめとする設備コストが大幅に上昇してしまうという課題を有していた。また、ブレードの風切音による騒音に関しても対策がされておらず、住宅街の近隣には従来の風車を設置することは限定的となるという課題を有していた。
【0048】
このように、従来の垂直型風車では、微風域から暴風域までの幅広い風速域で発電し、微風域から暴風域の幅広い風速域で発電効率(Cp)が高くかつ暴風から設備を安全に維持する安全性と、静音性と、小型化を両立することが非常に難しいという課題を有していた。
また、暴風域での設備保全に対応するために、ポール、ブレード、回転軸、アーム、ブレーキなどの機構部品や発電機が風圧や回転エネルギーに耐える構成とするには膨大なコストが必要となり、設備費が高くなりすぎるという課題に直面していた。
また、単純に風圧を下げるためにブレード直径のみを小さくしたのでは、発電効率(Cp)を最適化するのが難しく、ブレード回転数が速くなりすぎてしまい、発電機、ブレード、アームなどの許容量を大きく超えることになったり、様々な風速域に対して最適な発電量や回転数および剛性の設定が困難であるという問題を有していた。
【0049】
さらに、風車の設備投資を考慮した際に、発電効率(Cp)が従来の垂直型風車に対して大幅に増加しないと投資回収期間が大幅に延びてしまうという課題を有していた。
一方、水平型洋上風車において暴風域で風とブレードが正対するのを防ぐファーリング制御を行う際は、ブレードが止まった際においてもファーリング制御が可能となる非常用電源が必要となるが、暴風が長期間になった際でも安定して電源を供給するにはディーゼルエンジンに変わる対策が必要となるという課題を有していた。
【0050】
また、従来の風車ではブレード周辺に発生する渦や流れのはく離による騒音の発生が大きく、深夜などの騒音の発生により住宅地の近傍に設置しにくいという課題を有していた。
【0051】
そこで、本発明者はこの問題点に関し検討を重ねた結果、以下の知見を得た。すなわち、微風域から通常発電風速においてはできる限り全域で発電効率(Cp)を上げる構成とするとともに、強風域および暴風域ではできる限り発電量(発電効率)と装置保全のバランスを考慮し発電を行う構成が実現できないかと考えた。
【0052】
ブレードの迎角を調整することで発電効率を大幅に向上させ、強風域および暴風域は迎角を調整するのみでなくブレードの直径を変化させることと併せて制御するとともに発電機の性能も考慮してブレード回転数や発電量を設定し、風圧によるポール、ブレード、アームなどへの負荷も考慮し、相対風速に対する最適な迎角および各風速域に対する最適なブレード直径を事前に設定する構成とした。さらには、ブレードの角度を騒音を下げるために調整する構成とした。
また、最適な迎角は動作中に学習してもよい。さらに、微風域や停止中は、スペース確保のためブレード直径を最小としてたたみ込む構成としても良いし、暴風域でもブレードを最小直径としてたたみ込んでも良いしその際ブレーキにより回転軸を固定することで一層安全に設備を保全することが可能となる。
【0053】
そして、本発明では以下に示す態様を提供する。
本発明の第1の態様に係る垂直型風力発電システムは、回転軸と、前記回転軸と平行に配設された複数の直線翼と、前記直線翼を前記回転軸に保持するアームと、前記直線翼の前記アームに対する取付け角度を可変とする迎角調整機構から構成された垂直型ブレードを有し、微風域、通常発電風速、強風域、暴風域の各風速域において、風速、風向、前記垂直型ブレードの回転角、前記垂直型ブレードの回転速度、前記垂直型ブレードの直径、前記直線翼の断面形状、前記直線翼の弦長および前記直線翼の枚数に応じて前記直線翼の相対風速に対する迎角または前記アームに対する前記取付け角度を前記迎角調整機構により角度調整を行う構成としている。
【0054】
上記した構成によると、風速、風向、前記垂直型ブレードの回転角、前記垂直型ブレードの回転速度、前記垂直型ブレードの直径、前記略直線翼の断面形状、前記略直線翼の弦長および前記略直線翼の枚数に応じた前記垂直翼の相対風速に対する最適な迎角、または前記垂直翼の前記アームに対する取付け角度を調整することで、前記垂直型ブレードの回転エネルギーまたは垂直型風力発電システムの発電効率(Cp)を微風域、通常発電風速、強風域において大幅に向上させることが可能となる。さらに強風域および暴風域において、前記垂直型ブレードが受ける風圧、前記垂直型ブレードの回転エネルギー、前記垂直型ブレードの回転数を考慮しながら風圧、発電量、回転数のバランスを考慮しながら、前記相対風速に対する最適な前記垂直翼の迎角を設定することが可能となる。
【0055】
また、本発明の第2の態様に係る垂直型風力発電システムは、発電機と前記垂直型ブレードより構成され、前記回転軸は前記発電機の略回転中心部に結合されている。
上記した構成によると、前記垂直型ブレードが高精度に効率よく回転することが可能となり、低速回転から高速回転に至るまで、発電ロスの少ない垂直型風力発電システムを構築することが可能となる。
【0056】
また、本発明の第3の態様に係る垂直型風力発電システムの前記迎角調整機構は、モータとギヤおよび/またはベルト、またはリニアアクチュエータを駆動源とする構成としている。
上記した構成によると、ステッピングモータ、DCモータ、ACモータなどのモータとギヤまたはベルト、またはリニアアクチュエータを駆動源とすることにより、簡易な構成で前記迎角調整機構を実現することが可能となる。
【0057】
また、本発明の第4の態様に係る垂直型風力発電システムの前記垂直型ブレードの回転数は前記回転軸または前記発電機周辺に構成された回転センサより検出し、前記風速および/または風向の検出、前記角度調整の設定値は、前記垂直型ブレードの回転トルクまたは出力の変化より推定する構成としている。
この構成により前記風速や風向を推定することで前記風向計および前記風速計の両方またはいずれか一方を取り除くことが可能となる。さらには角度調整の設定値となる迎角の計算誤差、前記垂直型ブレードの組立て誤差、前記垂直翼の取付け誤差などを補正することが可能となる。
【0058】
また、本発明の第5の態様に係る垂直型風力発電システムにおける前記角度調整の設定値は、事前に設定した風速毎の出力カーブに基づいて事前に算出した数値を参照する構成としている。
この構成により前記風速、風向、前記垂直型ブレードの回転角、前記垂直型ブレードの回転速度、前記垂直型ブレードの直径、前記略直線翼の断面形状、前記略直線翼の弦長および前記略直線翼の枚数に応じた前記垂直翼の最適な迎角、または前記垂直翼の前記アームに対する取付け角度、または前記垂直翼の相対風速に対する迎角となる前記角度調整の設定値を事前に精度よく検証することが出来るとともに、事前に算出し準備しておくことで前記風速、風向、前記垂直型ブレードの回転角、前記垂直型ブレードの回転速度に応じて高速にかつ精度よく前記角度調整の設定値に設定することが可能となる。
【0059】
また、本発明の第6の態様に係る垂直型風力発電システムにおける前記角度調整の設定値は、前記垂直型ブレードの回転トルクまたは出力の変化より推定する構成としている。
この構成により、前記迎角の計算誤差、前記垂直型ブレードの組立て誤差、前記垂直翼の取付け誤差などを補正することが可能となり、一層高精度な前記角度調整を行うことが可能となる。
【0060】
また、本発明の第7の態様に係る垂直型風力発電システムは、回転軸と、前記回転軸と平行に配設された複数の直線翼と、前記直線翼を前記回転軸に保持するアームと、前記回転軸と前記アームと複数の前記直線翼から構成された垂直型ブレードより構成された垂直型ブレードを有し、風速に応じて前記アームの一部をスライドもしくは回動させるブレード直径可変機構にて前記アームの形状を変形させることにより前記垂直型ブレードのブレード直径を可変とする構成としている。
この構成により、強風域または暴風域ではブレード直径を小さくして風圧を減らしたり、微風域又は風が吹いていない場合はブレード直径を小さくして余剰スペースとして活用することが可能となる。このように様々な風速に応じた最適なブレード直径を選択することが可能となり、発電効率、発電量と設備の安全性の保全とのバランスを高精度に実現することが可能となる。
【0061】
また、本発明の第8の態様に係る垂直型風力発電システムの微風域、通常発電風速、強風域、暴風域の各風速に応じた前記ブレード直径の設定値は、事前に算出した数値を参照する構成としている。
この構成により前記風速に応じて前記ブレード直径を事前に精度よく検証することが出来るとともに、事前に算出し準備しておくことで前記風速に応じて高速にかつ精度よく前記角度調整の設定値に設定することが可能となる。
【0062】
また、本発明の第9の態様に係る垂直型風力発電システムは、前記発電機と、前記迎角調整機構およびブレード直径可変機構を搭載した前記垂直型ブレードとを有し、微風域、通常発電風速、強風域、暴風域の各風速域において、風速、風向、前記垂直型ブレードの回転角、前記垂直型ブレードの回転速度、前記垂直型ブレードの直径、前記直線翼の断面形状、前記直線翼の弦長および前記直線翼の枚数に応じて前記直線翼の相対風速に対する迎角または前記アームに対する取付け角度を前記迎角調整機構により角度調整を行うとともに前記ブレード直径可変機構により前記ブレード直径を調整する構成としている。
この構成により、風速、風向、前記垂直型ブレードの回転角、前記垂直型ブレードの回転速度、前記垂直型ブレードの直径、前記略直線翼の断面形状、前記略直線翼の弦長および前記略直線翼の枚数に応じて最適な前記直線翼の相対風速に対する迎角または前記アームに対する取付け角および前記ブレード直径の調整が可能となり、発電効率、発電量と設備の安全性の保全とのバランスをより高精度に実現することが可能となる。
【0063】
また、本発明の第10の態様に係る垂直型風力発電システムの前記角度調整およびブレード直径の設定値は、事前に設定した風速毎の出力カーブに基づいて事前に算出した数値を参照する構成としている。
この構成により、風速、風向、前記垂直型ブレードの回転角、前記垂直型ブレードの回転速度、前記垂直型ブレードの直径、前記略直線翼の断面形状、前記略直線翼の弦長および前記略直線翼の枚数に応じた前記垂直翼の最適な迎角または前記垂直翼の前記アームに対する取り付け角度、または前記垂直翼の相対風速に対する迎角となる前記角度調整の設定値と前記ブレード直径を事前に精度よく検証することが出来るとともに、事前に算出し準備しておくことで前記風速、風向、前記垂直型ブレードの回転角、前記垂直型ブレードの回転速度に応じて高速にかつ精度よく前記角度調整の設定値および前記ブレード直径に設定することが可能となる。
【0064】
また、本発明の第11の態様に係る垂直型風力発電システムは、微風域、通常発電風速、強風域、暴風域の各風速域に応じた前記角度調整および前記ブレード直径の設定値において、前記ブレード直径の設定値は事前に算出した数値を参照し、前記角度調整の設定値は前記垂直型ブレードの回転トルクまたは出力の変化より推定する構成としている。
この構成により、前記角度調整の設定値となる前記迎角の計算誤差、前記垂直型ブレードの組立て誤差、前記垂直翼の取付け誤差を補正することが可能となり、一層高精度な前記角度調整を行うことが可能となる。
【0065】
また、本発明の第12の態様に係る垂直型風力発電システムは、風が停止の状態、微風域、通常発電風速、強風域、暴風域の各風速域において、事前に設定した風速域において前記ブレード直径を最小としかつ前記角度調整を行うとともに前記垂直型ブレードの回転を停止する停止モードを有する構成としている。
この構成により、強風域または暴風域において前記垂直型ブレード、前記直線翼、前記アーム、前記ポール、前記回転軸が受ける風圧の影響を大きく低減することが出来るとともに微風域または風がない時に前記垂直型風力発電システムの占有するスペースを最小に抑えることが可能となり、設備の保全性とスペース効率に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0066】
また、本発明の第13の態様に係る垂直型風力発電システムは、前記停止モードにおいて、前記回転軸の回転を防止するためのブレーキ力をディスクブレーキまたは前記発電機によりにより発生させる構成としている。
この構成により、前記停止モードにおいて前記垂直型ブレードの回転を確実に停止させることが可能となり、一層設備の保全性および安全性に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0067】
また、本発明の第14の態様に係る垂直型風力発電システムは、水平型洋上用風車のファーリング制御用の非常用電源として使用する構成としている。
この構成により、暴風域で前記水平型洋上用風車のブレードが停止し発電がストップした場合においても発電を行いファーリング制御用の電力を供給することが可能となり、一層設備の保全性および安全性に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0068】
また、本発明の第15の態様に係る垂直型風力発電システムは、前記水平型洋上用風車のポールの一部に設置する構成としている。
この構成により、前記垂直型風力発電システムのポールを前記水平型洋上風車の前記ポールと共用化することが可能となり、前記水平型洋上風車の非常用電源および前記垂直型風力発電システムの大幅な低コスト化が可能となり、垂直型風力発電システムの低コスト化と安全性をより一層バランスよく実現することが可能となり、一層低コストで安全性に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0069】
また、本発明の第16の態様に係る垂直型風力発電システムは、通常発電風速では前記ブレード直径の設定値を最大とし、前記微風域および前記強風域では前記ブレード直径を前記通常発電風速の設定値より小さくし、前記暴風域および前記停止モードの際は前記ブレード直径の設定値を前記強風域よりさらに小さな設定値とする構成としている。
この構成により、風速に応じた最適なブレード直径を選択することが出来、風速に応じた最適な発電効率、風圧を選択することが可能となる。さらに前記ブレード直径とともに前記迎角を調整することにより最適な発電効率および発電量、風圧、静音性を選択することが可能となる。
【0070】
また、本発明の第17の態様に係る垂直型風力発電システムは、前記微風域は3m/s未満の風速とし、前記通常発電風速は3m/s以上〜12m/s未満の風速とし、前記強風域は12m/s以上20m/s未満の風速とし、前記暴風域は20m/s以上の風速域としている。
この設定により、各風速に応じた最適なブレード直径および迎角を選択および設定することが可能となる。ただし、この風速域の設定は一例であり、各風速における風速の範囲を変更しても本発明の効果に問題は無い。
【0071】
これらの構成により、垂直型風力発電システムの高効率化、低騒音化、小型化、省スペース化、低コスト化、強風域および暴風域における設備保全対策、強風域および暴風域での発電をバランスよく実現することが可能となる。また、台風や異常気象時における非常用電源としての洋上風車の設備保全の小型、低コスト、高性能かつ高信頼性の対策案として大きく貢献することが可能となる。
【0072】
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は対応する構成部材には同一の参照符号を付して、その説明については省略する。
【0073】
(実施形態1)
図1〜図8を参照して実施形態1に係る垂直型風力発電システムについて説明する。図1〜図8は、実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の構成の一例を示した模式図である。
図1は、実施形態1に係る垂直型風力発電システムの斜視図を模式的に示している。図2は、実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の断面構成の模式図を示している。図3は、実施形態1に係る垂直型風力発電システム1のブレード直径可変機構13および迎角調整機構5の断面構成の模式図を示している。図4は、実施形態1に係る垂直型風力発電システム1のブレード直径可変機構13および迎角調整機構5の断面構成の模式図を示している。図5は、実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の迎角調整機構5の断面構成の模式図を示している。図6は、実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の迎角調整機構5の断面構成の模式図を示している。図7は、実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の迎角と相対風速(W)の模式図を示している。図8は、実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の直線翼3の回転角(θ)の模式図を示している。
【0074】
図1〜図3に示すように、垂直型風力発電システム1は回転軸2、直線翼3、アーム4、迎角調整機構5、垂直型ブレード6、直径可変モータ7、タイミングベルト8、回動保持部9、リンク部10、発電機11、ポール12、ブレード直径可変機構13、迎角調整モータ14、ブレーキ15、迎角調整ギヤA16、迎角調整ギヤB17、プーリーA18、プーリーB19、保持部20、回動保持ピン21、風速計22、風向計23、発電機可動部24、迎角25、ブレード直径26より構成される。
【0075】
垂直型ブレード6は回転軸2を発電機11の発電機回動部24の略回転中心部に固定され、発電機11(発電機の固定部)はポール12に固定される。さらに垂直型ブレード6および発電機11の発電機回動部24の近傍または回転軸2の近傍にはブレーキ15が取り付けられ、制動時は(メカニカル)ブレーキ15が用いられる。このブレーキ機能に関しては発電機11のロック機能で代用する場合もある。垂直型ブレード6は、回転軸2に固定されたアーム4とアーム4に固定された複数の直線翼3より構成される。またこの際、アーム4は直径可変モータ7、リンク部10、プーリーA18、プーリーB19、タイミングベルト8より構成されるブレード直径可変機構13を有し、直径可変モータ7の出力のプーリーA18、プーリーB19からリンク部10を介し回動側のアーム4を回動させることにより垂直型ブレード6のブレード直径26(図中D)を可変とすることが可能となる。ブレード直径可変機構13は図4に示すように、アーム4に固定された直径可変モータ7のリンク部10(モータ軸でも可)に固定された外周側のアーム4が回動する構成でもよい。
【0076】
さらに、迎角調整機構5は迎角調整モータ14、迎角調整ギヤA16および直線翼3に固定された迎角調整ギヤB17、直線翼3をアーム4上で回動可能に保持するための回動保持部9より構成され、直線翼3は迎角25が調整可能な状態でアーム4に保持される。
【0077】
図5および図6はアーム4が直線翼3を回動可能に保持する構成を示した模式図である。この際、図5または図6に示すように、直線翼3は、直線翼3に固定された回動保持部9および回動保持ピン21によりアーム4上で回動可能な状態で保持されることとなり、回動中心は図5に示すように直線翼3の外部でも良いし、図6に示すように直線翼3の内部でもよい。図6に示すように直線翼3の内部に回動中心を構成する場合は、直線翼3の内部に回動保持部9、回動保持ピン21、アーム4の一部を構成することとなる。
【0078】
また、図7は、直線翼3に発生する流体力(揚力、抗力)、各風速および各角度の関係を示した模式図である。アーム4に保持された直線翼3における風速(V)、ブレード回転速度(m/s:または回転数rpm)、相対風速(W)、迎角25(α)、揚力、抗力、取付け角、ピッチ角(ψ)の関係を示した概略図である。相対風速(W:m/s)は風速(V:m/s)とブレード回転速度(m/s)の合成となり、迎角25(α)は相対風速(W)に対する直線翼3(中心線)の角度となる。取付け角はアーム4と直線翼3との角度となり、ピッチ角(ψ)は直線翼3の回転方向に対する接線方向と直線翼3(中心線)との角度となる。
【0079】
一方図8は、垂直型ブレード6の回転軌跡を示した垂直型ブレード6の上面図の模式図であり、垂直型ブレード6および直線翼3の回転方向、垂直翼回転角度(θ)、直線翼3の長さ(C)、垂直型ブレード6の直径(D)、風速(V)、ピッチ角(ψ)、取付け角との関係を示している。
各風速を微風域(3m/s未満)、通常発電風速(3m/s以上〜12m/s未満)、強風域(12m/s以上〜20m/s未満)、暴風域(20m/s以上)と定義し、各風速における発電効率(Cp)を最大または最適にするのは、微風域および強風域では上記迎角25(α:取付け角、ピッチ角でも可)を、風向計23から検出した風向、風速計22から検出した風速、ブレード回転速度(m/s:ブレード直径26および垂直型ブレード5の回転数から算出)、風速およびブレード回転速度から算出した相対風速(m/s)、垂直翼回転角度(θ)、ブレード直径26、垂直翼3の翼形状の特性(揚力係数および抗力係数など)、垂直翼3の長さ(C)、直線翼3の枚数などの条件を考慮し算出することとなる。
【0080】
また、各風速で垂直型ブレード直径26(D)を可変とし発電効率(Cp)を最大または最適とする迎角25(α)を算出するには、風向計23から検出した風向、風速計22から検出した風速、ブレード回転速度(m/s:垂直型ブレードの直径および回転数から算出)、風速およびブレード回転速度から算出した相対風速(m/s)、垂直翼回転角度(θ)、垂直型ブレード直径26、垂直翼3の翼形状の特性(揚力係数および抗力係数など)、垂直翼3の長さ(C)、直線翼3の枚数などの条件を考慮し算出することとなる。
尚、実施の形態1に示す各風速域の設定は、一例であり各風速における風速の範囲を変更しても本発明の効果に問題は無い。
【0081】
尚、本実施形態1では、この際の迎角25(α)の演算方法は、図9に示すいわゆる多流感ダブルアクチュエータ法を用いて演算を行うこととする。図9は垂直型風車に多流管ダブルアクチュエータ法を適用し上面から見た略図である。ブレード回転円と各流管が交差する上流側および下流側それぞれの位置にアクチュエータ面を仮想した層状流管を示し、各流管に翼素運動量理論を適用する。すなわち各流管の入口と出口の流体の運動量差と図9に示すアクチュエータ面に設置された翼に作用する流体力の関係から各流管ごとに回転トルクを求め、その総和をブレード全体の回転トルクとして演算する。
【0082】
垂直型ブレード6の停止時は、ブレード直径26(D)を最大から最小の適切な値に設定し、できる限りブレード直径26(D)を小さくすることで、スペースを確保することが可能となる。
微風域ではブレード直径26(D)を小さくしてソリディティー(円周に対する垂直翼3の長さ(C)の和の比)を大きくすることで回転しやすくする構成、または迎角25(α)を調整しいわゆる抗力を主に回転させる設定としている。一般的に、ブレードのソリディティーを大きくすることで、最大効率を発生する回転数は低くなるとともに回転のスタート時はブレードの空隙部が少なくなるためブレードは回転しやすくなる。
通常発電風速ではブレード直径可変機構13によりブレード直径26をできる限り大きくし、迎角調整機構5により迎角25(α)を発電効率(Cp)が最大となる値とすることで発電量を大幅に向上させることが可能となる。この際、迎角25(α)は可能な限り発電効率(Cp)が最大となる角度に設定することで構成でもよく、必要以上に迎角25(α)を変化させること(最大効率を発生させる角度に設定)はしなくてよい。
【0083】
強風域では、風速により事前にブレード直径可変機構13でブレード直径26を設定し、ブレード直径26に応じて事前に設定した迎角25(α)に調整する。この際、ブレード直径26および迎角25は風圧により機構部品が受ける応力や発電機11の性能、必要とする発電量から算出した発電効率(Cp)より事前に各風速毎に設定した値とし、ブレード直径可変機構13によりブレード直径26を、迎角調整機構5により迎角25を調整する。従って、ブレード直径26を小さくして風圧を低減する事に加え、迎角25を調整することで風圧の低減および発電効率(Cp)の調整を行う事となる。ブレード直径26のみを小さくし、迎角25を最適化しないと、垂直型ブレード6の回転数、発電量、風圧が大きくなりすぎることとなるため、ブレード直径26を可変とすることと迎角25の調整は必ず一緒に行う必要がある。
【0084】
暴風域では、風速により事前にブレード直径可変機構13のブレード直径26を設定し、ブレード直径26に応じて事前に設定した迎角25に調整する。この際、ブレード直径26および迎角25は風圧により機構部品が受ける応力や発電機11の性能、必要とする発電量から算出した発電効率(Cp)より事前に各風速毎に設定した値とし、ブレード直径可変機構13によりブレード直径26を、迎角調整機構5により迎角25を調整する。従って、ブレード直径26を小さくして風圧を低減する事に加え、迎角25を調整することで風圧の低減および発電効率(Cp)の調整を行う事となる。さらに暴風域では、垂直型ブレード6の回転を停止するとともにブレーキ15または発電機11の回転ロックにより垂直型ブレード6の保全を行う停止モードを有している。
【0085】
図10および図11は実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の、各風速における垂直型ブレード6のブレード直径26の可変状態を示した図である。ブレード直径26の可変は、状況に応じて微風域および通常発電風速で行っても問題はない。
【0086】
図12は実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の、強風域または暴風域における直線翼3の迎角25の調整、直線翼3の迎角25の調整および垂直型ブレード6のブレード直径26の調整による垂直型ブレード6の回転エネルギー(Kw)の変化(発電量または発電効率の変化)の概要を示した図である。対策1および対策2は強風域または暴風域で迎角26の調整および/またはブレード直径26の調整を行うことで、回転エネルギー(Kw)を抑え込むとともに垂直型ブレード6やポール12にかかる風圧を大幅に低減することが可能となり、強風域または暴風域における安定した発電や垂直型風力発電システム1の信頼性の高い設備保全を実現することが可能となる。
【0087】
図13は実施形態1に係る垂直型風力発電システム1の、強風域または暴風域における直線翼3の迎角25の調整、直線翼3の迎角25の調整および垂直型ブレード6のブレード直径26の調整による垂直型ブレード6の回転エネルギー(Kw)の変化(発電量または発電効率の変化)の概要を示した図である。対策1および対策2は強風域または暴風域で迎角25の調整および/またはブレード直径26の調整を行うことで、回転エネルギー(Kw)を抑え込むとともに回転エネルギーの制御および垂直型ブレード6の回転数の制御が可能となることとなり、精度の高い強風域および暴風域の発電が可能となるとともに、垂直型ブレード6の暴走を防ぎ、垂直型ブレード6の機構部品や発電機11への負荷を大幅に減らすことができ、強風域または暴風域における安定しかつ発電量精度の高いの発電や垂直型風力発電システム1の一層の信頼性の高い設備保全を実現することが可能となる。
【0088】
停止時、微風域、通常風速域、強風域、暴風域におけるリンク部10を有したリンク方式(機構)によるブレード直径26(D)の設定の一例を図14に示す。
図14において、停止時はスペース効率を上げるためあるいは風圧の影響を低減するためにブレード直径26(D)を小さくし、微風時は始動性および発電効率を上げるためにブレード直径26(D)を小さくし、通常風速では発電効率を上げるためにブレード直径26(D)を比較的大きくし、強風域では風圧の影響を低減するためおよび発電量(発電効率)を調整するためにブレード直径26(D)を比較的小さくし、暴風域では風圧の影響を低減するためにブレード直径26(D)をより小さくする構成としている。
【0089】
各風速域におけるブレード回転角度とブレードの迎角の設定値と実施例を図15に示す。発電効率を最大にするには通常発電風速における迎角変化より微風域の迎角変化の方が大きくなる。また、強風域は発電効率を低下させるため、通常発電風速における迎角変化より強風域の迎角変化の方が大きくなる。
【0090】
尚、実施の形態1では、微風域でのブレード直径26(D)は通常発電風速のブレード直径26(D)より小さくしたが同等としても問題ない。
【0091】
尚、実施形態1では発電機11はアウタータ式の構成としているが、いわゆるインナーロータ式としても問題ない。
【0092】
尚、実施形態1では垂直型ブレード6における直線翼3の数は2枚としたが2枚以上であれば何枚でも可となる。
【0093】
尚、実施形態1ではタイミングベルト8としたが、凹凸のないベルトでも問題ない。
【0094】
尚、実施形態1では迎角調整機構5に迎角調整ギヤ1、迎角調整ギヤ2の2つのギヤを用いたが、ベルトを用いても良いし、その他回動する機構であれば問題ない。
【0095】
尚、実施形態1ではブレード直径可変機構13は外周側のアーム4をリンク部10を介しリンク方式で折りたたむ構成としたが、リニアアクチュエータを用い、半径をおよび直径を変化させる構成でもよい。
【0096】
尚、実施形態1では、迎角調整機構5は迎角調整モータ14、迎角調整ギヤA16および直線翼3に固定された迎角調整ギヤB17、回動保持部9より構成され、直線翼3はアーム4上で迎角が調整される構成としたが、迎角調整モータ14、迎角調整ギヤA16および直線翼3に固定された迎角調整ギヤB17をリニアアクチュエータに置き換え、リニアアクチュエータと回動保持部9にて迎角調整する構成でもよい。
【0097】
尚、実施形態1では、各風速域における迎角25に調整値は事前に算出する構成としたが、迎角25に調整量と垂直型ブレード6の回転数の変化、回転エネルギーの変化、発電量の変化から学習し予測する構成としても良い。
【0098】
尚、実施形態1では、風速および風向は風速計22および風向計23にてそれぞれ検出する構成としているが、風速計22および/または風向計23を省き、迎角25に調整量と垂直型ブレード6の回転数の変化、回転エネルギーの変化、発電量の変化から風向および風速を学習し予測する構成としても良い。
【0099】
(実施形態2)
図16〜図17を参照して実施形態2に係る垂直型風力発電システム1について説明する。
図16〜図17は、大型風車の暴風時等の非常用電源としてメインポールに取り付けた垂直型風力発電システム1を示した図である。図16において、大型風車、メインポール、大型風車ブレード、垂直型風力発電システム1、メインポール固定部27、風車接続部28より構成され、暴風時等に大型風車の大型風車ブレードの回転が停止し発電が行われていない状態で大型風車ブレードが受ける風圧を低減するファーリング制御(大型風車ブレード面の回転制御)を行う非常用電源として垂直型風力発電システム1を用い、メインポール固定部25および風車固定部25によりメインポールに垂直型風力発電システム1を複数台取り付けた構成とし、迎角25の角度制御および/またはブレード直径26(D)の長さ制御を行うこととなる。
【0100】
この構成により長期間の暴風時においても安定したファーリング制御を行うことができるとともに、ポール12を大幅に小型化かつ短くした風車接続部28にて垂直型風力発電システム1を支えることとなり、大幅な低コスト化も実現することが可能となり、大型風車および垂直型風力発電システム1の設備保全と低コスト化を実現することが可能となる。
【0101】
図17は発電機11の固定部はメインポールに取り付けられ、直線翼3とアーム4は発電機11の発電機回転部24に取り付けられた構成とし、迎角25の角度制御および/またはブレード直径26(D)の長さ制御を行う構成としている。この構成により非常用電源として取り付ける垂直型風力発電システム1の搭載は1機となり一層の簡素化と低コスト化をはかることが出来るとともに強風域および暴風域の設備保全の信頼性を一層向上させることとなる。
尚、実施の形態2では垂直型風車を取り付けたが、水平型風車を取り付け大型風車のファーリング制御に同期させて風向追尾を行っても良い。
【0102】
上記説明から、当業者にとって、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は迎角調整機構およびブレード直径可変機構を用い、発電効率を大幅に向上させるとともに強風域や暴風域での制御性能、発電性能および設備保全性能を高める垂直型風力発電システムに関するものであり、発電性能、信頼性、静音性、経済性および設備保全性に優れ、脱炭素社会に向けた有効な技術となり、洋上および陸上風力の非常用電源、スマートシティーや家庭用の小型電源装置、さらには都市空間における風速センサとしての利用が可能となる。
【符号の説明】
【0104】
1 垂直型風力発電システム
2 回転軸
3 直線翼
4 アーム
5 迎角調整機構
6 垂直型ブレード
7 直径可変モータ
8 タイミングベルト
9 回動保持部
10 リンク部
11 発電機
12 ポール
13 ブレード直径可変機構
14 迎角調整モータ
15 ブレーキ
16 迎角調整ギヤ1
17 迎角調整ギヤ2
18 プーリー1
19 プーリー2
20 保持部
21 回動保持ピン
22 風速計
23 風向計
24 発電機回動部
25 迎角(α)
26 ブレード直径(D)
27 メインポール固定部
28 風車接続部
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
【図10】
図10
【図11】
図11
【図12】
図12
【図13】
図13
【図14】
図14
【図15】
図15
【図16】
図16
【図17】
図17
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