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【考案の名称】グリーン電力発電装置
【実用新案権者】
【識別番号】301051482
【氏名又は名称】林 英男
【住所又は居所】群馬県前橋市西片貝町2丁目269
【代理人】
【識別番号】100097744
【弁理士】
【氏名又は名称】東野 博文
【考案者】
【氏名】林 英男
【住所又は居所】群馬県前橋市西片貝町2丁目269
【要約】 (修正有)
【課題】地球温暖化の抑制、低炭素・脱炭素化社会への実現に向けてCO2削減の取り組みに活用できるグリーン電力発電装置を提供する。
【解決手段】グリーン電力発電装置は、太陽光発電装置10又は/及び風力発電装置30で発電される電力が入力される接続箱15、16と、接続箱15、16を介して接続され、太陽光発電装置10又は/及び風力発電装置30で発電される電力を蓄電する蓄電池50と、蓄電池50に蓄電された直流電力を家庭で使用できる交流電力に変換しているパワーコンディショナー52と、パワーコンディショナー52と接続され、太陽光発電装置10又は/及び風力発電装置30の総発電量を測定するグリーン電力計53と、グリーン電力計53と接続された分電盤58から家庭の各部屋へ電気を送る分岐回路を有すると共に、分電盤58から外部の電力送電線網に売電する売電・買電用電力量計60とを備える。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電装置、風力発電装置、接続箱、蓄電池、パワーコンディショナー、分電盤、及び売電・買電用電力量計を組み合わせたグリーン電力発電装置であって、
前記太陽光発電装置又は/及び風力発電装置で発電される電力が入力される接続箱と、
前記接続箱を介して接続される蓄電池であって、前記太陽光発電装置又は/及び風力発電装置で発電される電力を蓄電する前記蓄電池と、
前記蓄電池に蓄電された直流電力を家庭で使用できる交流電力に変換しているパワーコンディショナーと、
前記パワーコンディショナーと接続され、前記太陽光発電装置又は/及び風力発電装置の総発電量を測定する、総発電電力量計と、
前記総発電電力量計と接続された分電盤であって、前記分電盤から前記家庭の各部屋へ電気を送る分岐回路を有し、
前記分電盤から外部の電力送電線網に売電する電力量と、前記外部の電力送電線網から買電する電力量を測定する売電・買電用電力量計と、
を備えるグリーン電力発電装置。
【請求項2】
前記太陽光発電装置は、太陽光を光電変換する複数の太陽光発電パネルと、当該太陽光発電パネルの受光面を太陽光の入射する方向に保持する架台とを有すると共に、前記太陽光発電パネルの少なくとも一枚はこれに隣接する太陽光発電パネルとの間に空気流通用の間隙を設けた状態で前記架台に取付けられている請求項1に記載のグリーン電力発電装置。
【請求項3】

前記風力発電装置は、風車の回転軸が地面に対して垂直に位置する垂直型であって、前記太陽光発電パネルの空気流通用の間隙を通過した風によって回転する複数の受風部材を有する当該風車と、前記風車による回転エネルギーを電気エネルギーに変換して発電を行う発電機とを備える請求項1又は2に記載のグリーン電力発電装置。
【請求項4】
前記蓄電池は、
前記需要家の必要電力を供給する第1の蓄電池であって、前記需要家の必要電力の一時間以上の蓄電容量を有する前記第1の蓄電池と、
前記第1の蓄電池と前記外部の電力送電線網側とに接続されると共に、前記需要家の必要電力の一日分以上の蓄電容量を有する第2の蓄電池とを有する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載のグリーン電力発電装置。
【請求項5】
前記第2の蓄電池は、電気自動車の蓄電池である請求項4に記載のグリーン電力発電装置。
【請求項6】
前記総発電電力量計は、グリーン電力証書取引、Jクレジット制度、又は非化石証書の少なくとも何れか一つに対処するための太陽光発電と風力発電の総発電電力量計である請求項1乃至5の何れか1項に記載のグリーン電力発電装置。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この考案は、CO2を出さないエネルギー源で発電するグリーン電力発電装置に係り、特に地球温暖化の抑制、低炭素・脱炭素化社会への実現に向けてCO2削減の取り組みに活用できるグリーン電力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化対策として大気を汚染する気体の排気量を削減する動きが活発であり、例えば京都議定書が発効している。そこで、電力供給として天然ガスを燃料とする火力発電所の新設が検討されている。しかし、天然ガスの供給には欧米ではパイプラインが一般的であるが、日本では液化天然ガスとして専用タンカーで運搬している。この液化天然ガスの価格は、原油価格と連動する契約が一般的である。
欧米においては、シェールガス革命の影響で、パイプライン輸送による天然ガスの価格は急落して、シェールガスの採算価格を割り込むほどに低下している。しかし、液化天然ガスの価格は、パイプライン輸送による天然ガスの価格とは、大幅に乖離したまま推移している。そこで、化石燃料等の燃焼に基づくエネルギーに代えてクリーンなエネルギー、特に、自然エネルギーを利用する太陽光発電と風力発電から創出した電力エネルギー利用が普及している。太陽光や風力、水力、地熱などのCO2を出さないエネルギー源で発電されたものは、グリーン電力発電と呼ばれている。
【0003】
このような、グリーン電力発電装置として、例えば本出願人の提案に係る特許文献1では、市街地居住人口の減少に伴って都市近郊の市街地に存在する空き地に設置するのに好適な、太陽光発電と風力発電を複合した発電装置が開示されている。
【0004】
また、非特許文献1では、需要家の視点から、燃料電池、太陽光発電、蓄電池から構成される家庭用分散型エネルギーシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 実用新案登録第3192427号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】柴田善朗、『燃料電池、太陽光発電、蓄電池から構成される家庭用分散型エネルギーシステムの経済性分析』、一般財団法人 日本エネルギー経済研究所刊、エネルギー経済 2012年9月
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0007】
本考案は、上述した課題を解決するもので、地球温暖化の抑制、低炭素・脱炭素化社会への実現に向けてCO2削減の取り組みに活用できる、太陽光や風力、水力、地熱などのCO2を出さないエネルギー源で発電されたグリーン電力発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本考案のグリーン電力発電装置は、例えば図1、図2に示すように、太陽光発電装置10、風力発電装置30、接続箱(15、16)、蓄電池50、パワーコンディショナー52、分電盤58、及び売電・買電用電力量計60を組み合わせたグリーン電力発電装置であって、太陽光発電装置10又は/及び風力発電装置30で発電される電力が入力される接続箱(15、16)と、前記接続箱を介して接続される蓄電池50であって、太陽光発電装置10又は/及び風力発電装置30で発電される電力を蓄電する蓄電池50と、蓄電池50に蓄電された直流電力を家庭で使用できる交流電力に変換しているパワーコンディショナー52と、パワーコンディショナー52と接続され、太陽光発電装置10又は/及び風力発電装置30の総発電量を測定する総発電電力量計63と、総発電電力量計63と接続された分電盤58であって、分電盤58から前記家庭の各部屋へ電気を送る分岐回路を有すると共に、分電盤58から外部の電力送電線網に売電する売電・買電用電力量計60とを備えるものである。
【0009】
本考案のグリーン電力発電装置において、例えば図3〜5に示すように、好ましくは、太陽光発電装置10と風力発電装置30とを組み合わせた複合型発電装置であって、太陽光発電装置10は、太陽光を光電変換する複数の太陽光発電パネル12と、当該太陽光発電パネルの受光面を太陽光の入射する方向に保持する架台20とを有すると共に、太陽光発電パネル12の少なくとも一枚はこれに隣接する太陽光発電パネルとの間に空気流通用の間隙を設けた状態で架台20に取付けられているとよい。
【0010】
本考案のグリーン電力発電装置において、例えば図3〜5に示すように、好ましくは、風力発電装置30は、風車32の回転軸34が地面に対して垂直に位置する垂直型であって、太陽光発電パネル12の空気流通用の間隙14を通過した風によって回転する複数の受風部材を有する風車32と、風車32による回転エネルギーを電気エネルギーに変換して発電を行う発電機36とを備えるとよい。
を特徴とする。
【0011】
本考案のグリーン電力発電装置において、好ましくは、前記蓄電池は、前記需要家の必要電力を供給する第1の蓄電池であって、前記需要家の必要電力の一時間以上の蓄電容量を有する前記第1の蓄電池と、前記第1の蓄電池と前記外部の電力送電線網側とに接続されると共に、前記需要家の必要電力の一日分以上の蓄電容量を有する第2の蓄電池とを有するとよい。好ましくは、第2の蓄電池は、電気自動車の蓄電池であるとよい。
本考案のグリーン電力発電装置において、好ましくは、総発電電力量計63は、グリーン電力証書取引、Jクレジット制度、又は非化石証書の少なくとも何れか一つに対処するための太陽光発電と風力発電の総発電電力量計であるとよい。
【考案の効果】
【0012】
本考案に係るグリーン電力発電装置において、さらにグリーン電力計又は総発電電力量計を設けると、電力会社の余剰電力買取り制度とは別に、太陽光発電システムや風力発電装置による電力の環境価値を売買する“グリーン電力証書取引”等と呼ばれる制度に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本考案に係る住戸用のグリーン電力発電装置の好ましい一実施形態を示す要部構成図である。
【図2】本考案に係る住戸用のグリーン電力発電装置の好ましい一実施形態を示す要部機能ブロック図である。
【図3】本考案に係るグリーン電力発電装置に用いられる複合型発電装置の好ましい一実施形態を示す構成斜視図である。
【図4】図3に示す複合型発電装置の側面図で、特に風力発電装置30を詳細に示してある。
【図5】図3に示す複合型発電装置の背面図で、特に筋交い部を詳細に示してある。
【図6】風力発電装置に用いられる風車の各種の形状を示す構成図である。
【考案を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本考案の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本考案に係る住戸用のグリーン電力発電装置の好ましい一実施形態を示す要部構成図である。図において、本考案に係る住戸用のグリーン電力発電装置は、住戸70に太陽光発電装置、風力発電装置、蓄電池(据置型)50、電気自動車54、電気自動車充放電設備56(V2H機器)、分電盤58、売電・買電用電力量計60等を備えたものである。図2は、本考案に係る住戸用のグリーン電力発電装置の好ましい一実施形態を示す要部機能ブロック図である。図2において、図1の発明特定事項に加えて明記されたものは
、グリーン電力計53、太陽光・風力用ブレーカ57、電気機器72、電力モニタ74を有している。
【0015】
太陽光発電装置は、太陽光発電パネル12、接続箱15を備えている。
太陽光発電パネル12は、約10センチ四方の太陽光発電セルを組み合わせたもので、パネル1枚の単位を太陽電池モジュールと呼ぶ。太陽電池モジュールを直列に繋いだ回路を太陽電池ストリングといい、供給する電圧を高くするため、可能な範囲内で太陽電池モジュールを沢山結んだストリングにした方が良い。太陽電池ストリングを並列に組み合わせたものを、太陽電池アレイという。
接続箱15は太陽電池モジュールで発電した電気エネルギー(直流)を集めるための機器で、太陽電池モジュールを直列につなげた太陽電池ストリングを1つの回線とし、それぞれの回線を逆流防止のダイオードなどを通して1つの接続箱の中に集めるものである。接続箱の中には、一般的に入力用直流開閉器、逆流防止素子、出力用端子台、開閉器又は遮断器、避雷素子」などの機器が付いている。開閉器には、ブレーカーのようにONとOFFのスイッチがあり、電気の流れをチェックしたりメンテナンスしたりできる仕組みとなっている。また、落雷で機器が壊れてしまわないように、避雷素子も組み込まれている。なお、接続箱はパワーコンディショナーと一体化してもよい。
【0016】
風力発電装置は、風車、発電機、接続箱16、電力量計(風力発電総発電電力用)42を備えている。風力発電装置については、後で詳細に説明する。
接続箱16は、風力発電機と蓄電池の間に設けられる。接続箱は、単なる箱(端子台)ではなく、発電量を監視するための電流計と、風力発電機に電磁ブレーキをかけるためのブレーキスイッチ、それから安全のためのヒューズが装備されている。風力発電機からの出力を(蓄電池側から切り離して)短絡させることで、電磁ブレーキをかけることが出来る。この原理は、発電機に無限大の負荷をかけることに相当する。
【0017】
蓄電池(据置型)50は蓄電を行うものであり、パワーコンディショナー52を介して、分電盤58に接続されている。パワーコンディショナー52は、PCS(Power Conditioning System)と呼ばれるもので、蓄電池に蓄電された直流電力を家庭で使用できる交流電力に変換していると共に、太陽光発電装置、風力発電装置で発電した直流電力または交流電力を分電盤58を介して蓄電池の充電に用いる直流電力に変換している。蓄電池(据置型)50の蓄電容量は、需要家である住戸の5日分程度の消費電力を賄える量とするのがよい。この場合、蓄電池(据置型)50の蓄電容量には電気自動車54の蓄電池の蓄電容量を加えてもよい。
【0018】
電気自動車54は蓄電池を搭載しており、充電によって道路の走行を行うものであり、電気自動車充放電設備56(V2H機器)を介して、蓄電池(据置型)50に接続されている。電気自動車54は可動式の蓄電池としても使用できるように、電気自動車充放電設備56が設けられている。電気自動車充放電設備56は、蓄電池(据置型)50からの給電により、電気自動車54に対して充電に必要な直流電力を供給すると共に、電気自動車54に蓄電された電力を蓄電池(据置型)50とパワーコンディショナー52を介して分電盤58に商用交流電力と同一の電圧で供給する充放電機能を有している。
【0019】
グリーン電力計53は、電力会社の余剰電力買取り制度とは別に、太陽光発電システムによる電力の環境価値を売買する“グリーン電力証書取引”等と呼ばれる制度に対処するための電力計で、太陽光発電システムの総発電量を測定するもので、総発電電力量計といもいわれる。
グリーン電力証書は、再生可能エネルギーによって発電された電気の「環境価値」を証書化したもので、第三者承認機関の承認を得て証書発行事業者がグリーン電力証書を発行する。また、グリーン電力証書の発電電力量・生成熱量に基いて、そのCO2排出削減価
値を国が認証することにより、温対法に基づく温室効果ガス排出算定・報告・公表制度等に活用できるようにした制度が、「グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度」である。
【0020】
太陽光・風力用ブレーカー57は、太陽光発電装置や風力発電装置に設けられるブレーカーで、アンペアブレーカー、漏電遮断器、配線用遮断器3種類のブレーカーがあり、それぞれ仕組みが異なる。アンペアブレーカーは一度に想定以上の電力が流れたときに自動で電気を遮断する仕組みであり、過電流による故障や事故を防止する。漏電遮断器は、電力が流れてはいけない部分に流れてしまう漏電を防ぐためのブレーカーである。漏電を検知した際にブレーカーを落とし、家屋全体の電気を停止させる。配線遮断器の役割は電気を送る回路に過負荷がかからないように保護する。
【0021】
分電盤58は、2個以上の開閉器を集合して取付けた盤(板)である。分電盤の中には、サービスブレーカー、漏電ブレーカー、安全ブレーカーなどがあり、電気容量のチェックや屋内配線の安全確保などの役目をしている。サービスブレーカーは、契約容量を決定しているブレーカーで、契約以上の電気が流れると自動的に電気が止まるしくみになっている。漏電ブレーカーは、漏電しゃ断器ともいい、建物内の配線や電気器具の漏電を素早く感知し、自動的に電気をしゃ断する。通常15〜30mA程度の漏電で作動する。安全ブレーカーは、配線用しゃ断器ともいい、分電盤から各部屋へ電気を送る分岐回路のそれぞれに取り付けられている電気器具やコードの故障でショートした時や、使いすぎて過電流が流れた場合に電気を自動的にしゃ断する。
【0022】
売電・買電用電力量計60は、買電用電力量計(供給用計器)と売電用電力量計(逆潮流用計器)の2つの電力量計に区分できるもので、住戸側の分電盤58と商用電力網とを区分するものである。売電・買電用電力量計60は、住戸側の太陽光発電装置、風力発電装置、燃料電池70による発電が住戸70の自家需要量を上回っているときは商用電力側に売電し、不足しているときは商用電力側から買電する電力量を計測し積算している。
住戸70には、室内電灯線が設けられている。住戸70には、照明・家電製品、エアコン、IH調理器、床暖房等の電気機器72が設けられており、室内電灯線による給電を受けている。電力モニタ74は電気機器72の消費電流を管理・測定する。
【0023】
このように構成された装置においては、太陽光発電装置、風力発電装置で発電した電力を分電盤58を介して、住戸での自家消費電力用に供給すると共に、蓄電池(据置型)50の充電に用い、余剰電力があれば売電・買電用電力量計60を介して売電する。住戸での自家消費電力用に対して、太陽光発電装置、風力発電装置で発電した電力供給が不足する場合は、蓄電池(据置型)50からの給電と商用電力からの買電を併用する。
なお、グリーン電力発電装置は各住戸での消費電力と商用供給電力の状態から、自家発電を行う太陽光発電装置、風力発電装置、蓄電池(据置型)、電気自動車を適宜の電力容量で組み合わせるのがよく、例えば太陽光発電装置、風力発電装置、蓄電池(据置型)を組み合わせて、燃料電池と電気自動車は将来の拡張用とし、現時点では設けないシステム構成としてもよい。
【0024】
なお、発雷確率の高い地域では、避雷器を設けてもよい。避雷器は、アレスタとも呼ばれ、落雷時に構内へ侵入してくる異常電圧や、負荷開閉時に発生する開閉サージの異常電圧を抑制させるために設置する。引込口近くに設置し、雷撃・回路開閉に起因する異常電圧を大地に放電させ、グリーン電力発電装置の絶縁を保護する役割を持っている。
雷撃は、衝撃を伴う過電圧や過電流を発生させるので、グリーン電力発電装置に多大な悪影響を及ぼす。避雷器は、雷サージによって発生する衝撃を伴なう過電圧を抑制し、グリーン電力発電装置の絶縁を保護し、続流を速やかに遮断するという保護機能を持っている。雷サージを避雷器によって大地にバイパスすることで、グリーン電力発電装置に異常
電圧が印加されず、絶縁の劣化が抑制可能である。
【0025】
図3は本考案に係るグリーン電力発電装置に用いて好適な、太陽光発電パネルと風力発電装置を組み合わせた複合型発電装置の一実施形態を示す構成斜視図である。図4は図3に示す複合型発電装置の側面図、図5は図3に示す複合型発電装置の背面図である。この複合型発電装置は、概略として、地面や建造物の屋上に設けられた基礎25a、25b上に立設された架台20と、架台20の屋根の部分に設置された太陽光発電パネル12と、太陽光発電パネル12の下部に設置された風力発電装置30と、架台20の底部の基礎25c上に設置された電力調整器40とを備えて構成されている。
【0026】
[太陽光発電装置の構成]
太陽光発電装置10は、図3乃至図5に示すように、標準的な出力の矩形の太陽光発電パネル12を適宜に組み合わせると共に、隙間を設けて風力発電装置の発電にも考慮したものである。太陽光発電パネル12は、例えばセル変換効率が10%〜20%、縦横が1.0mx1.6m程度の場合には、一枚当たり150W〜300W程度の発電能力がある。架台20に太陽光発電パネル12を載せる関係で、例えば上段については縦x横で2枚x4枚を一組として配置すると共に、隣接する太陽光発電パネル12の組に対して0.2乃至0.8mの間隙を設ける。下段については縦x横で1枚x4枚を一組として配置する。そして、パネル間通風口14は、太陽光発電パネル12のパネル一枚分程度の1.0m程度の間隙とするとよい。
【0027】
例えば、太陽光発電パネル12の上段のうち、最上位に位置するパネル12a1、12a2、12a3、12a4がこの順に組み付けられている。太陽光発電パネル12の上段のうち、パネル間通風口14側には、パネル12b1、12b2、12b3、12b4がこの順に組み付けられている。太陽光発電パネル12の下段には、パネル12c1、12c2、12c3、12c4がこの順に組み付けられている。
なお、太陽光発電パネル12の幅方向の設置枚数については、ここでは横4枚を一組として配置の場合を示しているが、3枚や5枚以上の適宜の数としてもよい。
【0028】
パネル間通風口14は、空気流通用の間隙として作用する。風速が3〜5m/秒程度の緩やかな状態が多い地域では、空気流通用の間隙高さVは0.2乃至0.4mの間がよい。図3に示すように、垂直方向の開口部の高さVは、太陽光発電パネル12に設けられた開口部の寸法Hとの関係として、太陽光発電パネル12の傾斜角度が15度の場合はその4倍程度、太陽光発電パネル12の傾斜角度が30度の場合はその2倍程度に対応する。風速が10〜15m/秒程度の比較的強い状態が多い地域では、空気流通用の間隙は0.4乃至0.8mの間がよい。この空気流通用の間隙高さVは、太陽光発電パネル12の受光面側からその裏側に向かって空気が自由に入り込めるように設置されており、太陽光発電パネル12の背面側に台風や季節風等による強風や突風が吹き上げたとき、太陽光発電パネル12が上方に持ち上げられるなどして損傷する可能性を低減している。
【0029】
また、太陽光発電装置10は左右前後方向に適宜の間隔を設けて、図3に示すような太陽光発電パネル12の組を複数組設置してもよい。この隣接する太陽光発電パネル12の組に対する間隙は、保守作業がしやすいように適宜の間隔とするのが良く、例えば作業員一人分の幅である0.8mから二人分の1.5mの間がよい。
ここで、架台20は、例えば日本国内設置用では、夏冬の太陽の位置を考慮して、太陽光発電パネル12の水平からの傾斜角度を定めるとよく、南へ行くほど低い傾斜角度とする。例えば北海道の札幌市では北緯43度付近なので水平からの傾斜角は約35度、北緯35度付近の東京都や大阪府では30度程度、北緯26度付近の那覇市や小笠原諸島では20度程度になるように設けるとよい。太陽光発電パネル12の傾斜角度は、積雪地帯に設置される場合は雪がパネルから落下しやすいように、30度程度の大きめの角度にする
のが良い。
また、架台20の向く方向は太陽光発電パネル12が真南を向くように定めるとよい。太陽光発電パネル12が真南を向く方向から、5度左右に振れると発電量が約10%低下し、10度左右に振れると発電量が約20%低下すると言われている。
【0030】
[架台の構成]
架台20は、例えば鉄骨や鉄管、アルミニューム製押出し成型材等の金属製構造用材料製とするのがよく、例えば鉄骨や鉄管では亜鉛メッキとして耐候性を高めると良い。なお、架台20は、木造軸組構法を簡略化した構造としてもよい。架台20の高さは、太陽光発電パネル12と風力発電装置30の設置場所との関係で適宜に定めるが、太陽光発電パネル12の最も低い場所で1m程度の高さにするとよい。例えば、太陽光発電パネル12の下部に風力発電装置30を設置する場合は、架台20の高さを風力発電装置30の高さよりも高くする必要がある。また、太陽光発電パネル12に隣接して風力発電装置30を設置する場合は、風力発電装置30の通風に支障を生じないように、風車の高さよりも高くするのがよい。
尚、複合型発電装置を設置する場所は、図3に示した架台20に限定されるものではなく、例えば、ビルの屋上、高架式鉄道や高架式高速道路の高架下で日照がある程度確保できる場所などの日照や通風がある程度確保できる適宜の建造物、構造物等に設置することもできる。
【0031】
次に架台20の詳細構造を説明する。架台20は、四隅となる柱部22と、柱部22の基礎側に位置する根太部24と、柱部22の屋根側に位置する桁・垂木部26と、軸組構造を補強する筋交い部28を備えている。柱部22は、前面側の背の低い前部柱部22aと、背面側の背の高い後部柱部22bとで構成される。太陽光発電パネル12の傾斜角度を15°とすると、例えば前部柱部22aの高さは1.0m、後部柱部22bの高さは2.0m、前部柱部22aと後部柱部22bの間隔は3〜4m程度になる。
【0032】
根太部24は、前面側の前部根太部24a、背面側の後部根太部24b、左右両側面側の右側面根太部24c、左側面根太部24d、及び風力発電装置30固定用の中間根太部24eとで構成される。前部根太部24aの長手方向の寸法は、例えば5〜6m程度になる。また、後部根太部24bの長手方向の寸法は、例えば前部根太部24aの長手方向の寸法と同じとする。前部根太部24aと後部根太部24bは、それぞれ高さ0.2m程度の基礎25a、25bで地面から浮いた状態で支持されている。前部根太部24aと後部根太部24bの間隔は、例えば2.5〜3.5m程度になる。基礎25a、25bは、例えばコンクリート製の四角錐台状や円錐台状の汎用品を用いるとよい。
右側面根太部24cと左側面根太部24dは、前部根太部24aと後部根太部24bの基礎側端部とを連結してフレーム構造を構成するもので、その両端部は基礎25a、25bに固定される。
【0033】
中間根太部24eは、風力発電装置30の設置位置に設けられるもので、中間根太部24eの両端部は、それぞれ右側面根太部24cと左側面根太部24dの対応位置に固定金具で固定される。中間根太部24eは、風力発電装置30のフランジ部39が取り付けられ関係で、幅が当該フランジ部39よりも若干広いものがよく、例えば幅0.1mから0.3m程度にする。中間根太部24eの中間には、風力発電装置30の重量を支持するための基礎23を設けると良い。基礎23は、例えばコンクリート製の四角錐台状や円錐台状の汎用品を用いるとよい。
【0034】
桁・垂木部26は、前部柱部22aと後部柱部22bとを屋根側で連結する構造材で、例えば鉄骨や鉄管よりなり、太陽光発電パネル12を所定の傾斜角度で支持する。桁・垂木部26は、太陽光発電パネル12に設けられた枠材と一体で強度を保持する物であれば
よく、例えばパネル間通風口14をフレーム構造で保持するものでよい。
下部桁26aは、左右の前部柱部22aの頂部端部を連結する構造部材である。上部桁26bは、棟木に相当するもので、左右の後部柱部22bの頂部端部を連結する構造部材である。垂木26cは、左右各々の前部柱部22aと後部柱部22bの頂部端部を連結する構造部材である。図5では、左右の垂木26cの間に、各太陽光発電パネル12a1、12a2、12a3、12a4毎に2本組で設けられた各垂木261〜268を図示してある。各垂木261〜268によって、各太陽光発電パネル12を架台20の屋根側に固定して、強風時や積雪時にも耐える構造としている。
【0035】
筋交い部28は、前面側の2本の筋交い用鋼製棒材からなる前部筋交い部28a1、28a2と、右側面側の2本の筋交い用鋼製棒材からなる右側面部筋交い部28b1、28b2と、背面側の2本の筋交い用鋼製棒材からなる背面部筋交い部28c1〜28c2と、左側面側の2本の筋交い用鋼製棒材からなる左側面部筋交い部28d1、28d2と、屋根側の2本の筋交い用鋼製棒材からなる屋根部筋交い部28e1〜28e2とで構成される。前部筋交い部28a1、28a2は、図3に示してある。右側面部筋交い部28b1、28b2は、図3、図4に示してある。背面部筋交い部28c1〜28c2と屋根部筋交い部28e1〜28e2は、図5に示してある。左側面部筋交い部28d1、28d2は、図3に示してある。筋交い部28は亜鉛メッキ鋼棒や塗装を行って、鉄の腐食を防止するとよい。
【0036】
[風力発電装置の構成]
風力発電装置30は、風車32の回転軸34が地面に対して垂直に位置する垂直型であって、太陽光発電パネル12の空気流通用の間隙を通過した風によって回転する複数の受風部材を有する風車32と、風車32による回転エネルギーを電気エネルギーに変換して発電を行う発電機36と、発電機36の下側に設けられた固定軸部38と、固定軸部38の端部に設けられたフランジ部39を備える。
風車32の設置高さは、太陽光発電パネル12の空気流通用の間隙Vを通過した風を受けるのに好適な高さとするのがよい。風力発電装置30は、そのフランジ部39が中間根太部24eに固定されて、支持される。風力発電装置30は、太陽光発電パネル12の一枚ごとに対応して設けると良く、例えば本実施の形態では301、302、303、304の四台がパネル間通風口14に応じて横方向に4台設けられている。
【0037】
ここで、風車は、垂直型風車として汎用的に用いられているものでよい。図6は、風力発電装置に用いられる風車の各種の形状を示す構成図で、(A)はパドル型、(B)はサボニウス型、(C)はジャイロミル型、(D)はダリウス型を示している。これらの風車形状は、市街地での設置用に好適であり、安全及び低騒音である。また、パドル型は起動性が高く、市街地での設置用に好適である。ダリウス型は揚力を利用するもので、トルク係数は低いものの、パワー係数が高く、周速比も高いため、風力発電に向いている。ここで、周速比とは風車の羽根の先端速度と風車に当たる風の速度との比をいう。
これに対して、サボニウス型はパワー係数は低いものの、トルク係数が高いため、弱い風でも起動し、ポンプの駆動にも向いている。
【0038】
また、風力発電装置に用いられる風車の他の形状としては、クロスフロー型、直線翼型、S型ローター型が知られている。これらの形状は、図6に示したものと比較すると、装置価格が高額であったり、発電効率の点で劣ったりするものであるが、本考案ではこの他の類型の風車形状を排除するものではない。
【0039】
垂直型風車の発電量は、以下の要因によって定められる。
(1)風から得られるエネルギー量は、風車の受風面積に比例する。そこで、垂直型風車の受風面積は、ローター直径に比例するので、風車のローター直径が2倍になると、得ら
れる風のパワーも2倍になる。この点で、水平型風車のように、受風面積がローター直径の二乗に比例するものとは相違する。
(2)風から得られるエネルギー量は、空気密度に比例する。空気密度は、その場の気圧や空気中の水分量によって変化する。通常、平地における空気の密度は、おおよそ1.2[kg/m3]である。
(3)風から得られるエネルギー量は、風速の3乗に比例する。即ち、風速が2倍になれば風から得られるエネルギー量は8倍に、風速が3倍になれば風から得られるエネルギー量は27倍になる。従って、風速次第で、風から得られるエネルギー量が大きく変動し、すなわち風力発電機の出力もそれに応じて、大きく変動する。
【0040】
[電力調整器の構成]
電力調整器40は、売電用には商用電力系統に電力を供給するのに適した電圧や交流周波数に変換するもので、パワーコンディショナーとも呼ばれている。電力調整器40には、適宜の二次電池を内蔵させることで、太陽光発電パネル12及び風力発電装置30の出力電圧を充電に適した電圧にし、さらに過充電を防止する機能を備えた充電回路も内蔵させるとよい。
充電された二次電池の電源供給先としては、電力調整器40の二次電池の電流容量に見合った機器でもよい。これらの機器には、例えば、街路灯、魚類の電照栽培、ハウス栽培の作業照明、野菜等の電照栽培、果樹農家の烏害防止用センサ、盗難防止用センサ、道路標識灯や安全灯など、未電化地域への電力供給に最適である。尚、負荷が交流電源を必要とする場合、二次電池にDC−AC変換回路が接続される。
また、電力調整器40の二次電池の設置に代えて、蓄電池(据置型)50や電気自動車54を用いてもよい。
【0041】
[グリーン電力発電装置の動作]
このように構成された装置によれば、昼間の太陽光が受光できる環境下では、太陽光発電パネル12による発電が行なわれる。また、風が適切な風速の場合は、風力発電装置30による発電が行なわれる。風力発電装置30においては、風車を設置したのに全く回らない、採算が取れないといったことが起きないようにする為に、設置場所の選定が重要である。
【0042】
風力発電装置30の建設条件として、以下の点を検討する。
(1)風が強いこと(年平均風速6m/s以上)。風から得られるエネルギー量は風速の3乗に比例する為、風が強ければより大きなエネルギーを得ることが可能である。なお、風速が、例えば25m/s以上の強風時でも、本考案の対象とする風力発電装置は小出力であるため、風車の回転を止める必要がなく、風車に大きな負荷がかかる恐れは少ない。
(2)送電線が近くにあること。複数台の風力発電装置30を設置する場合には、風力発電装置30で作った電気を送る為に、電力会社の送電線に接続する必要な場合もある。風車から送電線までの間に新たな送電線を敷設する場合には、その距離が遠ければ遠いほど費用がかかり採算性への影響が生じる。
【0043】
複合型発電装置は、太陽光と風力をエネルギー供給源としている発電方式であるので、特性の異なった発電機を複合利用することで、偏った発電特性を平均化できるメリットがある。例えば、日射量が多く得られる春から秋にかけては太陽光発電が活躍し、日射量が不足しがちで平均風速が大きくなる冬季間は風力発電が活躍するなど、相互の負特性を補い合うことができる。また、太陽光発電だけでは発電量がギリギリで、蓄電池が放電気味になるようなケースでは、風力発電機を付加することによって、不定期的に風力発電による大発電が得られるため、蓄電池を満充電状態にリカバリーすることができ、蓄電池の長寿命化にも寄与することができる。
また、複合型発電装置において、風力発電装置30を太陽光発電パネル12の下側に設
置する場合は、雨や雪は太陽光発電パネル12で受けるため、風力発電装置30に雨や雪が影響することが少なくて済み、装置の長寿命化が図れる。また、降雪により影響が受け難くするように、太陽光発電パネル12は隣接する構造物からの落雪があっても、落雪の影響を受け難くするように配置するのがよい。
【0044】
本考案に用いられる複合型発電装置によれば、太陽光発電と風力発電の両方を用いて昼間ばかりでなく夜間でも電力を発電することが可能であると共に、太陽光発電パネルに通風部を設けて風力発電も可能として、特に都市近郊の市街地のような地価の比較的高額な場所での設置にも適している。
【0045】
なお、上記の実施の形態においては、太陽光発電と風力発電を家屋に設置する場合を示したが、本考案はこれに限定されるものではなく、家屋とは別の敷地に太陽光発電又は風力発電装置の少なくとも一方を設置するようにしてもよい。
また、上記の実施の形態においては、電力の環境価値を売買する制度に対応するものとして、グリーン電力証書取引に対処するための太陽光発電と風力発電の総発電電力量計を設ける場合を示したが、本考案はこれに限定されるものではなく、地球温暖化の抑制、低炭素・脱炭素化社会への実現に向けて世界中の企業でCO2削減の取り組みに活用できる他の制度、例えばJクレジット制度、非化石証書に対処するようにしてもよい。Jクレジット制度は、省エネ機器や再生可能エネルギーの導入、森林経営などの取り組みによるCO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度である。非化石価値取引市場で売買される非化石証書とは、石油や石炭などの化石燃料を使っていない「非化石電源」で発電された電気が持つ「非化石価値」を取り出し、証書化したものである。
【0046】
また、上記の実施の形態においては、太陽光発電と風力発電を組み合わせる場合を示したが、本考案はこれに限定されるものではなく、燃料電池を更に組み合わせてもよい。
燃料電池は、例えば給湯を兼ねるものであるとよく、都市ガスを改質して給湯と発電を同時に行うものであるとよいが、給湯兼用型に限定されるものではなく、発電のみを行うものでもよい。燃料電池は、水素と酸素を化学反応させて、直接電気を発電する装置で、電池という名前はついているが、蓄電池のように充電した電気を溜めておくものではない。燃料電池の燃料となる水素は、天然ガスやメタノールを改質して作るのが一般的であり、酸素は大気中から取り入れる。また、発電と同時に熱も発生するので、その熱を活かすことでエネルギーの利用効率を高められる。
【0047】
また、上記の実施の形態においては、自家使用分から余る余剰電力を分電盤から売電・買電用電力量計を介して外部の電力送電線網に売電する場合を示したが、本考案はこれに限定されるものではなく、売電買電調停用コンピュータを用いて、卸電力価格電力の市場価格データを収集し、蓄電池(据置型)50や電気自動車54に蓄電された電力容量データを収集して、売電するか、自家消費するか、買電するかの判断を行ない、売電・買電用電力量計60に対して命令信号を出力するように構成してもよい。
売電買電調停用コンピュータの判断基準としては、外部の電力送電線網で供給される卸電力価格電力が通常の取引価格であるときは、蓄電池(据置型)50や電気自動車54に蓄電された電力の生産価格の想定範囲であるので、需要家である住戸の必要電力として供給する。他方、外部の電力送電線網で供給される卸電力価格電力が高騰したときは、蓄電池(据置型)50や電気自動車54に蓄電された電力を需要家である住戸の必要電力に対して優先して供給することで、ピーク電力の供給に寄与する。
【0048】
即ち、太陽光発電と風力発電装置の設置者においては、天気のいい日や風のある日に発電した電力を電力会社に買い取らせる固定価格買い取り(FIT;Feed-in Tariff)を用いることで、太陽光発電と風力発電を複合した発電装置の投資額が回収できる。そして、
太陽の出ない時間や風のない時間には、例えば日本卸電力取引所(JEPX)を通じて電力を買うことで、夏場の冷房需要や冬場の暖房需要のようなピーク需要時の電力供給を安定化している。
【0049】
しかしながら、電力自由化で発電会社と送電会社が分離され、電力会社がピーク時のために発電・送電設備に巨額の投資を行なうことは抑制されている。原子力発電所は停止中であり、石炭火力も「脱炭素」で削減したため、価格や供給の不安定なLNGへの依存度が上がり、ピーク需要時に対して電力を安定供給する調整機能が失なわれている。
そこで、ピーク需要時には、日本卸電力取引所の卸電力価格が高騰し、市場連動型料金を設定している新電力では、卸電力料金が電気代に転嫁される。グリーン電力の電気代は、例えば、基本料金に「スポット価格×使用量」を加えて決まるから、卸電力料金が通常の20倍を超えるような価格となると、自前の発電設備(太陽光発電所など)をもたないでJEPXで仕入れた電力を売るリセール業者から電力供給を受ける需要家の場合、予想外の電気代を支払わなければならないという課題があった。
【0050】
売電買電調停用コンピュータを備える考案においては、上述した課題を解決するもので、夏場の冷房需要や冬場の暖房需要のようなピーク需要時に、日本卸電力取引所の卸電力価格が高騰するような事態が発生しても、卸電力価格の高騰を抑制できると共に、自家使用する場合には、需要家の電力支払い料金を安定化することもできる、グリーン電力発電装置を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本考案のグリーン電力発電装置によれば、地球温暖化の抑制、低炭素・脱炭素化社会への実現に向けてCO2削減の取り組みに活用できる、太陽光や風力、水力、地熱などのCO2を出さないエネルギー源で発電されたグリーン電力発電装置を提供できる。
【符号の説明】
【0052】
10 太陽光発電装置
12 太陽光発電パネル
14 パネル間通風口(空気流通用の間隙)
15 接続箱(太陽光発電用)
16 接続箱(風力発電用)
20 架台
30 風力発電装置
40 電力調整器(パワーコンディショナー)
42 電力量計(風力発電総発電電力用)
50 蓄電池(据置型)
52 パワーコンディショナー
53 グリーン電力計(総発電電力量計)
54 電気自動車
56 電気自動車充放電設備(V2H機器)
57 太陽光・風力用ブレーカ
58 分電盤
60 売電・買電用電力量計
64 電灯線
70 住戸
72 電気機器
74 電力モニタ
【図1】
図1 
【図2】
図2 
【図3】
図3 
【図4】
図4 
【図5】
図5 
【図6】
図6 
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