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電機
 
【発明の名称】電気抵抗の測定方法
【出願人】
【識別番号】522066849
【氏名又は名称】金子 守
【住所又は居所】群馬県邑楽郡大泉町坂田4丁目5番22号
【代理人】
【識別番号】100107906
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 克彦
【発明者】
【氏名】金子 守
【住所又は居所】群馬県邑楽郡大泉町坂田4丁目5番22号
【要約】
【課題】接触抵抗の影響を極力低減し、信頼性の高い電気抵抗の測定方法を提供する。
【解決手段】抵抗体1の表面に電流印加端子T1,T2と電圧測定端子T3,T4を並設し、それぞれの端子T1〜T4にプローブ針P1〜P4を接触させる。プローブ針P1〜P4を介して電流印加端子T1,T2に電流をゼロから電気抵抗Rが安定化する電流値I0まで連続的に増加させて印加し、プローブ針P1〜P4を介して電圧測定端子間のT3,T4の電圧を測定することにより電圧対電流特性を取得する。この電圧対電流特性に基づいて抵抗体1の電気抵抗Rを算出して電気抵抗対電流特性を取得する。そして、電圧対電流特性にオーミック性があり、かつ電気抵抗対電流特性において電気抵抗Rが電流に対して安定化した電流範囲があるかどうかをモニタリングする。
【選択図】図1
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗体の電気抵抗を4端子法により測定する方法であって、
抵抗体に電流を連続的に増加させて印加し、抵抗体に生じる電圧降下を測定することに より電圧対電流特性を取得し、
前記電圧対電流特性に基づいて抵抗体の電気抵抗を算出して電気抵抗対電流特性を取得し、前記電圧対電流特性にオーミック性があり、かつ前記電気抵抗対電流特性における電気抵抗が電流に対して安定化した電流範囲があるかどうかをモニタリングし、そのような電流範囲が見つかった場合に、その電流範囲において抵抗体の電気抵抗を決定することを特徴とする電気抵抗の測定方法。
【請求項2】
抵抗体の電気抵抗を4端子法により測定する方法であって、
抵抗体の表面に一対の電流印加端子と一対の電圧測定端子を並設し、
それぞれの端子にプローブ針を接触させ、
プローブ針を介して一対の電流印加端子に電流を連続的に増加させて印加し、プローブ針を介して一対の電圧測定端子間の電圧を測定することにより電圧対電流特性を取得し、
前記電圧対電流特性に基づいて抵抗体の電気抵抗を算出して電気抵抗対電流特性を取得し、
前記電圧対電流特性にオーミック性があり、かつ前記電気抵抗対電流特性における電気抵抗が電流に対して安定化した電流範囲があるかどうかをモニタリングし、そのような電流範囲が見つかった場合に、その電流範囲において抵抗体の電気抵抗を決定することを特徴とする電気抵抗の測定方法。
【請求項3】
前記抵抗体は、セラミックス材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載の電気抵抗の測定方法。
【請求項4】
前記電圧対電流特性、電気抵抗対電流特性の取得及び電気抵抗の算出は、半導体パラメータアナライザーを用いて行うことを特徴とする請求項1または2に電気抵抗の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗体の電気抵抗を4端子法により測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、抵抗体の電気抵抗には電圧印加法と電流印加法がある。電流印加法には、2端子法と4端子法があるが、2端子法では抵抗体表面の接触抵抗(抵抗体と測定端子間の接触抵抗)による電圧降下が生じる。4端子法は電流印加端子と電圧測定端子とを分離することで接触抵抗の影響を減らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2012−52935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
4端子法は接触抵抗の影響を低減することができるが、接触抵抗の影響をゼロにすることができるわけではなく、特に、抵抗体がセラミック材料のようなオーミック性が保証されない材料である場合には測定データの信頼性を保証することができなかった。
【0005】
例えば、従来の測定方法は、ある電流(例えば1mA)を印加した時に、電気抵抗はある値(例えば、10kΩ)であったというような方法であったので、印加電流が異なる場合に電気抵抗が安定しているかどうか不明であることに加え、接触抵抗の影響があるかどうかも不明であった。
【0006】
そこで、本発明は接触抵抗の影響を極力低減し、信頼性の高い電気抵抗の測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気抵抗の測定方法は、抵抗体の電気抵抗を4端子法により測定する方法であって、抵抗体に電流を連続的に増加させて印加し、抵抗体に生じる電圧降下を測定することにより電圧対電流特性を取得し、前記電圧対電流特性に基づいて抵抗体の電気抵抗を算出して電気抵抗対電流特性を取得し、前記電圧対電流特性にオーミック性があり、かつ前記電気抵抗対電流特性における電気抵抗が電流に対して安定化した電流範囲があるかどうかをモニタリングし、そのような電流範囲が見つかった場合に、その電流範囲において抵抗体の電気抵抗を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、接触抵抗の影響を極力低減し、信頼性の高い電気抵抗の測定方法を提供することができる。本発明は、特に、抵抗体がセラミック材料のようなオーミック性が保証されない材料からなる場合に信頼性の高い測定データを得る上で有用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態における電気抵抗測定系の等価回路図である。
【図2】本発明の実施形態における電気抵抗測定系の端子接続部を示す模式図である。
【図3】本発明の実施形態における半導体パラメータアナライザーによる電気抵抗測定系の等価回路図である。
【図4】本発明の実施形態における印加電流の時間変化を示す図である。
【図5】本発明の実施形態における電圧対電流特性を示す図である。
【図6】本発明の実施形態における電気抵抗対電流特性を示す図である。
【図7】本発明の実施例における電圧対電流特性を示す図である。
【図8】本発明の実施例における電気抵抗対電流特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態による電気抵抗の測定方法を図1乃至図6を参照して説明する。先ず、4端子法による電気抵抗測定系を図1の等価回路図に基づいて説明する。図示のように、抵抗体1に接触して設けられた一対の電流印加端子T1,T2、及び一対の電圧測定端子T3,T4が並設されている。
【0011】
そして、電流源2は一対の電流印加端子T1、T2を介して抵抗体1に電流Iを印加する。また、電圧計3は一対の電流印加端子T3,T4を介して電流Iにより抵抗体1の両端に設けられた一対の電流印加端子T3,T4に生じる電圧V(電圧降下)を測定する。これにより、抵抗体1の電気抵抗Rは、R=V/Iにて算出することができる。
【0012】
この場合、一対の電流印加端子T1,T2と電流源2との接続部には、接触抵抗r1,r2が介在し、また、一対の電圧測定端子T3,T4と電圧計3との接続部には、接触抵抗r3,r4が介在している。電流源2,電圧計3の接続配線に伴う配線抵抗は電気抵抗R、接触抵抗r1〜r4に比して無視できるほど小さいため、図示を省略している。また、電圧計3の内部抵抗は抵抗体1の抵抗値Rに比して十分大きく、電圧計3に流れ込む電流は十分小さいものとする。
【0013】
このような電気抵抗測定系の端子接続部の構成を図2に基づいて説明する。図示のように、抵抗体1の表面に一対の電流印加端子T1,T2、及び一対の電圧測定端子T3,T4が並設されている。これらの端子T1〜T4の表面にはそれぞれのプローブ針P1〜P4が接触するように構成されている。
【0014】
等価回路としては、図1のものと同様であり、プローブ針P1,P2及びを介して電流源2が接続され、プローブ針P1,P2及びを介しての電圧計3が接続されるようになっている。この場合、抵抗体1の接続部には、同様に、上述と同様に接触抵抗r1〜r4が介在しているが、プローブ針P1〜P4による接触抵抗も含まれている。
【0015】
上述の電気抵抗測定系は、半導体パラメータアナライザーを用いて構成することができる。図3の等価回路図に示すように、電流源2、電圧計3a,3bは半導体パラメータアナライザーに内蔵され、プログラムにより測定条件を設定可能になっている。電圧計3aは、電圧測定端子T4と接地の間の電圧VM1を測定し、電圧計3bは電圧測定端子T3と接地の間の電圧VM2を測定する。なお、図3のr1〜r4は上述の接触抵抗と同じである。これにより、抵抗体1の電気抵抗Rは、R=(VM1−VM2)/I にて算出することができる。
【0016】
次に、上述の半導体パラメータアナライザーを用いた電気抵抗の測定方法を図4乃至図6を参照して説明する。先ず、図2に示すように、一対の電流印加端子T1,T2、及び一対の電圧測定端子T3,T4のそれぞれにプローブ針P1〜P4を接触させる。
【0017】
次に、図4に示すように、プローブ針P1,P2を介して一対の電流印加端子T1,T2に電流をゼロから所定の電流値I0まで連続的に増加させて印加する。
【0018】
このような連続電流印加の過程で、プローブ針P3,P4を介して一対の電圧測定端子T3,T4の電圧を測定することにより、図5に示すような一対の電圧対電流特性、すなわち電圧VM1対電流I特性、及びVM2対電流I特性を取得する。そして、そのような一対の電圧対電流特性に基づいて抵抗体1の電気抵抗RをR=(VM1−VM2)/Iの計算式に基づいて算出して、図6に示すような電気抵抗対電流特性を取得する。
【0019】
この場合、測定データに信頼性があると判断するには、電圧対電流特性が直線(オーミック性のあることを示している)であり、かつ電気抵抗Rの測定値が安定している必要がある。しかしながら、図6に示すように、本発明者は、電気抵抗Rは印加電流Iが小さい領域、すなわち電流印加直後において異常に高い値を示すことを見出した。その原因は、そのような初期電流領域では、接触抵抗r1〜r4の影響により、電圧対電流特性の連続性、オーミック性が悪化するためであると考えられる。
【0020】
このような現象は、抵抗体1がセラミックス材料のようにバンドギャップの大きい材料からなる場合に顕著である。例えば、抵抗体1がバンドギャップの小さい半導体材料からなる場合には、イオン注入や固相拡散などのプロセス技術を使って、電極(端子T1〜T4)を形成することにより、抵抗体1の端子接続部にオーミック性をもたせることで、端子接続部における接触抵抗r1〜r4の成分をゼロにはできないものの低減する方法が確立されている。
【0021】
ところが、セラミックス材料のようにバンドギャップの大きい材料においては、このようなプロセス技術が利用できず、金やアルミニウムからなる電極(端子T1〜T4)を蒸着やスパッタなどで付着させる程度の技術に留まっており、抵抗体1と端子接続部のオーミック性を確実に得るのが難しい。このことが、電流印加直後における接触抵抗r1〜r4の影響を大きくしていると考えられる。なお、抵抗体1が電気抵抗Rの大きい材料からなる場合は、接触抵抗の影響は目立たないが、接触抵抗が小さい材料からなる場合は、その影響が顕在化してくる。
【0022】
そこで、本発明においては、抵抗体1に電流Iを連続的に増加させて印加し、上記一対の電圧対電流特性(図5の電圧VM1対電流I特性、及びVM2対電流I特性)にオーミック性があり、かつ電気抵抗対電流特性における電気抵抗Rが安定化する電流領域、つまり電気抵抗Rが印加する電流Iに対して一定になっている電流範囲、あるいは、電気抵抗Rが実質的に変化しない電流領域があるかどうかをモニタリングする。そして、そのような電気抵抗Rが安定な電流範囲が見つかった場合に、その電流範囲において抵抗体1の電気抵抗Rを決定することとした。
【0023】
これにより、抵抗体1が、金属材料や半導体材料に限らず、セラミックス材料のようにオーミック性が保証されていない材料からなる場合であっても、信頼性の高い電気抵抗Rの測定データを得ることができる。
【0024】
なお、電圧対電流特性にオーミック性が得られず、電気抵抗Rが安定な電流領域が見つからないという場合もあり得る。そのような場合における電気抵抗Rの測定値には信頼性がなく、不適当であると判断することができる。そして、そのような場合には、電流Iをさらに高い電流値I0まで増加させ、電気抵抗Rが安定化する電流領域があるかどうかをモニタリングすることとする。
【0025】
上述の電気的抵抗の測定方法は、通常のテスターを使用して行うこともできるが、半導体パラメータアナライザーを用いることにより、電圧対電流特性の連続性、オーミック性をリアルタイムでモニタリングしながら、リアルタイムで電気抵抗Rを評価することができるので、利便性が高い。
【実施例】
【0026】
次に、本発明の実施例による、セラミックス材料からなる抵抗体1の電気抵抗Rの測定方法を図7及び図8を参照して説明する。
【0027】
図7,図8に示すように、プローブ針P1,P2を介して一対の電流印加端子T1,T2に印加する電流Iを0Aから20μAまで連続的に増加させて印加した。そして、少なくとも印加電流Iが5μA以上の電流範囲では、一対の電圧対電流特性(電圧VM1対電流I特性、及びVM2対電流I特性)が直線であり(すなわちオーミック性のあることを示しており)、かつ電気抵抗Rは印加する電流Iに対して安定化していることが見出された。これにより、本実施例では、この電流範囲(例えば10μA)において、電気抵抗Rが450Ωと決定された。
【符号の説明】
【0028】
1 抵抗体
2 電流源
3 電圧計
T1,T2 電流印加端子
T3,T4 電圧測定端子
P1〜P4 プローブ針
r1〜r4 接触抵抗
R 電気抵抗
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
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